活動報告
名古屋を循環するリユースの心
<中部リサイクル運動市民の会>
スペースの確保がリユースびんの難しさ
代表取締役 笠原氏
回収・保管場所
<回収事業者> 株式会社中西
飲み終わった「めぐる」のびんは、「酒のすぎた」のような店頭回収、または市町村回収に出されます。(株)中西では、8〜10市町村から委託された資源回収事業の中で、びんを回収し、リユースびんとワンウェイびんを選別しています。
「めぐる」に使用されたRびんが市町村回収に出された場合も、ここで選別されています。
同社では、知的障がい者を積極的に雇用し、社会参加の支援に特に力をいれています。2009年には“障害者雇用優良企業” として厚生労働省より認証されました。 彼らの手によって次々と選別される一升びん、Rびん、ワンウェイびんの数々。私たちの目の前で次々と箱に納められていきます。しかしこれでも、全体の売り上げの1割程度とのこと。
以前は、一升びんを筆頭にリユースびんが大量に回収され、毎日、びん商やメーカーへ運んでいましたが、運んでいけるだけの量が溜まるのに1〜2週間かかる現在では、「空き箱を置かなければならないのが、リユースびんの難しいところ」という代表取締役の笠原尚志氏の言葉通り、そのスペースが大きな負担になっているようです。
「個人的には、昔のような御用聞きのシステムが生きていれば、ビールはびんで飲みたいですね。そういう隠れたリクエストは他にもあるんじゃないでしょうか。」と、びん復興の可能性に期待する笠原氏です。
「めぐる」は、びんリユースの生き残りを図る試金石
積み上がったP箱
小島英一郎氏
<びん商/ガラスびん問屋> 株式会社小島良太郎商店
(株)中西で回収された「めぐる」の空びんは、びん商である、(株)小島良太郎商店に運ばれます。本社を取材した際に私たちが目にしたのは、住宅街の中に積み上がったP箱の山々。同社では、主に中小企業の酒蔵を対象に、空びんを取り扱っています。
しかし、大量にある空びんも、地元だけでは全てを売ることができず、全体量の8割を地方へ発送しているとのこと、それでも出荷量は年々下がっているようです。特に、3.11の震災以降、お花見やお中元の需要が急激に下がってなかなか元に戻らないと、厳しい現状を話す小島英一郎氏。だからこそ、静脈産業として受け手だったところから、初めて送り手として取り組んできた「めぐる」のプロジェクトには、ある種の期待を寄せています。
「私たちびん商が中身に関わっていくのはチャレンジなんです。5年先、10年先に残っていくために必要なことは何か。どうすればびんのリユースが生き残っていくのか、一つの試金石になると思います。」と小島氏。
消費者に手に取って関心を持ってもらうためにはどうするか。話題性を出すにはどうするか。リユースや共働に社会的な価値を示すためには何をすればいいのか、今までの売り方とは違う方法を日々、模索しています。