びんリユース シンポジウム2022開催
「サーキュラーエコノミーから見たびんリユース」
びんリユース活動を推進・支援している「びんリユース推進全国協議会」は、「サーキュラーエコノミーから見たびんリユース」をテーマに市民・行政・学生などのステークホルダーが一堂に会して考えるシンポジウムを開催しました。
開催日時 | 2023年3月23日(木) 13:00〜17:20 |
開催方式 | 会場での開催とともにWeb(Zoom ウェビナー)にて同時配信 |
場 所 | 日本ガラス工業センター 地階会議室 |
主 催 | びんリユース推進全国協議会 幹事団体 全国びん商連合会、ガラスびん3R促進協議会、日本ガラスびん協会 社会福祉法人きょうされん 、日本P箱レンタル協議会、びん再使用ネットワーク 中部リサイクル運動市民の会、Rびんプロジェクト |
開催内容
- (1) 開会・主催挨拶
- 吉川 康彦
(びんリユース推進全国協議会 副代表、全国びん商連合会 副会長)
- (2) 来賓講演
- 「我が国におけるサーキュラー・エコノミー(循環経済)のこれから」
田中 将吾 氏
(経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課長)
- (3) 基調講演
- 「持続可能社会におけるびんリユース」(仮題)
安井 至
(びんリユース推進全国協議会 代表、東京大学 名誉教授)
- (4)事例紹介
-
1. 「1.8Lびんの現状と課題」
舩戸 正義 氏
(日本酒造組合中央会 業務第一部課長)
-
2. 「東京家政大学 be draw project活動報告」
東京家政大学 be draw project
東京家政大学 be draw projectメンバー
-
3. 「生活クラブ生協によるびんリユースの取り組み」
山本 義美
(びん再使用ネットワーク事務局長、びんリユース推進全国協議会 運営委員)
- (5) パネルディスカッション
-
次代を担う若い方々に参加いただき環境課題への考えや対応について自由に議論
ファシリテーター
田中 希幸
(ガラスびん3R促進協議会 理事・事務局長、びんリユース推進全国協議会 副代表)
パネラー
- 原田 瑞穂氏(関西学院大学)
- 星野 奈月氏(関西学院大学)
- 木下 裕翔氏(近畿大学)
- 河合 千尋氏(東京農工大学)
- 小林 海璃氏(九州大学)
- 野村 紗里氏(九州大学)
- 岡見 厚志 (TRびんプロジェクト代表、びんリユース推進全国協議会 運営委員)
- (6) シンポジウム総括
- 安井 至
(びんリユース推進全国協議会 代表)
- (7) 閉会挨拶
- 田中 希幸
(ガラスびん3R促進協議会 理事・事務局長、びんリユース推進全国協議会 副代表)
(1) 開会・主催挨拶
吉川 康彦
(びんリユース推進全国協議会 副代表、全国びん商連合会 副会長)
- 当協議会は、2011(平成23)年〜2016(平成28)年環境省が「我が国おけるびんリユースシステムのあり方検討会」の委員を中心に発足した非営利団体。2ヶ月ごとに委員会を開催し、運営。
- 活動は、びんリユースシステムに携わる方々のネットワークづくり、教師向けガイドブック作成、リユースびんの回収拠点マップの作成、リユースびんの情報発信。
- 年に一度シンポジウムをさまざまな地域で開催。今回は129名が参加。
- 住まいの京都はまだだが、東京では桜が咲き始め、入学式のイメージであるが年々早くなってきている印象があり、地球温暖化も一因と思われる。
- 公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次報告書のニュース記事では、「地球温暖化の悪影響が世界中におよび、気温上昇を抑える国際目標の達成は瀬戸際に立たされている」内容であった。化石燃料に頼らない脱炭素化を実現する社会づくりが不可欠。
- 容器の分野では、リユースびんはRE100が可能と考え、期待の意見を聴くことがあり期待が高まっている。
- 本日のシンポジウムで、リユースびんが社会でどのような役割を果たすことができるかを、さまざまな分野の方々の意見を聴けることを楽しみにしている。
(2) 来賓講演
「我が国におけるサーキュラー・エコノミー(循環経済)のこれから」
田中 将吾 氏
(経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課長)
- 気候変動、生物多様性など地球環境において、人類の活動は大きな負荷となっている。長い間問題となっているオゾン層破壊は改善方向にあるが、気候変動の問題は他にもさまざまある。
- 世界全体が目指しているのは、人類の生活を豊かにしながらも、地球環境が回復可能な範囲で自然を利用させてもらえるようにバランスを取ることである。それを明確にしたのがSDGsである。サーキュラーエコノミーが注目されている理由は、「サステナブルな社会の実現」により「経済 Economy」「社会 Society」「環境 Environment」の同意達成が可能であるためである。
- 日本のサーキュラーエコノミー取り組みは、循環経済の取り組みについては世界でも早く行われた。1999年に循環経済ビジョンが策定、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の重要性が明示された。それにより今日では、日本の3Rの技術力は世界に注目されている。
- 環境問題だけではなく、産業政策としても取り組む必要性から、循環経済ビジョン2020を策定。経済活動の中で循環型をベースにすることを明示。製造から消費までの一方通行の流れから、リユース、リサイクルという形で社会に還元することを念頭に販売・製造を行う動脈産業と静脈産業がともに連携した社会に変えていかなければならないというのが、循環経済ビジョン2020主要なメッセージである。
- サーキュラーエコノミー実現には制度・ルール、コスト・投資、消費者への普及、ビジネスモデルの開発などさまざまな問題が存在。そのため経済産業政策の「新機軸」において取り組む分野として設定した内、「成長志向型の資源自律経済の確立」を重要な取り組むリスク課題の一つとして設定。
- 「成長志向型の資源自律経済の確立」のため、成長志向型の資源自律経済デザイン研究会を2022年10月立ち上げ。月1、2回ぐらいの議論を重ね、3月27日に「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定。「成長志向型の資源自律経済戦略」のため経産省の中でも、省内横断の体制をつくり、海外との活用を検討する部局、産業技術を担当する部局などとともに議論を進めている。
- 「成長志向型の資源自律経済の確立」に向けた問題は、資源制約・リスク、環境制約・リスク、成長機会の3つある。環境制約・リスクはCO2の削減。資源制約・リスクは世界のマテリアル需要が伸びていく中で、日本は世界の中で資源に恵まれない国であり、かつ日本の資源調達先は非常に限られた国から供給を受けている。ウクライナ侵攻、コロナ禍などでサプライチェーン上の危うさが再度認識された。資源の自主性を担保する日本のサーキュラーエコノミーは、自国の中での都市鉱山あるいは資源を最大限に活用することは、取り組まなければならない活動。成長機会は、サーキュラーエコノミーの分野は将来成長産業になっていくことが期待されている。日本は2030年までに温室効果ガスの削減目標を46%削減と表明。ただエネルギー源のグリーン化だけではむずかしく、素材のグリーン化もあわせて必要になる。そのため、素材のグリーン化の取り組みは新たなソリューションが成長戦略として求められている。
- 日本は資源自給率が低いため、世界の中でもトップクラスの資源の購買力を誇ってきた。他方、経済成長を遂げている新興国が資源の調達を増やしているため、世界全体の資源の需要が伸び、原材料の先物価格の上昇もあり、日本の資源調達は今後さらに困難になる可能性がある。
- 化石資源やレアメタル・ベースメタルなどの鉱石資源は地域的に偏在しているため、資源保有国が輸出制限を行うなどのリスクが存在する。また将来的には希少金属の枯渇リスクが顕在化する可能性があるため、日本の都市鉱山がどれだけ使える能力があるのかが、今後のものづくりにも大きく左右する。
- 日本は、これまで廃棄物を国外に輸出していたが、廃棄物の越境が難しくなり、国内で廃棄物を循環資源として適正処理することが求められるようになってきている。
- 日本のCO2排出は年間10億トン強だが、その3分の1は素材産業である。CO2削減のためには、グリーンエネルギーの調達量、またはその価格が問題となるが、それに加えて省材料、再生材の活用、バイオものづくり、シェアリング、長期利用、あるいはその手前のリサイクル、リユースを進めることが必要である。
- 再生材とバージン材と比べてどれだけCO2排出量が減らせるかをScope1〜3で比べた文献データによると、プラスチック、金属、ガラスいずれも再生材のほうがCO2排出量が少ないということが示されている。
- 欧米では、国や企業によるサーキュラーエコノミーの先端的な取り組みが始まり、これが進み世界のスタンダードになると日本企業が世界での市場を失う可能性がある。先駆者として取り組んできた日本の技術およびビジネスモデルを世界的に発信することが非常に重要である。
- 経済的目標は、サーキュラーエコノミーに関わる日本国内の市場規模は2020年50兆円程度であり、これは廃棄物処理産業、リサイクル産業、リース産業を含めて試算。今後2030年80兆、2050年120兆に伸びると試算。世界全体の市場規模は、2030年は4.5兆ドル、2050年は25兆ドルと20年で5倍以上になるという民間試算がある。
- リニアエコノミーでは大量に販売、廃棄、処分が進んでいた社会を循環型社会に変えていくには多数の関係者の足並みが揃う必要がある。ライフサイクル全体での動静脈産業の連携の理想は、設計、製造、販売、利用、回収、リサイクルが無駄なく回るエコシステムであるが、それをつくるのは簡単ではない。それができている例の一つが、びんのリユース。
- びんのリユースはベストプラクティスであり、この持続のために重要なのは、GX(グリーントランスフォーメーション)への取り組みである。情報流通のプラットホームを構築して、その取り組みがCO2削減に貢献している、あるいは資源の削減有効利用に貢献している実態を可視化する取り組みを支援していきたい。その取り組みをベストプラクティスとしてISO、条約などの国際ルール形成の場で、政府としてこの取り組みを提示することに取り組む。
- 気候変動対策の観点では、GXの取り組みの柱の一つとして資源循環産業の重要性がGX実行会議で示されている。資源循環加速のための投資として、今後10年間で2兆円以上の投資を実施していく必要がある。経済産業省としても、そういう先端的な取り組みに対する予算的な支援措置を含め協力を加速したい。
- 成長志向型の資源自律経済の確立のため、今後、政策措置をパッケージ化して、日本におけるサーキュラーエコノミーの市場化を加速し、国際競争力の獲得を目指していく。その政策パッケージの一つ目は競争環境として規制・ルールの整備。2つ目は資金的な支援である政策支援。3つ目はサーキュラーエコノミーのパートナーシップの場をつくる取り組み。
(3) 基調講演
「持続可能社会におけるびんリユース」(仮題)
安井 至
(びんリユース推進全国協議会 代表、東京大学 名誉教授)
- びんリユースはどれほど環境負荷があるのか。びんをリユースする意義は何か。一番簡単にはガラスびんは2回、3回、4回と何度も使える。だがそのまま使えるのではなく、しっかり洗う。そのための設備、洗うための水の温度、お湯の温度の調整、洗剤も使用するなど、いろいろあるので簡単ではない。
- 日本の環境の取り組みは、経産省、環境省などが「国民の皆さん、こういうことが環境にいいですよ」と述べると、一般市民はその通りに行動することが多い。でも、環境問題は自分でいいというものを見つけ出して、それをやるのが一番良いと思う。いろいろなことをやって、「ああいうことがあったから止めておこう」など、それは確かに最終的に環境負荷が上がるかもしれない。ただそこから、いろいろな事を知識として世の中に広がれば、皆さんすぐに行動ができる。
- 最近いろいろな環境関連の国際協定などが多くあり、2015年にはパリ協定が採択され、さまざまな国がいろいろなことをやった。日本は一般市民が政府に任せてしまったという感じがした。一般市民が解析能力をもって、環境保全についての内容を理解できる人が国民の3分の1程度いた方がいいと思う。
- ヨーロッパ系の人々には正義というのが、真ん中にある。だから、パリ協定では「気候正義」という言葉があった。「気候は変えてはいけないよ」という話である。
- 私は元大学教授で、その後国連大学副学長になった。 副学長の仕事で非常に重要になったのは、世界の国々を観光ではなく、自分のお金でしっかり見て回ること。それで日本という国は非常にいい国だが、非常に変わっているとその頃から気づいた。
- 日本企業は、残念ながら世界の企業と比べると、経済的収益や会社の存続のことばかりである。ヨーロッパの企業はこんなことをして、お金儲けをしていいのかというが根底にある気がする。
- 社会的にSDGsや環境などが多く話題になり、出発の号砲のようになった。日本企業で号砲と同時に本気で取り組みを始めたのは、私の思うところ130社程度。当時、経産省で取り組んでいる企業のリストを制作したが、最近はそれをフォローしてない気がする。
- 環境対応について、リユースびんは立派な環境対応の一つでありますが、しっかりとした環境対応をすると、何らかの先行者利益が生じる。最初にそれを大事に取り組んだ人たちは、社会から認められることがないと、取り組みが終わってしまう。だから、それ認める責任は一般市民にあり、取り組みを一般市民に知らせるのが、おそらくメディアの仕事であって、その辺が動いていないと一生懸命取り組むと思う気力が減ってしまう。
- 2015年にヨーロッパの企業はいろいろなことを考えて、取り組みを開始した。そのため、最初に環境対応をした企業の先行した利益は明らかにヨーロッパの企業である。
- おそらく知らない人が多く、メディアでも取り上げなかったと思うが、2015年に日本年金機構が、国連の主導で発足したESG投資の世界的なプラットフォームの「国連責任投資原則(PRI)」に署名をした。しかし機関投資家は、欧米では明らかに2015年以降と2014年以前では動きが違う。
- 西洋社会では、政府組織というより、みんなで集まってさまざまなこと考える組織をつくることが多くある。その一例がTCFDで、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)です。それを日本語でわかりやすくすると「気候変動に関わるお金で何をやっているかを明らかにする」こと。
- 気候変動で気度が4℃上がったらどうなるか。地球全体の平均値で4℃だと全体が上がるわけではなく下がるところもある。だが、気温が上がるところと下がるところ両方ダメになる。
- パリ協定の時によく使われた言葉の一つで「クライメート・ジャスティス=気候正義」がある。日本のメディアでは、報道していない。また「ネットゼロ・エミッション」も使われた。パリ協定を私なりに解釈すると、2015年のパリ協定は未来を見ていた。未来をどういうふうにしたら良いかと考えること。それを実行することがまさしく正義である。その辺では、パリ協定はとにかく未来を考える正義であった。
- 日本では、2050年ぐらいまで考えていた時代あったが、最近では2050年まで考えていなく2040年、2035年くらいまでだと思う。
- グリーンランド、南極の氷が溶けるなど、いろいろなところで氷が溶けると海面レベルが上がる。それは、どこの国でも海面上昇になり、日本だと海抜0m地帯がたくさんあるので、東京でも大阪でも水浸しになる可能性が高い。
- 発電について、風力、地熱などで発電ができるようになっているが、日本は平らな土地が少ないため、土地としてあまり恵まれていない。北海道では多く風力発電の風車が並んでいるが、全国的には風力のポテンシャルは少ない。地熱発電は、意外と寿命が短く、永久に利用できないようである。
- 日本は電気の周波数が50Hz、60Hzと2種類ある。それは明治時代に発電機を海外から購入した時、欧州とアメリカからそれぞれ購入、これがそのまま現在の周波数分布の違いとなった。
- 原子力発電があるが、原子力には廃棄物があり、それがとにかく厄介で簡単には消せない。現在でも日本の所有物として、いろいろな国に合計して何10トンを預けている。このこともあり増やせない。日本が原子力に依存することができる国と私は到底思えない。原子力発電を止め、その再稼働をするときに県レベルでの反対が多く、それで多く止まっている。現状から言って、そんなに危険性が高いとは私自身思っていない。
- 世界を見る人間がもっと日本に増えてほしい。世界各国を皆さんに見ていただきたいと思うことが最後の言葉。
(4)事例発表
「1.8Lびんの現状と課題」
舩戸 正義 氏
(日本酒造組合中央会 業務第一部課長)
- 一升瓶(1.8Lびん)の出荷量は、2008(平成8)年6億本を超えていたが、1年間に2,000万本ずつ減少し、令和3年には8,000万本を下回り厳しい状況が続いている。加えて現在、全国的にびんが不足する状況である。
- 容リ法の再商品化費用免除の目安となる回収率の推移は、直近2021年の回収率は71.3%。2008(平成8)年の88.2%より20%近く減少。また、新びん出荷量、回収びん出荷量も年々減少しているが、2020(令和2)年、2021(令和3)年はコロナ禍の影響から減少幅が大きくなった。
- 一升びんの流れは、料飲店、一般消費者で購入・使用されたびんは、酒販店、自治体、集団回収などで回収され、びん商、洗びん業者などを通じて酒造メーカーに納品。
- 一升瓶にかかわる各主体の各役割は、消費者はリユースびん商品の購入と適切な排出、びん商は回収・洗浄・供給、酒造メーカーはリユースびんをP箱で出荷、飲食店は積極的なリユースびん商品の使用、酒販店・小売店は店頭回収・消費者への啓発、P箱レンタル事業者はP箱の適切な管理、地方自治体は消費者への普及啓発・リユースびんの適切な回収および分別収集、国は消費者への普及啓発。このような役割分担の上に、このリユースびんシステムが成り立つ。
- 一升瓶の課題は、
1.酒販店経由での空きびん回収の減少で、消費者はびんの返し先がわからなく、生きびん回収している自治体は約半数程度。一升瓶を買った店に返した人は21.8%。
2.消費者のリユースびんの認知度の低下。特に若い世代では半数以上の一升びんがリユースびんだということを知らない。
3.回収びんに対する品質要求の高まり。消費者の認知度低下により、少しのスレ跡でも問題になるなど、製品事故を懸念。
4.再使用しにくい一升びんの増加。色の付いたびん、フロストびん、剥がれにくいラベルの問題。
5.P箱の不足。P箱の不足、ダンボール出荷の増加、びんの流通以外で使用されている問題
- 回収びんに関わる品質でスレ跡の種類を紹介。スレ跡、糊の跡、びんの口などの欠け、口サビなどがある。コスレ傷(スレ跡)にも種類があり、輸送中にP箱と接触したもの、充填、陳列中のびん同士の接触など避けられない傷があるが、これは回収びんにとって勲章であり、何回もリユースされている証し。また最近増えてきたコスレ傷は、びん同士の不規則なぶつかり傷や擦り傷など。集めた回収びんに、このような傷があるとカレットにしなければならない。
- 日本酒造組合中央会では1.8Lびんにつきまして、関係者全員で共通の認識を持つ情報共有の場としてステークホルダー会議を2016(平成28)年度から開催。
- リユースびんの取り組み事例として北海道 男山酒造、大分県 二階堂酒造・長松商店・日出町の取り組みの報告。
男山酒造の取り組み
リユースびんの資源循環の仕組みを継続的するため、地域の方にリユースびんを持ってきてもらい1本1ポイントとして、合計36ポイント(リユースびん36本)で720ml商品1本と交換を2021年7月より開始。
2022年より新ルールを設定して72ポイントで一升びん商品と交換。回収びんの本数は年々順調に伸び、消費者の反応も良い。
二階堂酒造・長松商店・日出町の取り組み
3者が連携して、びんの回収拠点を日出町に3か所設置。酒びんをいつでも持ち込める場所ができたので町民が非常に喜んだ。また、多くの品質のいいびんが集められている。
「東京家政大学 be draw project活動報告」
東京家政大学 be draw project
東京家政大学be draw projectメンバー
- 環境省により日本の1年間のCO2排出量が11億5,000万と発表されたが、環境や地球温暖化などの分野を専門的に研究は行っていないが、素人としても、この数値は大変多いと感じた。ただ、私たち一人ひとりの努力によって確実にCO2排出量削減には貢献できると考えている。
- 当プロジェクトは東京家政大学と日本ガラスびん協会との共同プロジェクトとして発案。ガラスびん入りミネラルウォーターを東京家政大学板橋キャンパス内にあるファミリーマートにて販売。その空きびんを回収、中身は再充填し、販売するという形で実際にリターナブルびんを循環させ、最終的にどれだけのCO2排出量を削減できるか可視化していく活動。
- 東京家政大学からは、造形表現学科、環境教育学科の2つのグループから合計10名の学生が参加。
- 役割は、造形表現学科はブランド開発、ポスターデザインなどによる広報活動、販促品アイテムデザイン。環境教育学科は、集計データの解析、環境への影響調査。販売データはまだ収集中。
- 今回は、造形表現学科が行ったアイテムのデザインに焦点を当て、プロセスなど当活動の推進方法を報告。
- プランディング過程は
STEP1ーイメージの共有では、ガラスびんの透明感や清涼感から連想される青、水色などの色味、さわやかさなどの情緒的なイメージ、つなげる、巡る、未来を描くなどガラスびんの循環型社会への働きに対するイメージなどが挙がる。
STEP2ーSTEP1で出たキーワードをもとに、ポルトガル語でガラスを意味する「vidro(ビードロ)」と英語で描くと意味する「draw(ドロー)」を組み合わせ、ガラスびんの未来を描くという想いを込め、プロジェクト名を「be draw project」に決定。
STEP3ー各種アイテムのデザイン・作成。
- 各種アイテムでは、ロゴ、オリジナルキャラクター、キャップ袋(飲みきれない場合を想定し用意したボトルキャップ用)、カード、ボトルタグ、回収BOX、王冠ドロップアート、ポスター、ポイントカード、缶バッジを作成。
- オリジナルキャラクターは、ガラスびんと水をイメージした女の子のキャラクターと地球温暖化などの環境問題に深く関わっているウミガメやホッキョクグマなどの動物をモチーフにデザイン。
- ボトルタグは、ガラスびんの美しさや透明感をより際立たせるデザインとし、タグの片面をボトルの形に切り抜く工夫を行い、ガラスびんを透かして見る時の景色をイメージ。
- 販促品としてポイントカードを制作。1本購入時にスタンプを1つをもらうことができます。5つ集めるとオリジナル缶バッジと交換。
- シンボルマークは、今後プロジェクトが続くことを考え、ひと目でガラスびんと理解できるシルエットと環境問題に関連するデザインを組み合わせる方向とした。色はイメージの共有案をもとに、青色、水色、薄紫色3色の構成。ロゴはシンボルマークとの調和性を第一に考えたデザイン。「W」が他の文字とデザインが異なるのは、この「W」はキャラクターにも使われている水引の意味が込めた。
- 王冠ドロップアートは、購入後に捨てられるガラスびんの王冠を活用してプロジェクト参加者が楽しめるものとして考案。当初モザイクアートを検討したが、個数や色味などの問題のため、白い薄型の箱に青い王冠を入れることで絵柄が浮かび上がる王冠ドロップアートに決定。デザインは現段階で4種類。オリジナルキャラクターの動物をモチーフにしている。満タンになったものは、順次新規デザインに取り替え、成果物として飾る予定。
- 今後のプロジェクトの展望は、現状のデータ収集は、販売されたリターナブルびんの25%が回収できていない。今後はびんの回収率上昇が課題。解決策として、ポスターデザインの改良、フライヤーの作成など、広報活動にさらに強化することを検討。課題解決のためにも、リターナブルびんの販売は2023年夏頃までを予定。今後も実証を続ける。
「生活クラブ生協によるびんリユースの取り組み」
山本 義美
(びん再使用ネットワーク事務局長、びんリユース推進全国協議会運営委員)
- 生活クラブ生協は、首都圏、関西を中心とした宅配型の生協で、北海道から兵庫まであり、約41万人の組合員数である。
- 日本では、1970年〜80年代の今から50年以上前から大量生産、大量消費という問題が拡大し、大量廃棄による最終処分場の逼迫という問題が生じた。
- 生活クラブでは約30年ほど前に、組合員リーダーが参加、検討するプロジェクトを3年間行い、ガラスびんを繰り返し使う「グリーンシステム」を選択。組合員の直感で選択したものではあるが、今日のSDGsを先んじた取り組みであり、未来につながる暮らし方の提案と実践と言える。一方、国はこの問題に対して、3Rというリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)のなかでリサイクルを重視し、容器包装リサイクル法による税金を使ったリサイクルを進めたため、残念ながら、日本の3Rはあまり進んでいない。
- 一般廃棄物の総排出量(環境省データ)は、戦後の高度成長で一般廃棄物の総排出量が増加し、2000年(平成12年)度に約5,500万トンでピークを迎えた。1970〜80年代まではガラスびん、缶が多くプラスチックがほとんどなかった時代。21世紀は圧倒的にプラスチックの時代である。ターニングポイントが1995年の容器包装リサイクル法であると思う。このとき500ml入りの小型ペットボトルの使用自粛が解禁されてしまった。
- ごみ総排出量、一人1日当たりの排出量(環境省データ)は減少傾向にあるが、2020年に大きく減少した。これはコロナ禍の影響で小規模、飲食店などの事業系一般廃棄物が減ったためである。今後のリバウンドが心配される。
- 総資源化量とリサイクル率の推移(環境省データ)では、リサイクル率は20年近くの間20%程度である。OECDの平均リサイクル率は40%である。ドイツ64%、韓国58%、アメリカ35%に比べて日本は格段に低いリサイクル率。大きな理由は、日本は生ごみのリサイクルができていないためである。ドイツ、韓国は進んでいる。日本も生ごみのリサイクルができれば燃やすごみが減るので、ごみ焼却炉は3分の1程度に減らせるのではないか。世界のごみ焼却炉の半分以上が日本に在ると言われている。
- 最終処分場の残余年数は、あと22年しかない。2050年には埋め立てる処分場がなくなる。この問題が周知されていないことは大きな問題。
- 環境省の2018年度データで、家庭ごみの内、紙、プラスチック、ガラスびんなどの容器包装が62.4%。そのうちプラスチック類は46.4%。このため、ごみ問題はまず容器包装ごみを解決しないといけない。
- 究極的に、容器包装はガラスかプラスチックしかない。ペットボトルはポリエチレンテレフタレートというプラスチック。牛乳パックもすべてが紙ではなく内面はポリエチレンというプラスチックでコーティングがされている。アルミ缶、スチール缶も内面はプラスチックでコーティングがされている。そのため、最終的に食品が触れるのはプラスチックかガラスである。
- 究極的に、容器包装はガラスかプラスチックしかない。ペットボトルはポリエチレンテレフタレートというプラスチック。牛乳パックもすべてが紙ではなく内面はポリエチレンというプラスチックでコーティングがされている。アルミ缶、スチール缶も内面はプラスチックでコーティングがされている。そのため、最終的に食品が触れるのはプラスチックかガラスである。
グリーンシステムと呼んでいるのは、緑という意味もあるが、GARBAGE REDUCTION FOR ECOLOGY AND EARTH’S NECESSITY=“地球生態系のためのごみ減量”のためのシステムという略称からである。最大の特徴はリユースびんの規格の統一。その後、2000年には、牛乳を紙パックからガラスびんに切り替えた。
- 規格の統一は、世界にはない日本独自の一升びんの仕組みを採用したものである。中身は調味料やジュースなど様々であるが、68品目を6種のリユースびんにしたことで6分別となり回収・選別・洗浄の効率が飛躍的に向上した。リユースびんの肩と裾にRマークを刻印している。
- 環境問題は1生協だけでは解決できないため、パルシステム連合会、グリーンコープ連合や東都生協とともに1994年にびん再使用ネットワークを設立。現在、全国で約270万世帯の組合員がRびんのリユースに取り組んでいる。1994〜2021年度のびん再使用ネットワーク全体の累計実績は、3.9億本を供給、2.6億本を回収、回収率は66.9%。生活クラブ生協独自では、1.9億本供給、1.3億本回収、回収率は71.6%。目標は回収率80%。
- 一般の社会では、リユースびんが減少しているが、SDGsの時代になり、LOOPや足柄聖河が登場するなど、ようやくリユースびんが見直され始めている。
- LCAの評価でも、リユースびんは環境負荷が少ないことが明らかとなり、重量びんを未回収で自治体のリサイクルに出した場合と、超軽量Rびんで回収率75%でリユースした場合の差を比較すると、1本で250gのCO2を削減できる。紙パックを900mlびんに変更すると、1本で35gのCOsub>2を削減できる。紙パックは比較的環境負荷が少ない容器のため、CO2削減量が少ない数字となった。
- 2021年度における生活クラブ生協のびんリユースの成果は、Rびんと牛乳びんを回収することによって約4,200トンの容器資源を回収。これはジャンボジェット機の12機分と同じぐらい。びんをリサイクルした場合と比べたCO2削減効果は約2,000トン。これは東京ドームとほぼ同じぐらいの大きさ。自治体のリサイクルのために必要な収集費用を2.5億円節約。生活クラブ生協のリユースびんは、毎年これだけの環境負荷やコストの削減効果を出している。
- このようなことが評価され、2018年度に「グリーンシステム」が環境省グッドライフアワードを受賞した。
- まとめとして、おいしい食べ物はガラスびんに入っているのがみなさんの実感だと思う。そのびんを、回収してくり返し使えば使うほど、ごみやCO2などの環境負荷を減らすことができる。30年に及ぶ、生活クラブ生協によるびんリユースの取り組みは、未来につながるオルタナティブな“暮らし方の提案と実践”と言えるのではないか。世界的にもSDGsの達成貢献が求められる時代になり、一般の社会でも、リユースが見直される時代になった。ガラスびんという文化、リユースという暮らし方を大切にして、真に持続する社会を目指したい。
(5) パネルディスカッション
テーマ1: 基調講演・事例紹介についての意見
○ 野村氏(九州大学)
- 卒業研究で留学したイギリスでの自転車利用促進政策を研究。3月卒業、8月より大学院に進学。循環型社会は大変興味があり、大学在学中にキャンパス内外で生ごみコンポストを普及させる取り組みに参加した。
- 今回、循環型社会をびんという視点から考えさせる、とても貴重な機会である。
- 基調講演で、企業は環境対応を始めた時の先行利益が、ヨーロッパでは得やすいが日本ではそうではない。その理由は、人々の意識、機関投資家の動きが異なるとあった。これはびんリユースでも同じようなことが起こっているのか。びんリユースの産業が始まった頃、先行利益が日本では難しかったのか。今環境意識が高まっているが、現状では、その利益というのも得やすくなっているのか。
野村氏への回答
- 安井 代表
日本とヨーロッパの国々との違いは、ヨーロッパは同じような国々に一見見えるが、都市があるとそこの周りで何か社会ができ、地域ごとに特色がある。日本は均等な社会システムに近く地域ごとの変化が少ない。ヨーロッパは大変ローカル的で人口20万程度の都市でも、その範囲内での行動を地域で話し合うこと決定し、実行できる。これは社会構造の違いであると考える。
- 田中 副代表
びんリユースの先行利益は、日本の場合は、ガラスびんの利用は、びんリユースから始まっていると思う。日本国内ではガラスびんは作られておらず、明治維新により、海外との交易ができ、ガラスびんに入って酒類が輸入される。その空きびんをリユースするため、現在のびん商に近い商売がその頃から始まっていると思う。当時の日本では、日常品の容器としてガラスびんは普及していないため、非常に貴重で価値ある容器としてリユースされていたと思う。
びんリユースシステムは、出荷で輸送費・CO2排出、回収でまた輸送費・CO2排出。そのため、国が提唱する地域循環共生圏のコンパクトなマーケットで循環させるのが非常に理にかなっているシステムである。びんリユースシステムに加え、商品の中身も地産で、そのエリア内で消費をすると、まさしく地産地消が実現でき、非常に親和性の高い容器もしくはシステムであると思う。
- 戸部氏(トベ商事 代表取締役会長)
最初びんのリユースというのは、ビール会社がびん詰めして販売した時から開始。長い歴史がある中で平成に入りさまざまな容器が出てきて、ワンウェイ化してリユース容器が減少したが、埋め立て地がなくなることから、分別回収が始まった。
現在、リユース容器は、ビールはびんから缶に、お酒の一升びんは紙パックになるなど容器が変わってきている。そのため、改めてリユース容器を見直した方がいいという考え方が多く出てきた。これはSDGsという言葉がこの5年ぐらい前から出てきたのと同時に、びんリユースによってSDGsの一端を担うことができるという話もあります。その関係で2年ほど前、アメリカで行われたLOOPというリユース方法を東京都が推奨したり、全く別の業界からリユースについていろいろと質問がある。ただ、これからリユースを始めたいという会社はあるが、回収をどうやってやるかが一つのポイントになる。ガラスびんしても、さまざまな種類がある。
リユースによってCO2削減が可能となるため、今後、さまざまな活動が期待できると思う。
○ 小林氏(九州大学)
- 大学では生物多様性の課題を中心に研究。環境問題は幅広く、さまざまな分野があるが生物多様性の分野は、環境問題の中でも遅れている分野と思う。先進的な事例を聴き、参考にしたい。
- 基調講演を聴き考えたのは、ガラスびんの利用、びんリユースは一つの文化としても捉えられると思った。
- 僕は地域活性化に取り組んでいるが、田舎の古民家に行くと多量の醤油びんなどが出てくることがある。若年層は、びんとの接点が少なく、醤油びんは生活にはほとんどなく、プラスチック容器が多い。僕らが見えていないところで、びんを利用する文化が形成されてきたことが考えられ、サステナブルに加えて、文化を守るという背景でも、びんリユースの推進が可能と考えている。
小林氏への意見
- 田中 副代表
びんは容器としては古い。さまざまな新しい素材が出て、移行している場合があるが、びんの優れているところは保存性。圧倒的に他の容器に比べ保存性能が高いと思う。加えてびんは、他の素材にない手触り、光沢などびん独特のものがある。そのため、びんにこだわっている中身メーカーも確かにいる。日本全国で均一な商品を、大量に製造・販売・消費するという分には、もしかするとびんはそぐわないのかもしれないと思う。一方で、他の容器にはない、独自の価値がある。その独自の価値を認識されて大事に思うお客様もいると思う。
○ 河合氏(東京農工大学)
- 大学では環境教育学を専攻。3月卒業。循環型社会等は興味ある分野で、自分自身環境に負荷をかけない暮らし方などを探求。個人の活動として、東京湾谷津干潟の保全活動に参加。そこで拾った海洋プラスチックを使ったアクセサリー作り体験などを通して、人々の環境に対する意識をどう変容させていくかに取り組んでいる。
- 講演、事例紹介などを聴き、びんリユースに私自身今まであまり目を向けたことがなく、さまざまな取り組みが行われているのを知らなかった。若年層には、びんリユースの取り組みを知らない人が多くいると感じており、それをどう広げていくか、どう普通の生活の中にびんリユースを組み込んでいくのかを考えることが重要である。
- 東京家政大学のビードロー・プロジェクトは、大変興味深い取り組みであり、特にびんの王冠でのドロップアート。王冠を入れて絵が浮き出てくる形を初めて聴いたので、自分の参加する活動に、持ち帰りたいと思う。
- 普段環境が専門でない造形表現学科の皆さんが、そのプロジェクトを通して環境やリユースについて何か学んだことがあればお聴きしたい。
河合氏への回答
- 東京家政大学 be draw projectメンバー
ドロップアートのアイデアを使って欲しい。そして海洋ごみの解決に向かえば良いと思う。造形表現学科の私たちは環境関連を専門的に研究していないため、一般の若年層と同じ立場だったと思う。ただ、このプロジェクトに携わるにあたって、びんのリユースなどその関連をいろいろ調査した。このプロジェクトを通して、環境問題に携わることができ、環境問題の知識が蓄積したことはとても有意義。
○ 木下氏(近畿大学)
- 大学では建築を専攻。環境などを学んでない。ただ建築は、窓、壁面、断熱材などガラスが身近にあるため、ガラスは大変興味がある。
学外の活動で、地方創生やSDGsなどの環境を学ぶうち、リユースびんについても学び、関心を持った。
- 来賓講演の中で日本の資源は、地政学的に資源が少ない。ウクライナ侵攻などにより寸断されることが起こりうる資源を頼りにしている日本は先行利益が得られていないのは残念。日本という均等に動く国で、どのような取り組みが行えるのか、また均等を解決することで、東京一極集中、地方分散が解決できる。
- びんの普及が地方の活性化につながることによって、ローカルマーケットが盛り上がり、地方分散が可能になると思う。
木下氏への意見
- 田中 副代表
ローカル経済を活性化させることにも、びんリユースシステムは貢献できる要素はたくさんあると思う。例として、北海道の小規模自治体が、資源回収をびん単独で収集、選別センターでコンベヤーではなく台で選別。そこですごいのは活きびんを選別している。活きびんを選別があっても普通は一升びん、ビールびんが一般的だが、ここは地元の牛乳びんも選別し、リユースのルートに戻している。これは大都市では不可能。小規模であることから、非常にいいシステムが簡便にできる可能性は多く秘めている。
○ 原田氏(関西学院大学)
- 大学では社会起業を専攻。3月卒業。大学3年生に、会社を設立。事業は、サステナブル教材の開発・販売、エシカルな商品の体験のためのショールーミングスペースを商業施設に設置、企業・学校・行政に向けた講演、ワークショップ。
グループ会社もあり、社会起業家の育成支援、障害者福祉の就労支援、動物保護の観点で保護事業を行い、ビジネスで社会問題を解決することに挑戦。
- 環境問題を解決するため、エコな暮らしをしてくださいというのは難しい。ただ事例として、オルバースという人気のある靴ブランドがある。丸洗いでき、軽くてシンプルなデザインで流行った上に、環境に優しいという訴求が人気になったと思う。
- 環境に良いからという理由でびんを訴求するより、ノスタルジック、素敵、懐かしさを感じさせられるなどの延長線に環境に優しい、環境配慮されているなどとリンクすると広く訴求される可能性があると思う。
- SDGsダイアリーを製作したが、最近SDGsの言葉を使わないようにしている。SDGsを達成するためより、社会問題を普及させるために製作した方が近いためである。
- スウェーデンに行った時、ガラスを回収して自分たちで溶かし、新しい商品を作る体験をしたが大変良い体験だった。
幼少期の教育も大きく違う。
河合氏への回答
- 安井 代表
国のサイズは重要。日本は人口が多い方で、ヨーロッパはそれぞれの国の人口は少ない。スウェーデンの場合、人口が少ないこともあり、さまざまな行動が実現できると思う。
- 田中 副代表
環境にいいというだけで、モノは売れなかったり、お客様から支持を得られないことはあると思う。安井先生の意見通り、日本人特有の価値観かもしれないが、ヨーロッパには日本と違う価値観がある。
ヨーロッパはとてもガラスが好きだと思う。ガラスびんはヨーロッパで増えているが、残念ながら日本、韓国など東アジアはガラスが減る一方である。
北欧はリサイクルが進んでいるイメージがあるが、ビジネスの部分が多い。他国の可燃ごみも集めそれを燃やし、熱源や発電に使うビジネスもある。
リサイクルでは、実は日本は進んでいる。ガラスびんのリサイクル率は約7割でヨーロッパと比較しても遜色ない数値である。そのうち、リサイクルされたガラスびんのうち8割がもう一度ガラスびんになる。ガラスびんからガラスびんにリサイクルする水平リサイクルです。これはガラスのリサイクルしても品質や組成に変化がないので、何回でもリサイクルが可能。他の素材では、難しい。
海外とのリサイクル率の算式を比べると違う。日本では、「市場に出荷したもののうち」、どのくらいの量がリサイクルされたかを表している。ヨーロッパの中には、「回収したもののうち」、どのくらいの量がリサイクルされたかを表している国もある。
同じリサイクル率ですが、どう計算するかで異なるため、数値だけ比較してもあまり意味がない。そういった意味では日本はすごい。ただ、システムとして回っているので、一般の生活者はガラスびんをリサイクルするために何か行動をしているというより、自治体が定めたルール通りにすると、リサイクルされる仕組みになっている。それが3Rの認識や意識がだんだん低下する原因の一つになっていると思う。
○ 星野氏(関西学院大学)
- 大学では社会起業を専攻。日本ではたくさんの社会課題を、今までは政府、自治体、NPOなどがボランティアのような枠で解決しようとしてきたが、それをビジネスとして解決することを学ぶ。
- 本日配布したSDGsダイアリーは大学授業のプロジェクトで制作したのをきっかけに、今回3冊目の23年度版を製作。
- 昨年度からRびんプロジェクトに関わり、リユースびんについて多く学んだ。基調講演でもあったように、私自身、日本人の国民性がリユースびんの普及に関係していると思う。SDGsなど認知度は上がっているが、行動に移せない人が多い。その原因の一つは、自分の中でその意義を見いだせていない人が多いからであると思う。
- 教育の面でアクティブラーニングなど盛んに言われているが、知識をインプットするだけで、自分で考えてそれをアウトプットする場が少ないと思っている。
今回、皆さんにお配りしたSDGsダイアリーは、SDGsの知識、アクションなども書いている。各月の行動宣言があり、ダイアリーを使うイベントをこれまで開催したが、私たちが重視したことは、イベントに参加し、参加者のさまざまな行動などを聞いて、参加者自身、当日から何をするかを宣言してもらう。
- 環境・SDGsの教育は私たちが中学、高校のときにはなく、大学の時に初めて知った。それに比べ、今の小中学生は学習をして知識があるので学校で講演したとき、「もっとSDGsを勉強したい」「環境について勉強したい」という生徒がたくさんいた。だが関心はあるが、何から行動すべきかがわからない生徒たちが多いので、それを伝えていくことの重要性を実感した。
- 本日、産官学のパートナーシップがこれから必要であると話があったと思うが、現在この産官学の連携ができていない。地方自治体が何を困っているかっていうと、SDGsや環境について自治体として政策を立てていかないといけない。必要性は感じているが、自治体だけでは限界があるから、市民団体、企業と繋がりたいが、その架け橋となるところがない。
- SDGsダイアリーはさまざまな自治体、企業、学生団体などを掲載しているので、繋がる機会の架け橋となる役割を行っていきたい。
- 生活クラブ部の話の中に、日本は生ごみのリサイクルがなかなか進まず、ドイツや韓国では進んでいるという話があった。なぜ日本では進まないのか。そして逆にドイツや韓国では、どのように生ごみリサイクルが進んでいるのかが気になった。
星野氏への回答・意見
- 山本氏 びん再使用ネットワーク事務局長
日本でなぜ生ごみのリサイクルが進まないかは詳しく調べていないが、日本のごみの問題は江戸、明治時代ぐらいに伝染病の問題などから始まり衛生性の問題で、すべて燃やす方向に向かい、それをリサイクルすることは思わなかったのかもしれない。
ドイツは行っていないので把握していないが、韓国に行った時、資源の分別があり、生ごみも集めるところがあった。そこには毎日収集に来る。理由は不明だが韓国では、そういうシステムができあがったため、リサイクル率が高くなったと思う。
- 田中 副代表
次の世代に伝えるのは大切。環境啓発を以前からやっているが、不思議に思うのは小学校4、5年生で環境授業があって、それから10数年たつと環境意識の低い人間が出来上がるというのがよくわからない部分である。それは、おそらく自分事として行動していないため、教育を受けたのに、徐々に意識が希薄になり、大人になると跡形がなくなるのは非常に残念。
テーマ2: あなたが考えるサステナブルな未来とは
○ 野村氏(九州大学)
- 私が考えるサステナブルの未来は、大きい地域単位で大量消費、大量生産、大量廃棄をする構造ではなく、小さな地域単位で、資源循環がうまく回るような未来がいいと思う。それはサステナビリティが環境のみではなく、社会、経済などあらゆることを含むものだと思うので、資源循環をうまく回す上で、環境に悪い産業を排除してまで強行するのではなく、雇用の創出を図り、地域の活性化も行いながら、地域の成長・人々の生活の豊かさにも繋がるような形になることが大事だと思う。
ただ、小さな地域単位で行う資源循環を実現するのは難しいと思う。地域にしても都道府県、市町村ごとにさまざまな特色があり、ある地域には強い産業があり、ある地域には産業基盤はほとんどないが、サービス業で回っている地域などさまざまである。そのため都道府県、市町村ごとの区切りで考えるのではなく、もっと別次元での柔軟な協力や連携が必要になると思う。
- 生ごみコンポストの活動をしているが、その活動ですごく難しいと思うことが多い。どこか一つのところが頑張るのではなく、必要なところを補いながら協力していく体制がもっと広まるといい。
- 本日はさまざまな話を聴いたが、企業レベルの話が多かったと思う。私は家庭レベルでのびんリユースが広まってもいいと思う。例えば、英国に留学した時、醤油やオリーブオイルなどを自分で量り売りをしている店が近くにあった。留学中に空いたワインボトルを、醤油やオリーブオイルを買うために使用した。日本でも量り売りなどで、びんリユースできる仕組みが広まれば、びんリユースが身近になり、生活になじませることができると思う。
- 本日は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。私自身、このようなイベントに参加することが初めてで、プロフェッショナルな方々と学生の意見交換の場があったのがすごく新鮮で、この機会がもっと広まっていけばいいと思う。
○ 小林氏(九州大学)
- サステナブルなものをサステナブルとしてアピールするにあたり、サステナブルという要素のみだと足りないと思う。私たち世代はサステナブル、SDGsなどを聴き慣れているとまで言わないが周りに多くなり、今後サステナブル、エシカルというものがさらに増えると、これもサステナブル、これもサステナブルとPRされた時、消費者などはどれが本当にサステナブルなのかを追求できない場合、サステナブルとは別のプラスアルファの付加価値があるものを選択すると思う。パネルディスカッション内でびんの文化、事例紹介でのびんのキズを勲章と表現するのは面白いと思った。
- 生ごみコンポストの活動をしているが、その活動ですごく難しいと思うことが多い。どこか一つのところが頑張るのではなく、必要なところを補いながら協力していく体制がもっと広まるといい。
- 私は日本酒が好きだが、日本酒のびんにキズがあった場合、これはこのびんが今までリユースされてきた勲章だとうまくアピールできれば、注目する人が多くなると思う。サステナブルは大事ですがサステナブルに加えて、びんだからおいしい・格好いい・かわいいなど別の方向性の付加価値をつけられると、今後広がると思う。
- そもそも若年層とびんは、心理的距離が遠いという問題があると思う。若年層にサステナブルのみのPRではなく、キズはびんが今までリユースされてきた勲章だと表現することでプラスアルファの評価になる可能性がある。
- 本日の最後の発言として、私の主観で締めくくろうと思う。私は他の素材の容器ではなく、ガラスびん、リユースびんに入った日本酒を飲みたい。おそらく、全世代の日本人共通であると思う。
○ 河合氏(東京農工大学)
- 野村氏同様、小さい地域の単位の中で回して、それで続くのが理想型と私も思っている。個人の幸せと世の中の人々の幸せが接続している社会であってほしいと思う。一人ひとりのウェルビーイングを追求した先に、世界の幸せが接続されていないのが問題であり、個人の幸せとそれが他の人に及ぼす影響が繋がってほしいと思う。そのためには、まず自分がさまざまなもの、人たち、物事の上に自分の生活が成り立ち、さまざまなものと相互に影響し合っていることに自覚的になるのも一つだと思う。
- 日本のびんのリサイクル率が高いが、それはリサイクルしている意識がなくても仕組みになっているから、3Rの認識や意識がだんだん低下する原因の一つという話があったが、仕組みとして気がつかない間にサステナブルなことをしているシステムになるのが一番の理想である。
- 本日はこのような機会をいただき、ありがとうございました。自分たち若年層の意見を聞いてもらえる機会は、すごく大事だと思っており、日本の教育的にも主権者としての感覚が薄いと言われることがある。さらに意見を聞いてもらえる機会が増えたらいいと思う。
河合氏への意見
- 田中 副代表
自分の幸せは今ここにある利便性でそれは自分達の幸せに繋がっていない可能性がある。この利便性は何かとトレードオフしているが普通日常的に考えることはないが、今後は自分の利便性とサステナブルな社会というのを考える必要があると思う。システムで回るのは効率的ではあるが、意識した行動ではないため問題があると思う。
意識を育てることは重要だと思うし、トレードオフになる部分を考える必要がある。私は大学の授業で自分の生活が、世界とどう繋がっているかを検討したが、児童労働や環境負荷との結びつきがあった。それをきっかけに買い物が大変しづらくなった。世の中の人々も何かをキズ付けたとか、何かに負荷かけて生きたいとは思っていないはず。そこを自覚できれば、自分の心地よい暮らしのために、さまざまな負荷をかけない選択をする考えが生まれてくると思う。そういう繋がりに自覚的になるのは大事だと思うが、システムとしても回っていかないと続かないと思うので、システムで回る部分と人々が意識しながら回る面の両方が大事。
○ 木下氏(近畿大学)
- 自分が考えるサステナブルな未来とは、自壊とか瓦解する社会ではなくなること、すなわち社会を回していく中で減少していくような社会ではなくなることだと思う。現状、環境を犠牲にして利便性をとっている部分があるが、びんは、ヨーロッパではしっかり回収でき循環している一方で、日本のびんは改善が必要だと思う。うまく循環できていないのに、それを使い続けることは、自分の首を苦しめていく。基調講演での気候正義などの概念的な話で、ヨーロッパは正義を問うなどの話し合いがあると聴いたが、それが日本にないのであれば、この状態を継続することは日本のサステナブルではないと思う。サステナブルな未来というのは、サステナブルな社会の集合体であると思うので、そのサステナブルな集合体ではない日本の社会は淘汰され衰退すると思う。
- 一升びんや他のリユースびんは割られてワンウェイびんのように使われる状況がある中、リユースびんは重い、割れるなどのデメリットはあるが、リユースできるびんのメリットを最大限利用しているので、なぜワンウェイびんを続けているのか思うし、必要ないと考える。ただ、リユースびんのみにすることは無理だと思う。ワンウェイびんは見た目がメリットとなり、ワインなど贈答とするときには、一般的にはキレイなびんで渡すと思う。びんを使うメリットは何かを考えた場合、やはりリユースびんが主流であるべきで、そうならないと衰退する。
- 私はジェネレーションギャップという言葉が好き。先人の話はすごく興味深いし、面白い。今後も学生などの若年層を巻き込んでください。
○ 原田氏(関西学院大学)
- 私が考えるサステナブルな未来は、皆さんが持っている思いを、今のZ世代もしくは次の世代に受け継がれていくことによって生まれるものだと思う。資料に未来は何年頃訪れるのかと書いてあったが、2025年に大阪万博があり、それぐらいから本当に大きく変化して欲しいという期待はある。自分たち自身も、今それぞれ全然違うフィールドで未来を作るための活動をしているので、これを機に変わってほしいと思う。2025年はもうすぐですが、いろんな国の方々が来るので、国の政策、企業単位のプロモーションをやらざるを得ない人たちが増えると思う。
- びんの視点で考えづらかったですが、今後のびんについては、私は今回多くのリサーチをしたが、香水などはガラスが多く、ガラス容器は高級感がある。Z世代とか若年層からすると、日頃使う香水などがリフィルに変わることや使いまわす容器になるのは、リユースを自分たちが考えて行動する入り口に繋がると思う。また、香水のびんはリサイクルが可能ですか?もしくは、普通の一升びんと、香水に使われているびんの性質は違うのでしょうか?
- ジェネレーションギャップは必ずあり、私たちも現在の小中高校生には価値観が古いって言われる可能性あると思う。ジェネレーションギャップあることを前提として、若者が言っている程度で終わらないように、年齢が上の方々への働きかけ方法などのアドバイスがほしい。
- 本日は皆様、本当にありがとうございました。貴重な機会をいただけて感謝している。学生とプロの方々との対談ではあったが、このシンポジウムで気付いたびんの魅力を自分たちは次世代に伝えたいと思う。
原田氏への回答・意見
- 田中 副代表
香水は、現在もガラスびんを使用されることが多いが、それは香りが外へ逃げないための品質維持のガスバリア性が必要だからである。
一般的なガラスびんや一升びんはソーダ石灰ガラス(ソーダガラス)、化粧品びんの中には透明度の高いホウケイ酸ガラスを使用しているものもある。それを混ぜるとリサイクルには支障が出ている。香水のびんは、自治体によってルールが異なるが、食品用途のガラスびんと一緒に集めないルールが多いと思う。リサイクルは大量に集まらないとリサイクルのメリットが出ないため、少量だとリサイクルは難しい。ただ最近テラサイクルジャパン社が、ブランド各社とプログラムを組んで店頭回収を行っている。
一升びんは、現状大変な状況ではあるが極めて合理的なシステムである。一升びんはリユースが可能な、シェアリング容器。特定の所有者はなく、使用後、回収して洗って誰でも使用できる。ただ、シェアリングの難しいところは需給関係。新びんの供給と、リユースびんの使用するバランスがとれるとシステムが回るが、リユースびん使用量が減少、新びん利用量が増えると、需給バランスが崩れる。
国酒である日本酒は長い間リターナブル容器を主として、昔は樽や陶器など全部リターナブル容器を使用していた。2025年の大阪万博では日本酒のアピールとともに、リユースびんのシステムをアピールしてくれると、外国の人たちにも。
- 月足氏(九州硝子壜商業組合)
私は正直、私は正直、環境大義を振りかざすのはあまり好きではない。先ほど発言した方がいるが、環境にいいからとお願いしても人には響かないことがある。私は酒蔵と話しをする場合、一升びん、5合びんなどラベルを含めたお酒の文化を我々が日本人として守り、その中に含まれるリユースびんも継続しましょうと伝えると大変共感してもらえる。ジェネレーションギャップや人によって捉え方は違うが、環境に良いことは事実なので環境を前面に出すのではなく、代わりに日本の文化など他のことを前面に出すべきだと思う。
○ 星野氏(関西学院大学)
- 私は今のままでは、サステナブルな未来は正直なところ実現しないと思っている。私が考えるサステナブルな未来は。新しいと価値が高いのが当たり前ではない社会。サステナブルな未来に近づくためには、まずその価値観を変えないといけないと思う。例えば、日本は以前「もったいない」の文化があったが、最近消えつつあると感じる。便利な世の中になってしまったが故に、不便な生活をするのは難しいと思う。
- リユースびんに関して、当初キズが付いているのは商品にならないなと思ったが贈答品を除く普段使いには、外見にキズが付いていても、その衛生性、安全性が保たれていれば使用は可能。何もデメリットはない。逆にびんは唯一3Rに対応している容器であり、ペットボトルと比べて衛生面、安全面でも機能が優れていると思うので、キズが付いていたとしても、今まで人々に使用され、大事にされてきた証としての価値観に転換させることで、キズは問題なくなると思う。
- ペットボトルは環境問題などに取り上げられる機会が多いが、びんは取り上げられる機会が少ないと思う。また、リサイクルより、リユースの方は環境負荷が少ないことも、リユースびんに触れ合う機会が少ないため、私たち一般消費者には考える機会はない。スーパーではトレー、段ボールなどの回収はあるが、びんの回収はないのでスーパーに回収ボックスなどを置いたら一番一般消費者の目に入るので、企業のトップの人たちの価値観を変えていければ良いと思う。
- 若年層の価値観は環境問題に興味を持つ人たちは増えていると感じる。しかし、会社のトップの方などはまだまだ志向が薄い方がいると思うので、その方々が了承しないと世の中と変わりにくいのでそこで挫折や失望感じてしまうと思う。
- 本日はありがとうございました。リユースびんの知識は少ない私も自分自身で考えて、それを伝える機会があり、大変勉強になった。私はジェネレーションギャップを批判しているのではなく、未来だけではなく、過去も大変興味があるので、悪く受け止めないで欲しい。
(6) シンポジウム総括
安井 至
(びんリユース推進全国協議会 代表)
- 若い方と話ができたのは、非常に刺激があり、楽しめた。
- パネルディスカッションは難しい議論を進めている感じがあった。日本の文化とヨーロッパの文化は違う。日本は「もったいない」的になりがち、ヨーロッパはもったいなくならない程度に消費をして、その消費は個人主義的な色彩が強いと思う。
- さまざまな国に行ったが、国の違いみたいなものを眺めていて、それで日本はこうだね。外国はこうだなと思った。
- 世界は日本だけでできているわけではありません。若い方には、ヨーロッパに行ってもらって、文化の違いを見てもらい「日本の未来をこういう風にしたらこうなる」みたいな議論ができるぐらいになって欲しい。
(7)閉会挨拶
田中 希幸
(ガラスびん3R促進協議会 理事・事務局長、びんリユース推進全国協議会 副代表)
- 若い方に来ていただいたパネルディスカッションは初で、皆さんしっかりした考え方を持ち、発言ができるというのはすばらしいと思う。
- 今回の参加者の意見を受けて私たちはどう行動するのか、または今回の参加者と今後一緒に何かを考えて、コラボレーションできたら良いと思う。
- 本日会場の参加者のみの特典として、パネルディスカッションに参加の原田さんたちの会社が製作したSDGsダイアリーを配布。2月のページに掲載されている大阪の洗びん業者 成尾屋から寄贈された。
- 引き続き、ガラスびんならびにびんリユースについて、興味・何らかの支援・ご協力をいただけると大変ありがたく思う。
- (1) 開会・主催挨拶
- 吉川 康彦
(びんリユース推進全国協議会 副代表、全国びん商連合会 副会長) - (2) 来賓講演
- 「我が国におけるサーキュラー・エコノミー(循環経済)のこれから」
田中 将吾 氏
(経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課長) - (3) 基調講演
- 「持続可能社会におけるびんリユース」(仮題)
安井 至
(びんリユース推進全国協議会 代表、東京大学 名誉教授) - (4)事例紹介
-
1. 「1.8Lびんの現状と課題」
舩戸 正義 氏
(日本酒造組合中央会 業務第一部課長) -
2. 「東京家政大学 be draw project活動報告」
東京家政大学 be draw project
東京家政大学 be draw projectメンバー -
3. 「生活クラブ生協によるびんリユースの取り組み」
山本 義美
(びん再使用ネットワーク事務局長、びんリユース推進全国協議会 運営委員) - (5) パネルディスカッション
-
次代を担う若い方々に参加いただき環境課題への考えや対応について自由に議論
ファシリテーター
田中 希幸
(ガラスびん3R促進協議会 理事・事務局長、びんリユース推進全国協議会 副代表)
パネラー
- 原田 瑞穂氏(関西学院大学)
- 星野 奈月氏(関西学院大学)
- 木下 裕翔氏(近畿大学)
- 河合 千尋氏(東京農工大学)
- 小林 海璃氏(九州大学)
- 野村 紗里氏(九州大学)
- 岡見 厚志 (TRびんプロジェクト代表、びんリユース推進全国協議会 運営委員)
- (6) シンポジウム総括
- 安井 至
(びんリユース推進全国協議会 代表)
- (7) 閉会挨拶
- 田中 希幸
(ガラスびん3R促進協議会 理事・事務局長、びんリユース推進全国協議会 副代表)
(1) 開会・主催挨拶
吉川 康彦
(びんリユース推進全国協議会 副代表、全国びん商連合会 副会長)
- 当協議会は、2011(平成23)年〜2016(平成28)年環境省が「我が国おけるびんリユースシステムのあり方検討会」の委員を中心に発足した非営利団体。2ヶ月ごとに委員会を開催し、運営。
- 活動は、びんリユースシステムに携わる方々のネットワークづくり、教師向けガイドブック作成、リユースびんの回収拠点マップの作成、リユースびんの情報発信。
- 年に一度シンポジウムをさまざまな地域で開催。今回は129名が参加。
- 住まいの京都はまだだが、東京では桜が咲き始め、入学式のイメージであるが年々早くなってきている印象があり、地球温暖化も一因と思われる。
- 公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次報告書のニュース記事では、「地球温暖化の悪影響が世界中におよび、気温上昇を抑える国際目標の達成は瀬戸際に立たされている」内容であった。化石燃料に頼らない脱炭素化を実現する社会づくりが不可欠。
- 容器の分野では、リユースびんはRE100が可能と考え、期待の意見を聴くことがあり期待が高まっている。
- 本日のシンポジウムで、リユースびんが社会でどのような役割を果たすことができるかを、さまざまな分野の方々の意見を聴けることを楽しみにしている。
(2) 来賓講演
「我が国におけるサーキュラー・エコノミー(循環経済)のこれから」
田中 将吾 氏
(経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課長)
- 気候変動、生物多様性など地球環境において、人類の活動は大きな負荷となっている。長い間問題となっているオゾン層破壊は改善方向にあるが、気候変動の問題は他にもさまざまある。
- 世界全体が目指しているのは、人類の生活を豊かにしながらも、地球環境が回復可能な範囲で自然を利用させてもらえるようにバランスを取ることである。それを明確にしたのがSDGsである。サーキュラーエコノミーが注目されている理由は、「サステナブルな社会の実現」により「経済 Economy」「社会 Society」「環境 Environment」の同意達成が可能であるためである。
- 日本のサーキュラーエコノミー取り組みは、循環経済の取り組みについては世界でも早く行われた。1999年に循環経済ビジョンが策定、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の重要性が明示された。それにより今日では、日本の3Rの技術力は世界に注目されている。
- 環境問題だけではなく、産業政策としても取り組む必要性から、循環経済ビジョン2020を策定。経済活動の中で循環型をベースにすることを明示。製造から消費までの一方通行の流れから、リユース、リサイクルという形で社会に還元することを念頭に販売・製造を行う動脈産業と静脈産業がともに連携した社会に変えていかなければならないというのが、循環経済ビジョン2020主要なメッセージである。
- サーキュラーエコノミー実現には制度・ルール、コスト・投資、消費者への普及、ビジネスモデルの開発などさまざまな問題が存在。そのため経済産業政策の「新機軸」において取り組む分野として設定した内、「成長志向型の資源自律経済の確立」を重要な取り組むリスク課題の一つとして設定。
- 「成長志向型の資源自律経済の確立」のため、成長志向型の資源自律経済デザイン研究会を2022年10月立ち上げ。月1、2回ぐらいの議論を重ね、3月27日に「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定。「成長志向型の資源自律経済戦略」のため経産省の中でも、省内横断の体制をつくり、海外との活用を検討する部局、産業技術を担当する部局などとともに議論を進めている。
- 「成長志向型の資源自律経済の確立」に向けた問題は、資源制約・リスク、環境制約・リスク、成長機会の3つある。環境制約・リスクはCO2の削減。資源制約・リスクは世界のマテリアル需要が伸びていく中で、日本は世界の中で資源に恵まれない国であり、かつ日本の資源調達先は非常に限られた国から供給を受けている。ウクライナ侵攻、コロナ禍などでサプライチェーン上の危うさが再度認識された。資源の自主性を担保する日本のサーキュラーエコノミーは、自国の中での都市鉱山あるいは資源を最大限に活用することは、取り組まなければならない活動。成長機会は、サーキュラーエコノミーの分野は将来成長産業になっていくことが期待されている。日本は2030年までに温室効果ガスの削減目標を46%削減と表明。ただエネルギー源のグリーン化だけではむずかしく、素材のグリーン化もあわせて必要になる。そのため、素材のグリーン化の取り組みは新たなソリューションが成長戦略として求められている。
- 日本は資源自給率が低いため、世界の中でもトップクラスの資源の購買力を誇ってきた。他方、経済成長を遂げている新興国が資源の調達を増やしているため、世界全体の資源の需要が伸び、原材料の先物価格の上昇もあり、日本の資源調達は今後さらに困難になる可能性がある。
- 化石資源やレアメタル・ベースメタルなどの鉱石資源は地域的に偏在しているため、資源保有国が輸出制限を行うなどのリスクが存在する。また将来的には希少金属の枯渇リスクが顕在化する可能性があるため、日本の都市鉱山がどれだけ使える能力があるのかが、今後のものづくりにも大きく左右する。
- 日本は、これまで廃棄物を国外に輸出していたが、廃棄物の越境が難しくなり、国内で廃棄物を循環資源として適正処理することが求められるようになってきている。
- 日本のCO2排出は年間10億トン強だが、その3分の1は素材産業である。CO2削減のためには、グリーンエネルギーの調達量、またはその価格が問題となるが、それに加えて省材料、再生材の活用、バイオものづくり、シェアリング、長期利用、あるいはその手前のリサイクル、リユースを進めることが必要である。
- 再生材とバージン材と比べてどれだけCO2排出量が減らせるかをScope1〜3で比べた文献データによると、プラスチック、金属、ガラスいずれも再生材のほうがCO2排出量が少ないということが示されている。
- 欧米では、国や企業によるサーキュラーエコノミーの先端的な取り組みが始まり、これが進み世界のスタンダードになると日本企業が世界での市場を失う可能性がある。先駆者として取り組んできた日本の技術およびビジネスモデルを世界的に発信することが非常に重要である。
- 経済的目標は、サーキュラーエコノミーに関わる日本国内の市場規模は2020年50兆円程度であり、これは廃棄物処理産業、リサイクル産業、リース産業を含めて試算。今後2030年80兆、2050年120兆に伸びると試算。世界全体の市場規模は、2030年は4.5兆ドル、2050年は25兆ドルと20年で5倍以上になるという民間試算がある。
- リニアエコノミーでは大量に販売、廃棄、処分が進んでいた社会を循環型社会に変えていくには多数の関係者の足並みが揃う必要がある。ライフサイクル全体での動静脈産業の連携の理想は、設計、製造、販売、利用、回収、リサイクルが無駄なく回るエコシステムであるが、それをつくるのは簡単ではない。それができている例の一つが、びんのリユース。
- びんのリユースはベストプラクティスであり、この持続のために重要なのは、GX(グリーントランスフォーメーション)への取り組みである。情報流通のプラットホームを構築して、その取り組みがCO2削減に貢献している、あるいは資源の削減有効利用に貢献している実態を可視化する取り組みを支援していきたい。その取り組みをベストプラクティスとしてISO、条約などの国際ルール形成の場で、政府としてこの取り組みを提示することに取り組む。
- 気候変動対策の観点では、GXの取り組みの柱の一つとして資源循環産業の重要性がGX実行会議で示されている。資源循環加速のための投資として、今後10年間で2兆円以上の投資を実施していく必要がある。経済産業省としても、そういう先端的な取り組みに対する予算的な支援措置を含め協力を加速したい。
- 成長志向型の資源自律経済の確立のため、今後、政策措置をパッケージ化して、日本におけるサーキュラーエコノミーの市場化を加速し、国際競争力の獲得を目指していく。その政策パッケージの一つ目は競争環境として規制・ルールの整備。2つ目は資金的な支援である政策支援。3つ目はサーキュラーエコノミーのパートナーシップの場をつくる取り組み。
(3) 基調講演
「持続可能社会におけるびんリユース」(仮題)
安井 至
(びんリユース推進全国協議会 代表、東京大学 名誉教授)
- びんリユースはどれほど環境負荷があるのか。びんをリユースする意義は何か。一番簡単にはガラスびんは2回、3回、4回と何度も使える。だがそのまま使えるのではなく、しっかり洗う。そのための設備、洗うための水の温度、お湯の温度の調整、洗剤も使用するなど、いろいろあるので簡単ではない。
- 日本の環境の取り組みは、経産省、環境省などが「国民の皆さん、こういうことが環境にいいですよ」と述べると、一般市民はその通りに行動することが多い。でも、環境問題は自分でいいというものを見つけ出して、それをやるのが一番良いと思う。いろいろなことをやって、「ああいうことがあったから止めておこう」など、それは確かに最終的に環境負荷が上がるかもしれない。ただそこから、いろいろな事を知識として世の中に広がれば、皆さんすぐに行動ができる。
- 最近いろいろな環境関連の国際協定などが多くあり、2015年にはパリ協定が採択され、さまざまな国がいろいろなことをやった。日本は一般市民が政府に任せてしまったという感じがした。一般市民が解析能力をもって、環境保全についての内容を理解できる人が国民の3分の1程度いた方がいいと思う。
- ヨーロッパ系の人々には正義というのが、真ん中にある。だから、パリ協定では「気候正義」という言葉があった。「気候は変えてはいけないよ」という話である。
- 私は元大学教授で、その後国連大学副学長になった。 副学長の仕事で非常に重要になったのは、世界の国々を観光ではなく、自分のお金でしっかり見て回ること。それで日本という国は非常にいい国だが、非常に変わっているとその頃から気づいた。
- 日本企業は、残念ながら世界の企業と比べると、経済的収益や会社の存続のことばかりである。ヨーロッパの企業はこんなことをして、お金儲けをしていいのかというが根底にある気がする。
- 社会的にSDGsや環境などが多く話題になり、出発の号砲のようになった。日本企業で号砲と同時に本気で取り組みを始めたのは、私の思うところ130社程度。当時、経産省で取り組んでいる企業のリストを制作したが、最近はそれをフォローしてない気がする。
- 環境対応について、リユースびんは立派な環境対応の一つでありますが、しっかりとした環境対応をすると、何らかの先行者利益が生じる。最初にそれを大事に取り組んだ人たちは、社会から認められることがないと、取り組みが終わってしまう。だから、それ認める責任は一般市民にあり、取り組みを一般市民に知らせるのが、おそらくメディアの仕事であって、その辺が動いていないと一生懸命取り組むと思う気力が減ってしまう。
- 2015年にヨーロッパの企業はいろいろなことを考えて、取り組みを開始した。そのため、最初に環境対応をした企業の先行した利益は明らかにヨーロッパの企業である。
- おそらく知らない人が多く、メディアでも取り上げなかったと思うが、2015年に日本年金機構が、国連の主導で発足したESG投資の世界的なプラットフォームの「国連責任投資原則(PRI)」に署名をした。しかし機関投資家は、欧米では明らかに2015年以降と2014年以前では動きが違う。
- 西洋社会では、政府組織というより、みんなで集まってさまざまなこと考える組織をつくることが多くある。その一例がTCFDで、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)です。それを日本語でわかりやすくすると「気候変動に関わるお金で何をやっているかを明らかにする」こと。
- 気候変動で気度が4℃上がったらどうなるか。地球全体の平均値で4℃だと全体が上がるわけではなく下がるところもある。だが、気温が上がるところと下がるところ両方ダメになる。
- パリ協定の時によく使われた言葉の一つで「クライメート・ジャスティス=気候正義」がある。日本のメディアでは、報道していない。また「ネットゼロ・エミッション」も使われた。パリ協定を私なりに解釈すると、2015年のパリ協定は未来を見ていた。未来をどういうふうにしたら良いかと考えること。それを実行することがまさしく正義である。その辺では、パリ協定はとにかく未来を考える正義であった。
- 日本では、2050年ぐらいまで考えていた時代あったが、最近では2050年まで考えていなく2040年、2035年くらいまでだと思う。
- グリーンランド、南極の氷が溶けるなど、いろいろなところで氷が溶けると海面レベルが上がる。それは、どこの国でも海面上昇になり、日本だと海抜0m地帯がたくさんあるので、東京でも大阪でも水浸しになる可能性が高い。
- 発電について、風力、地熱などで発電ができるようになっているが、日本は平らな土地が少ないため、土地としてあまり恵まれていない。北海道では多く風力発電の風車が並んでいるが、全国的には風力のポテンシャルは少ない。地熱発電は、意外と寿命が短く、永久に利用できないようである。
- 日本は電気の周波数が50Hz、60Hzと2種類ある。それは明治時代に発電機を海外から購入した時、欧州とアメリカからそれぞれ購入、これがそのまま現在の周波数分布の違いとなった。
- 原子力発電があるが、原子力には廃棄物があり、それがとにかく厄介で簡単には消せない。現在でも日本の所有物として、いろいろな国に合計して何10トンを預けている。このこともあり増やせない。日本が原子力に依存することができる国と私は到底思えない。原子力発電を止め、その再稼働をするときに県レベルでの反対が多く、それで多く止まっている。現状から言って、そんなに危険性が高いとは私自身思っていない。
- 世界を見る人間がもっと日本に増えてほしい。世界各国を皆さんに見ていただきたいと思うことが最後の言葉。
(4)事例発表
「1.8Lびんの現状と課題」
舩戸 正義 氏
(日本酒造組合中央会 業務第一部課長)
- 一升瓶(1.8Lびん)の出荷量は、2008(平成8)年6億本を超えていたが、1年間に2,000万本ずつ減少し、令和3年には8,000万本を下回り厳しい状況が続いている。加えて現在、全国的にびんが不足する状況である。
- 容リ法の再商品化費用免除の目安となる回収率の推移は、直近2021年の回収率は71.3%。2008(平成8)年の88.2%より20%近く減少。また、新びん出荷量、回収びん出荷量も年々減少しているが、2020(令和2)年、2021(令和3)年はコロナ禍の影響から減少幅が大きくなった。
- 一升びんの流れは、料飲店、一般消費者で購入・使用されたびんは、酒販店、自治体、集団回収などで回収され、びん商、洗びん業者などを通じて酒造メーカーに納品。
- 一升瓶にかかわる各主体の各役割は、消費者はリユースびん商品の購入と適切な排出、びん商は回収・洗浄・供給、酒造メーカーはリユースびんをP箱で出荷、飲食店は積極的なリユースびん商品の使用、酒販店・小売店は店頭回収・消費者への啓発、P箱レンタル事業者はP箱の適切な管理、地方自治体は消費者への普及啓発・リユースびんの適切な回収および分別収集、国は消費者への普及啓発。このような役割分担の上に、このリユースびんシステムが成り立つ。
- 一升瓶の課題は、 1.酒販店経由での空きびん回収の減少で、消費者はびんの返し先がわからなく、生きびん回収している自治体は約半数程度。一升瓶を買った店に返した人は21.8%。 2.消費者のリユースびんの認知度の低下。特に若い世代では半数以上の一升びんがリユースびんだということを知らない。 3.回収びんに対する品質要求の高まり。消費者の認知度低下により、少しのスレ跡でも問題になるなど、製品事故を懸念。 4.再使用しにくい一升びんの増加。色の付いたびん、フロストびん、剥がれにくいラベルの問題。 5.P箱の不足。P箱の不足、ダンボール出荷の増加、びんの流通以外で使用されている問題
- 回収びんに関わる品質でスレ跡の種類を紹介。スレ跡、糊の跡、びんの口などの欠け、口サビなどがある。コスレ傷(スレ跡)にも種類があり、輸送中にP箱と接触したもの、充填、陳列中のびん同士の接触など避けられない傷があるが、これは回収びんにとって勲章であり、何回もリユースされている証し。また最近増えてきたコスレ傷は、びん同士の不規則なぶつかり傷や擦り傷など。集めた回収びんに、このような傷があるとカレットにしなければならない。
- 日本酒造組合中央会では1.8Lびんにつきまして、関係者全員で共通の認識を持つ情報共有の場としてステークホルダー会議を2016(平成28)年度から開催。
- リユースびんの取り組み事例として北海道 男山酒造、大分県 二階堂酒造・長松商店・日出町の取り組みの報告。
男山酒造の取り組み
リユースびんの資源循環の仕組みを継続的するため、地域の方にリユースびんを持ってきてもらい1本1ポイントとして、合計36ポイント(リユースびん36本)で720ml商品1本と交換を2021年7月より開始。
2022年より新ルールを設定して72ポイントで一升びん商品と交換。回収びんの本数は年々順調に伸び、消費者の反応も良い。
二階堂酒造・長松商店・日出町の取り組み
3者が連携して、びんの回収拠点を日出町に3か所設置。酒びんをいつでも持ち込める場所ができたので町民が非常に喜んだ。また、多くの品質のいいびんが集められている。
「東京家政大学 be draw project活動報告」
東京家政大学 be draw project
東京家政大学be draw projectメンバー
- 環境省により日本の1年間のCO2排出量が11億5,000万と発表されたが、環境や地球温暖化などの分野を専門的に研究は行っていないが、素人としても、この数値は大変多いと感じた。ただ、私たち一人ひとりの努力によって確実にCO2排出量削減には貢献できると考えている。
- 当プロジェクトは東京家政大学と日本ガラスびん協会との共同プロジェクトとして発案。ガラスびん入りミネラルウォーターを東京家政大学板橋キャンパス内にあるファミリーマートにて販売。その空きびんを回収、中身は再充填し、販売するという形で実際にリターナブルびんを循環させ、最終的にどれだけのCO2排出量を削減できるか可視化していく活動。
- 東京家政大学からは、造形表現学科、環境教育学科の2つのグループから合計10名の学生が参加。
- 役割は、造形表現学科はブランド開発、ポスターデザインなどによる広報活動、販促品アイテムデザイン。環境教育学科は、集計データの解析、環境への影響調査。販売データはまだ収集中。
- 今回は、造形表現学科が行ったアイテムのデザインに焦点を当て、プロセスなど当活動の推進方法を報告。
- プランディング過程は
STEP1ーイメージの共有では、ガラスびんの透明感や清涼感から連想される青、水色などの色味、さわやかさなどの情緒的なイメージ、つなげる、巡る、未来を描くなどガラスびんの循環型社会への働きに対するイメージなどが挙がる。
STEP2ーSTEP1で出たキーワードをもとに、ポルトガル語でガラスを意味する「vidro(ビードロ)」と英語で描くと意味する「draw(ドロー)」を組み合わせ、ガラスびんの未来を描くという想いを込め、プロジェクト名を「be draw project」に決定。
STEP3ー各種アイテムのデザイン・作成。 - 各種アイテムでは、ロゴ、オリジナルキャラクター、キャップ袋(飲みきれない場合を想定し用意したボトルキャップ用)、カード、ボトルタグ、回収BOX、王冠ドロップアート、ポスター、ポイントカード、缶バッジを作成。
- オリジナルキャラクターは、ガラスびんと水をイメージした女の子のキャラクターと地球温暖化などの環境問題に深く関わっているウミガメやホッキョクグマなどの動物をモチーフにデザイン。
- ボトルタグは、ガラスびんの美しさや透明感をより際立たせるデザインとし、タグの片面をボトルの形に切り抜く工夫を行い、ガラスびんを透かして見る時の景色をイメージ。
- 販促品としてポイントカードを制作。1本購入時にスタンプを1つをもらうことができます。5つ集めるとオリジナル缶バッジと交換。
- シンボルマークは、今後プロジェクトが続くことを考え、ひと目でガラスびんと理解できるシルエットと環境問題に関連するデザインを組み合わせる方向とした。色はイメージの共有案をもとに、青色、水色、薄紫色3色の構成。ロゴはシンボルマークとの調和性を第一に考えたデザイン。「W」が他の文字とデザインが異なるのは、この「W」はキャラクターにも使われている水引の意味が込めた。
- 王冠ドロップアートは、購入後に捨てられるガラスびんの王冠を活用してプロジェクト参加者が楽しめるものとして考案。当初モザイクアートを検討したが、個数や色味などの問題のため、白い薄型の箱に青い王冠を入れることで絵柄が浮かび上がる王冠ドロップアートに決定。デザインは現段階で4種類。オリジナルキャラクターの動物をモチーフにしている。満タンになったものは、順次新規デザインに取り替え、成果物として飾る予定。
- 今後のプロジェクトの展望は、現状のデータ収集は、販売されたリターナブルびんの25%が回収できていない。今後はびんの回収率上昇が課題。解決策として、ポスターデザインの改良、フライヤーの作成など、広報活動にさらに強化することを検討。課題解決のためにも、リターナブルびんの販売は2023年夏頃までを予定。今後も実証を続ける。
「生活クラブ生協によるびんリユースの取り組み」
山本 義美
(びん再使用ネットワーク事務局長、びんリユース推進全国協議会運営委員)
- 生活クラブ生協は、首都圏、関西を中心とした宅配型の生協で、北海道から兵庫まであり、約41万人の組合員数である。
- 日本では、1970年〜80年代の今から50年以上前から大量生産、大量消費という問題が拡大し、大量廃棄による最終処分場の逼迫という問題が生じた。
- 生活クラブでは約30年ほど前に、組合員リーダーが参加、検討するプロジェクトを3年間行い、ガラスびんを繰り返し使う「グリーンシステム」を選択。組合員の直感で選択したものではあるが、今日のSDGsを先んじた取り組みであり、未来につながる暮らし方の提案と実践と言える。一方、国はこの問題に対して、3Rというリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)のなかでリサイクルを重視し、容器包装リサイクル法による税金を使ったリサイクルを進めたため、残念ながら、日本の3Rはあまり進んでいない。
- 一般廃棄物の総排出量(環境省データ)は、戦後の高度成長で一般廃棄物の総排出量が増加し、2000年(平成12年)度に約5,500万トンでピークを迎えた。1970〜80年代まではガラスびん、缶が多くプラスチックがほとんどなかった時代。21世紀は圧倒的にプラスチックの時代である。ターニングポイントが1995年の容器包装リサイクル法であると思う。このとき500ml入りの小型ペットボトルの使用自粛が解禁されてしまった。
- ごみ総排出量、一人1日当たりの排出量(環境省データ)は減少傾向にあるが、2020年に大きく減少した。これはコロナ禍の影響で小規模、飲食店などの事業系一般廃棄物が減ったためである。今後のリバウンドが心配される。
- 総資源化量とリサイクル率の推移(環境省データ)では、リサイクル率は20年近くの間20%程度である。OECDの平均リサイクル率は40%である。ドイツ64%、韓国58%、アメリカ35%に比べて日本は格段に低いリサイクル率。大きな理由は、日本は生ごみのリサイクルができていないためである。ドイツ、韓国は進んでいる。日本も生ごみのリサイクルができれば燃やすごみが減るので、ごみ焼却炉は3分の1程度に減らせるのではないか。世界のごみ焼却炉の半分以上が日本に在ると言われている。
- 最終処分場の残余年数は、あと22年しかない。2050年には埋め立てる処分場がなくなる。この問題が周知されていないことは大きな問題。
- 環境省の2018年度データで、家庭ごみの内、紙、プラスチック、ガラスびんなどの容器包装が62.4%。そのうちプラスチック類は46.4%。このため、ごみ問題はまず容器包装ごみを解決しないといけない。
- 究極的に、容器包装はガラスかプラスチックしかない。ペットボトルはポリエチレンテレフタレートというプラスチック。牛乳パックもすべてが紙ではなく内面はポリエチレンというプラスチックでコーティングがされている。アルミ缶、スチール缶も内面はプラスチックでコーティングがされている。そのため、最終的に食品が触れるのはプラスチックかガラスである。
- 究極的に、容器包装はガラスかプラスチックしかない。ペットボトルはポリエチレンテレフタレートというプラスチック。牛乳パックもすべてが紙ではなく内面はポリエチレンというプラスチックでコーティングがされている。アルミ缶、スチール缶も内面はプラスチックでコーティングがされている。そのため、最終的に食品が触れるのはプラスチックかガラスである。
グリーンシステムと呼んでいるのは、緑という意味もあるが、GARBAGE REDUCTION FOR ECOLOGY AND EARTH’S NECESSITY=“地球生態系のためのごみ減量”のためのシステムという略称からである。最大の特徴はリユースびんの規格の統一。その後、2000年には、牛乳を紙パックからガラスびんに切り替えた。 - 規格の統一は、世界にはない日本独自の一升びんの仕組みを採用したものである。中身は調味料やジュースなど様々であるが、68品目を6種のリユースびんにしたことで6分別となり回収・選別・洗浄の効率が飛躍的に向上した。リユースびんの肩と裾にRマークを刻印している。
- 環境問題は1生協だけでは解決できないため、パルシステム連合会、グリーンコープ連合や東都生協とともに1994年にびん再使用ネットワークを設立。現在、全国で約270万世帯の組合員がRびんのリユースに取り組んでいる。1994〜2021年度のびん再使用ネットワーク全体の累計実績は、3.9億本を供給、2.6億本を回収、回収率は66.9%。生活クラブ生協独自では、1.9億本供給、1.3億本回収、回収率は71.6%。目標は回収率80%。
- 一般の社会では、リユースびんが減少しているが、SDGsの時代になり、LOOPや足柄聖河が登場するなど、ようやくリユースびんが見直され始めている。
- LCAの評価でも、リユースびんは環境負荷が少ないことが明らかとなり、重量びんを未回収で自治体のリサイクルに出した場合と、超軽量Rびんで回収率75%でリユースした場合の差を比較すると、1本で250gのCO2を削減できる。紙パックを900mlびんに変更すると、1本で35gのCOsub>2を削減できる。紙パックは比較的環境負荷が少ない容器のため、CO2削減量が少ない数字となった。
- 2021年度における生活クラブ生協のびんリユースの成果は、Rびんと牛乳びんを回収することによって約4,200トンの容器資源を回収。これはジャンボジェット機の12機分と同じぐらい。びんをリサイクルした場合と比べたCO2削減効果は約2,000トン。これは東京ドームとほぼ同じぐらいの大きさ。自治体のリサイクルのために必要な収集費用を2.5億円節約。生活クラブ生協のリユースびんは、毎年これだけの環境負荷やコストの削減効果を出している。
- このようなことが評価され、2018年度に「グリーンシステム」が環境省グッドライフアワードを受賞した。
- まとめとして、おいしい食べ物はガラスびんに入っているのがみなさんの実感だと思う。そのびんを、回収してくり返し使えば使うほど、ごみやCO2などの環境負荷を減らすことができる。30年に及ぶ、生活クラブ生協によるびんリユースの取り組みは、未来につながるオルタナティブな“暮らし方の提案と実践”と言えるのではないか。世界的にもSDGsの達成貢献が求められる時代になり、一般の社会でも、リユースが見直される時代になった。ガラスびんという文化、リユースという暮らし方を大切にして、真に持続する社会を目指したい。
(5) パネルディスカッション
テーマ1: 基調講演・事例紹介についての意見
○ 野村氏(九州大学)
- 卒業研究で留学したイギリスでの自転車利用促進政策を研究。3月卒業、8月より大学院に進学。循環型社会は大変興味があり、大学在学中にキャンパス内外で生ごみコンポストを普及させる取り組みに参加した。
- 今回、循環型社会をびんという視点から考えさせる、とても貴重な機会である。
- 基調講演で、企業は環境対応を始めた時の先行利益が、ヨーロッパでは得やすいが日本ではそうではない。その理由は、人々の意識、機関投資家の動きが異なるとあった。これはびんリユースでも同じようなことが起こっているのか。びんリユースの産業が始まった頃、先行利益が日本では難しかったのか。今環境意識が高まっているが、現状では、その利益というのも得やすくなっているのか。
野村氏への回答
- 安井 代表
日本とヨーロッパの国々との違いは、ヨーロッパは同じような国々に一見見えるが、都市があるとそこの周りで何か社会ができ、地域ごとに特色がある。日本は均等な社会システムに近く地域ごとの変化が少ない。ヨーロッパは大変ローカル的で人口20万程度の都市でも、その範囲内での行動を地域で話し合うこと決定し、実行できる。これは社会構造の違いであると考える。 - 田中 副代表
びんリユースの先行利益は、日本の場合は、ガラスびんの利用は、びんリユースから始まっていると思う。日本国内ではガラスびんは作られておらず、明治維新により、海外との交易ができ、ガラスびんに入って酒類が輸入される。その空きびんをリユースするため、現在のびん商に近い商売がその頃から始まっていると思う。当時の日本では、日常品の容器としてガラスびんは普及していないため、非常に貴重で価値ある容器としてリユースされていたと思う。
びんリユースシステムは、出荷で輸送費・CO2排出、回収でまた輸送費・CO2排出。そのため、国が提唱する地域循環共生圏のコンパクトなマーケットで循環させるのが非常に理にかなっているシステムである。びんリユースシステムに加え、商品の中身も地産で、そのエリア内で消費をすると、まさしく地産地消が実現でき、非常に親和性の高い容器もしくはシステムであると思う。 - 戸部氏(トベ商事 代表取締役会長)
最初びんのリユースというのは、ビール会社がびん詰めして販売した時から開始。長い歴史がある中で平成に入りさまざまな容器が出てきて、ワンウェイ化してリユース容器が減少したが、埋め立て地がなくなることから、分別回収が始まった。
現在、リユース容器は、ビールはびんから缶に、お酒の一升びんは紙パックになるなど容器が変わってきている。そのため、改めてリユース容器を見直した方がいいという考え方が多く出てきた。これはSDGsという言葉がこの5年ぐらい前から出てきたのと同時に、びんリユースによってSDGsの一端を担うことができるという話もあります。その関係で2年ほど前、アメリカで行われたLOOPというリユース方法を東京都が推奨したり、全く別の業界からリユースについていろいろと質問がある。ただ、これからリユースを始めたいという会社はあるが、回収をどうやってやるかが一つのポイントになる。ガラスびんしても、さまざまな種類がある。
リユースによってCO2削減が可能となるため、今後、さまざまな活動が期待できると思う。
○ 小林氏(九州大学)
- 大学では生物多様性の課題を中心に研究。環境問題は幅広く、さまざまな分野があるが生物多様性の分野は、環境問題の中でも遅れている分野と思う。先進的な事例を聴き、参考にしたい。
- 基調講演を聴き考えたのは、ガラスびんの利用、びんリユースは一つの文化としても捉えられると思った。
- 僕は地域活性化に取り組んでいるが、田舎の古民家に行くと多量の醤油びんなどが出てくることがある。若年層は、びんとの接点が少なく、醤油びんは生活にはほとんどなく、プラスチック容器が多い。僕らが見えていないところで、びんを利用する文化が形成されてきたことが考えられ、サステナブルに加えて、文化を守るという背景でも、びんリユースの推進が可能と考えている。
小林氏への意見
- 田中 副代表
びんは容器としては古い。さまざまな新しい素材が出て、移行している場合があるが、びんの優れているところは保存性。圧倒的に他の容器に比べ保存性能が高いと思う。加えてびんは、他の素材にない手触り、光沢などびん独特のものがある。そのため、びんにこだわっている中身メーカーも確かにいる。日本全国で均一な商品を、大量に製造・販売・消費するという分には、もしかするとびんはそぐわないのかもしれないと思う。一方で、他の容器にはない、独自の価値がある。その独自の価値を認識されて大事に思うお客様もいると思う。
○ 河合氏(東京農工大学)
- 大学では環境教育学を専攻。3月卒業。循環型社会等は興味ある分野で、自分自身環境に負荷をかけない暮らし方などを探求。個人の活動として、東京湾谷津干潟の保全活動に参加。そこで拾った海洋プラスチックを使ったアクセサリー作り体験などを通して、人々の環境に対する意識をどう変容させていくかに取り組んでいる。
- 講演、事例紹介などを聴き、びんリユースに私自身今まであまり目を向けたことがなく、さまざまな取り組みが行われているのを知らなかった。若年層には、びんリユースの取り組みを知らない人が多くいると感じており、それをどう広げていくか、どう普通の生活の中にびんリユースを組み込んでいくのかを考えることが重要である。
- 東京家政大学のビードロー・プロジェクトは、大変興味深い取り組みであり、特にびんの王冠でのドロップアート。王冠を入れて絵が浮き出てくる形を初めて聴いたので、自分の参加する活動に、持ち帰りたいと思う。
- 普段環境が専門でない造形表現学科の皆さんが、そのプロジェクトを通して環境やリユースについて何か学んだことがあればお聴きしたい。
河合氏への回答
- 東京家政大学 be draw projectメンバー
ドロップアートのアイデアを使って欲しい。そして海洋ごみの解決に向かえば良いと思う。造形表現学科の私たちは環境関連を専門的に研究していないため、一般の若年層と同じ立場だったと思う。ただ、このプロジェクトに携わるにあたって、びんのリユースなどその関連をいろいろ調査した。このプロジェクトを通して、環境問題に携わることができ、環境問題の知識が蓄積したことはとても有意義。
○ 木下氏(近畿大学)
- 大学では建築を専攻。環境などを学んでない。ただ建築は、窓、壁面、断熱材などガラスが身近にあるため、ガラスは大変興味がある。 学外の活動で、地方創生やSDGsなどの環境を学ぶうち、リユースびんについても学び、関心を持った。
- 来賓講演の中で日本の資源は、地政学的に資源が少ない。ウクライナ侵攻などにより寸断されることが起こりうる資源を頼りにしている日本は先行利益が得られていないのは残念。日本という均等に動く国で、どのような取り組みが行えるのか、また均等を解決することで、東京一極集中、地方分散が解決できる。
- びんの普及が地方の活性化につながることによって、ローカルマーケットが盛り上がり、地方分散が可能になると思う。
木下氏への意見
- 田中 副代表
ローカル経済を活性化させることにも、びんリユースシステムは貢献できる要素はたくさんあると思う。例として、北海道の小規模自治体が、資源回収をびん単独で収集、選別センターでコンベヤーではなく台で選別。そこですごいのは活きびんを選別している。活きびんを選別があっても普通は一升びん、ビールびんが一般的だが、ここは地元の牛乳びんも選別し、リユースのルートに戻している。これは大都市では不可能。小規模であることから、非常にいいシステムが簡便にできる可能性は多く秘めている。
○ 原田氏(関西学院大学)
- 大学では社会起業を専攻。3月卒業。大学3年生に、会社を設立。事業は、サステナブル教材の開発・販売、エシカルな商品の体験のためのショールーミングスペースを商業施設に設置、企業・学校・行政に向けた講演、ワークショップ。
グループ会社もあり、社会起業家の育成支援、障害者福祉の就労支援、動物保護の観点で保護事業を行い、ビジネスで社会問題を解決することに挑戦。 - 環境問題を解決するため、エコな暮らしをしてくださいというのは難しい。ただ事例として、オルバースという人気のある靴ブランドがある。丸洗いでき、軽くてシンプルなデザインで流行った上に、環境に優しいという訴求が人気になったと思う。
- 環境に良いからという理由でびんを訴求するより、ノスタルジック、素敵、懐かしさを感じさせられるなどの延長線に環境に優しい、環境配慮されているなどとリンクすると広く訴求される可能性があると思う。
- SDGsダイアリーを製作したが、最近SDGsの言葉を使わないようにしている。SDGsを達成するためより、社会問題を普及させるために製作した方が近いためである。
- スウェーデンに行った時、ガラスを回収して自分たちで溶かし、新しい商品を作る体験をしたが大変良い体験だった。 幼少期の教育も大きく違う。
河合氏への回答
- 安井 代表
国のサイズは重要。日本は人口が多い方で、ヨーロッパはそれぞれの国の人口は少ない。スウェーデンの場合、人口が少ないこともあり、さまざまな行動が実現できると思う。 - 田中 副代表
環境にいいというだけで、モノは売れなかったり、お客様から支持を得られないことはあると思う。安井先生の意見通り、日本人特有の価値観かもしれないが、ヨーロッパには日本と違う価値観がある。
ヨーロッパはとてもガラスが好きだと思う。ガラスびんはヨーロッパで増えているが、残念ながら日本、韓国など東アジアはガラスが減る一方である。 北欧はリサイクルが進んでいるイメージがあるが、ビジネスの部分が多い。他国の可燃ごみも集めそれを燃やし、熱源や発電に使うビジネスもある。
リサイクルでは、実は日本は進んでいる。ガラスびんのリサイクル率は約7割でヨーロッパと比較しても遜色ない数値である。そのうち、リサイクルされたガラスびんのうち8割がもう一度ガラスびんになる。ガラスびんからガラスびんにリサイクルする水平リサイクルです。これはガラスのリサイクルしても品質や組成に変化がないので、何回でもリサイクルが可能。他の素材では、難しい。
海外とのリサイクル率の算式を比べると違う。日本では、「市場に出荷したもののうち」、どのくらいの量がリサイクルされたかを表している。ヨーロッパの中には、「回収したもののうち」、どのくらいの量がリサイクルされたかを表している国もある。
同じリサイクル率ですが、どう計算するかで異なるため、数値だけ比較してもあまり意味がない。そういった意味では日本はすごい。ただ、システムとして回っているので、一般の生活者はガラスびんをリサイクルするために何か行動をしているというより、自治体が定めたルール通りにすると、リサイクルされる仕組みになっている。それが3Rの認識や意識がだんだん低下する原因の一つになっていると思う。
○ 星野氏(関西学院大学)
- 大学では社会起業を専攻。日本ではたくさんの社会課題を、今までは政府、自治体、NPOなどがボランティアのような枠で解決しようとしてきたが、それをビジネスとして解決することを学ぶ。
- 本日配布したSDGsダイアリーは大学授業のプロジェクトで制作したのをきっかけに、今回3冊目の23年度版を製作。
- 昨年度からRびんプロジェクトに関わり、リユースびんについて多く学んだ。基調講演でもあったように、私自身、日本人の国民性がリユースびんの普及に関係していると思う。SDGsなど認知度は上がっているが、行動に移せない人が多い。その原因の一つは、自分の中でその意義を見いだせていない人が多いからであると思う。
- 教育の面でアクティブラーニングなど盛んに言われているが、知識をインプットするだけで、自分で考えてそれをアウトプットする場が少ないと思っている。
今回、皆さんにお配りしたSDGsダイアリーは、SDGsの知識、アクションなども書いている。各月の行動宣言があり、ダイアリーを使うイベントをこれまで開催したが、私たちが重視したことは、イベントに参加し、参加者のさまざまな行動などを聞いて、参加者自身、当日から何をするかを宣言してもらう。 - 環境・SDGsの教育は私たちが中学、高校のときにはなく、大学の時に初めて知った。それに比べ、今の小中学生は学習をして知識があるので学校で講演したとき、「もっとSDGsを勉強したい」「環境について勉強したい」という生徒がたくさんいた。だが関心はあるが、何から行動すべきかがわからない生徒たちが多いので、それを伝えていくことの重要性を実感した。
- 本日、産官学のパートナーシップがこれから必要であると話があったと思うが、現在この産官学の連携ができていない。地方自治体が何を困っているかっていうと、SDGsや環境について自治体として政策を立てていかないといけない。必要性は感じているが、自治体だけでは限界があるから、市民団体、企業と繋がりたいが、その架け橋となるところがない。
- SDGsダイアリーはさまざまな自治体、企業、学生団体などを掲載しているので、繋がる機会の架け橋となる役割を行っていきたい。
- 生活クラブ部の話の中に、日本は生ごみのリサイクルがなかなか進まず、ドイツや韓国では進んでいるという話があった。なぜ日本では進まないのか。そして逆にドイツや韓国では、どのように生ごみリサイクルが進んでいるのかが気になった。
星野氏への回答・意見
- 山本氏 びん再使用ネットワーク事務局長
日本でなぜ生ごみのリサイクルが進まないかは詳しく調べていないが、日本のごみの問題は江戸、明治時代ぐらいに伝染病の問題などから始まり衛生性の問題で、すべて燃やす方向に向かい、それをリサイクルすることは思わなかったのかもしれない。
ドイツは行っていないので把握していないが、韓国に行った時、資源の分別があり、生ごみも集めるところがあった。そこには毎日収集に来る。理由は不明だが韓国では、そういうシステムができあがったため、リサイクル率が高くなったと思う。 - 田中 副代表
次の世代に伝えるのは大切。環境啓発を以前からやっているが、不思議に思うのは小学校4、5年生で環境授業があって、それから10数年たつと環境意識の低い人間が出来上がるというのがよくわからない部分である。それは、おそらく自分事として行動していないため、教育を受けたのに、徐々に意識が希薄になり、大人になると跡形がなくなるのは非常に残念。
テーマ2: あなたが考えるサステナブルな未来とは
○ 野村氏(九州大学)
- 私が考えるサステナブルの未来は、大きい地域単位で大量消費、大量生産、大量廃棄をする構造ではなく、小さな地域単位で、資源循環がうまく回るような未来がいいと思う。それはサステナビリティが環境のみではなく、社会、経済などあらゆることを含むものだと思うので、資源循環をうまく回す上で、環境に悪い産業を排除してまで強行するのではなく、雇用の創出を図り、地域の活性化も行いながら、地域の成長・人々の生活の豊かさにも繋がるような形になることが大事だと思う。
ただ、小さな地域単位で行う資源循環を実現するのは難しいと思う。地域にしても都道府県、市町村ごとにさまざまな特色があり、ある地域には強い産業があり、ある地域には産業基盤はほとんどないが、サービス業で回っている地域などさまざまである。そのため都道府県、市町村ごとの区切りで考えるのではなく、もっと別次元での柔軟な協力や連携が必要になると思う。 - 生ごみコンポストの活動をしているが、その活動ですごく難しいと思うことが多い。どこか一つのところが頑張るのではなく、必要なところを補いながら協力していく体制がもっと広まるといい。
- 本日はさまざまな話を聴いたが、企業レベルの話が多かったと思う。私は家庭レベルでのびんリユースが広まってもいいと思う。例えば、英国に留学した時、醤油やオリーブオイルなどを自分で量り売りをしている店が近くにあった。留学中に空いたワインボトルを、醤油やオリーブオイルを買うために使用した。日本でも量り売りなどで、びんリユースできる仕組みが広まれば、びんリユースが身近になり、生活になじませることができると思う。
- 本日は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。私自身、このようなイベントに参加することが初めてで、プロフェッショナルな方々と学生の意見交換の場があったのがすごく新鮮で、この機会がもっと広まっていけばいいと思う。
○ 小林氏(九州大学)
- サステナブルなものをサステナブルとしてアピールするにあたり、サステナブルという要素のみだと足りないと思う。私たち世代はサステナブル、SDGsなどを聴き慣れているとまで言わないが周りに多くなり、今後サステナブル、エシカルというものがさらに増えると、これもサステナブル、これもサステナブルとPRされた時、消費者などはどれが本当にサステナブルなのかを追求できない場合、サステナブルとは別のプラスアルファの付加価値があるものを選択すると思う。パネルディスカッション内でびんの文化、事例紹介でのびんのキズを勲章と表現するのは面白いと思った。
- 生ごみコンポストの活動をしているが、その活動ですごく難しいと思うことが多い。どこか一つのところが頑張るのではなく、必要なところを補いながら協力していく体制がもっと広まるといい。
- 私は日本酒が好きだが、日本酒のびんにキズがあった場合、これはこのびんが今までリユースされてきた勲章だとうまくアピールできれば、注目する人が多くなると思う。サステナブルは大事ですがサステナブルに加えて、びんだからおいしい・格好いい・かわいいなど別の方向性の付加価値をつけられると、今後広がると思う。
- そもそも若年層とびんは、心理的距離が遠いという問題があると思う。若年層にサステナブルのみのPRではなく、キズはびんが今までリユースされてきた勲章だと表現することでプラスアルファの評価になる可能性がある。
- 本日の最後の発言として、私の主観で締めくくろうと思う。私は他の素材の容器ではなく、ガラスびん、リユースびんに入った日本酒を飲みたい。おそらく、全世代の日本人共通であると思う。
○ 河合氏(東京農工大学)
- 野村氏同様、小さい地域の単位の中で回して、それで続くのが理想型と私も思っている。個人の幸せと世の中の人々の幸せが接続している社会であってほしいと思う。一人ひとりのウェルビーイングを追求した先に、世界の幸せが接続されていないのが問題であり、個人の幸せとそれが他の人に及ぼす影響が繋がってほしいと思う。そのためには、まず自分がさまざまなもの、人たち、物事の上に自分の生活が成り立ち、さまざまなものと相互に影響し合っていることに自覚的になるのも一つだと思う。
- 日本のびんのリサイクル率が高いが、それはリサイクルしている意識がなくても仕組みになっているから、3Rの認識や意識がだんだん低下する原因の一つという話があったが、仕組みとして気がつかない間にサステナブルなことをしているシステムになるのが一番の理想である。
- 本日はこのような機会をいただき、ありがとうございました。自分たち若年層の意見を聞いてもらえる機会は、すごく大事だと思っており、日本の教育的にも主権者としての感覚が薄いと言われることがある。さらに意見を聞いてもらえる機会が増えたらいいと思う。
河合氏への意見
- 田中 副代表
自分の幸せは今ここにある利便性でそれは自分達の幸せに繋がっていない可能性がある。この利便性は何かとトレードオフしているが普通日常的に考えることはないが、今後は自分の利便性とサステナブルな社会というのを考える必要があると思う。システムで回るのは効率的ではあるが、意識した行動ではないため問題があると思う。
意識を育てることは重要だと思うし、トレードオフになる部分を考える必要がある。私は大学の授業で自分の生活が、世界とどう繋がっているかを検討したが、児童労働や環境負荷との結びつきがあった。それをきっかけに買い物が大変しづらくなった。世の中の人々も何かをキズ付けたとか、何かに負荷かけて生きたいとは思っていないはず。そこを自覚できれば、自分の心地よい暮らしのために、さまざまな負荷をかけない選択をする考えが生まれてくると思う。そういう繋がりに自覚的になるのは大事だと思うが、システムとしても回っていかないと続かないと思うので、システムで回る部分と人々が意識しながら回る面の両方が大事。
○ 木下氏(近畿大学)
- 自分が考えるサステナブルな未来とは、自壊とか瓦解する社会ではなくなること、すなわち社会を回していく中で減少していくような社会ではなくなることだと思う。現状、環境を犠牲にして利便性をとっている部分があるが、びんは、ヨーロッパではしっかり回収でき循環している一方で、日本のびんは改善が必要だと思う。うまく循環できていないのに、それを使い続けることは、自分の首を苦しめていく。基調講演での気候正義などの概念的な話で、ヨーロッパは正義を問うなどの話し合いがあると聴いたが、それが日本にないのであれば、この状態を継続することは日本のサステナブルではないと思う。サステナブルな未来というのは、サステナブルな社会の集合体であると思うので、そのサステナブルな集合体ではない日本の社会は淘汰され衰退すると思う。
- 一升びんや他のリユースびんは割られてワンウェイびんのように使われる状況がある中、リユースびんは重い、割れるなどのデメリットはあるが、リユースできるびんのメリットを最大限利用しているので、なぜワンウェイびんを続けているのか思うし、必要ないと考える。ただ、リユースびんのみにすることは無理だと思う。ワンウェイびんは見た目がメリットとなり、ワインなど贈答とするときには、一般的にはキレイなびんで渡すと思う。びんを使うメリットは何かを考えた場合、やはりリユースびんが主流であるべきで、そうならないと衰退する。
- 私はジェネレーションギャップという言葉が好き。先人の話はすごく興味深いし、面白い。今後も学生などの若年層を巻き込んでください。
○ 原田氏(関西学院大学)
- 私が考えるサステナブルな未来は、皆さんが持っている思いを、今のZ世代もしくは次の世代に受け継がれていくことによって生まれるものだと思う。資料に未来は何年頃訪れるのかと書いてあったが、2025年に大阪万博があり、それぐらいから本当に大きく変化して欲しいという期待はある。自分たち自身も、今それぞれ全然違うフィールドで未来を作るための活動をしているので、これを機に変わってほしいと思う。2025年はもうすぐですが、いろんな国の方々が来るので、国の政策、企業単位のプロモーションをやらざるを得ない人たちが増えると思う。
- びんの視点で考えづらかったですが、今後のびんについては、私は今回多くのリサーチをしたが、香水などはガラスが多く、ガラス容器は高級感がある。Z世代とか若年層からすると、日頃使う香水などがリフィルに変わることや使いまわす容器になるのは、リユースを自分たちが考えて行動する入り口に繋がると思う。また、香水のびんはリサイクルが可能ですか?もしくは、普通の一升びんと、香水に使われているびんの性質は違うのでしょうか?
- ジェネレーションギャップは必ずあり、私たちも現在の小中高校生には価値観が古いって言われる可能性あると思う。ジェネレーションギャップあることを前提として、若者が言っている程度で終わらないように、年齢が上の方々への働きかけ方法などのアドバイスがほしい。
- 本日は皆様、本当にありがとうございました。貴重な機会をいただけて感謝している。学生とプロの方々との対談ではあったが、このシンポジウムで気付いたびんの魅力を自分たちは次世代に伝えたいと思う。
原田氏への回答・意見
- 田中 副代表
香水は、現在もガラスびんを使用されることが多いが、それは香りが外へ逃げないための品質維持のガスバリア性が必要だからである。
一般的なガラスびんや一升びんはソーダ石灰ガラス(ソーダガラス)、化粧品びんの中には透明度の高いホウケイ酸ガラスを使用しているものもある。それを混ぜるとリサイクルには支障が出ている。香水のびんは、自治体によってルールが異なるが、食品用途のガラスびんと一緒に集めないルールが多いと思う。リサイクルは大量に集まらないとリサイクルのメリットが出ないため、少量だとリサイクルは難しい。ただ最近テラサイクルジャパン社が、ブランド各社とプログラムを組んで店頭回収を行っている。
一升びんは、現状大変な状況ではあるが極めて合理的なシステムである。一升びんはリユースが可能な、シェアリング容器。特定の所有者はなく、使用後、回収して洗って誰でも使用できる。ただ、シェアリングの難しいところは需給関係。新びんの供給と、リユースびんの使用するバランスがとれるとシステムが回るが、リユースびん使用量が減少、新びん利用量が増えると、需給バランスが崩れる。
国酒である日本酒は長い間リターナブル容器を主として、昔は樽や陶器など全部リターナブル容器を使用していた。2025年の大阪万博では日本酒のアピールとともに、リユースびんのシステムをアピールしてくれると、外国の人たちにも。 - 月足氏(九州硝子壜商業組合)
私は正直、私は正直、環境大義を振りかざすのはあまり好きではない。先ほど発言した方がいるが、環境にいいからとお願いしても人には響かないことがある。私は酒蔵と話しをする場合、一升びん、5合びんなどラベルを含めたお酒の文化を我々が日本人として守り、その中に含まれるリユースびんも継続しましょうと伝えると大変共感してもらえる。ジェネレーションギャップや人によって捉え方は違うが、環境に良いことは事実なので環境を前面に出すのではなく、代わりに日本の文化など他のことを前面に出すべきだと思う。
○ 星野氏(関西学院大学)
- 私は今のままでは、サステナブルな未来は正直なところ実現しないと思っている。私が考えるサステナブルな未来は。新しいと価値が高いのが当たり前ではない社会。サステナブルな未来に近づくためには、まずその価値観を変えないといけないと思う。例えば、日本は以前「もったいない」の文化があったが、最近消えつつあると感じる。便利な世の中になってしまったが故に、不便な生活をするのは難しいと思う。
- リユースびんに関して、当初キズが付いているのは商品にならないなと思ったが贈答品を除く普段使いには、外見にキズが付いていても、その衛生性、安全性が保たれていれば使用は可能。何もデメリットはない。逆にびんは唯一3Rに対応している容器であり、ペットボトルと比べて衛生面、安全面でも機能が優れていると思うので、キズが付いていたとしても、今まで人々に使用され、大事にされてきた証としての価値観に転換させることで、キズは問題なくなると思う。
- ペットボトルは環境問題などに取り上げられる機会が多いが、びんは取り上げられる機会が少ないと思う。また、リサイクルより、リユースの方は環境負荷が少ないことも、リユースびんに触れ合う機会が少ないため、私たち一般消費者には考える機会はない。スーパーではトレー、段ボールなどの回収はあるが、びんの回収はないのでスーパーに回収ボックスなどを置いたら一番一般消費者の目に入るので、企業のトップの人たちの価値観を変えていければ良いと思う。
- 若年層の価値観は環境問題に興味を持つ人たちは増えていると感じる。しかし、会社のトップの方などはまだまだ志向が薄い方がいると思うので、その方々が了承しないと世の中と変わりにくいのでそこで挫折や失望感じてしまうと思う。
- 本日はありがとうございました。リユースびんの知識は少ない私も自分自身で考えて、それを伝える機会があり、大変勉強になった。私はジェネレーションギャップを批判しているのではなく、未来だけではなく、過去も大変興味があるので、悪く受け止めないで欲しい。
(6) シンポジウム総括
安井 至
(びんリユース推進全国協議会 代表)
- 若い方と話ができたのは、非常に刺激があり、楽しめた。
- パネルディスカッションは難しい議論を進めている感じがあった。日本の文化とヨーロッパの文化は違う。日本は「もったいない」的になりがち、ヨーロッパはもったいなくならない程度に消費をして、その消費は個人主義的な色彩が強いと思う。
- さまざまな国に行ったが、国の違いみたいなものを眺めていて、それで日本はこうだね。外国はこうだなと思った。
- 世界は日本だけでできているわけではありません。若い方には、ヨーロッパに行ってもらって、文化の違いを見てもらい「日本の未来をこういう風にしたらこうなる」みたいな議論ができるぐらいになって欲しい。
(7)閉会挨拶
田中 希幸
(ガラスびん3R促進協議会 理事・事務局長、びんリユース推進全国協議会 副代表)
- 若い方に来ていただいたパネルディスカッションは初で、皆さんしっかりした考え方を持ち、発言ができるというのはすばらしいと思う。
- 今回の参加者の意見を受けて私たちはどう行動するのか、または今回の参加者と今後一緒に何かを考えて、コラボレーションできたら良いと思う。
- 本日会場の参加者のみの特典として、パネルディスカッションに参加の原田さんたちの会社が製作したSDGsダイアリーを配布。2月のページに掲載されている大阪の洗びん業者 成尾屋から寄贈された。
- 引き続き、ガラスびんならびにびんリユースについて、興味・何らかの支援・ご協力をいただけると大変ありがたく思う。