びんリユース推進地域協議会交流会 開催
日 時 | 2015年12月16日(水)13:00〜17:00 |
場 所 | 日本ガラス工業センター会議室 (東京都新宿区百人町3-21-16) |
主 催 | びんリユース推進全国協議会 |
共 催 | 環境省 |
2015年12月16日、びんリユース推進地域協議会交流会が開催されました。約80名の参加のもと、基調講演と地域協議会の実践報告、パネルディスカッションが行われました。
開催内容
- (1)主催者挨拶
- 小沢 一郎 (びんリユース推進全国協議会 事務局長)
- (2)共催挨拶
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鈴木 弘幸 氏(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室室長補佐)
- (3)来賓挨拶
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井出 大士 氏(経済産業省産業技術環境局リサイクル推進課課長補佐)
鴨川 公一 氏(農林水産省食料産業局食品産業環境対策室容器包装リサイクル推進係長)
馬場 謙太郎 氏(国税庁課税部酒税課調査係長)
- (4)基調講演
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テーマ: びんリユースから考える持続可能な社会 「環境+経済+社会=持続性」
松野 正太郎 氏 (名古屋大学大学院環境学研究科 特任講師)
- (5)地域協議会報告
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@「温暖化効果ガス排出とリユースびん 〜京都〜」
吉川 康彦 氏 (全国びん商連合会 会長)
A「新たな720ml茶びん回収システムの構築 〜秋田方式〜」
辻 貴雄 氏 (秋田びんリユース協議会 事務局長)
B「ワインびんリユースシステムの実証」
宮永 真彦 氏 (関東甲信越びんリユース推進協議会 事務局長)
C「なごやの地酒でECO呑み 〜中型リユースびんの普及〜」
安田 一機 氏 (東海地域びんリユース推進協議会 事務局長)
D「地域文化に根差したびんリユース推進の事例」
中島 光 氏 (大和びんリユース推進協議会 事務局長)
E「2015年 びんリユース活動普及推進活動の報告」
福井 善朗 氏 (大阪びんリユース推進協議会 代表)
柴田 吉子 氏 (Rびんプロジェクト)
- (6)パネルディスカッション
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テーマ: 「びんリユースに期待すること、そして今後への提言/どうすればびんリユースは進むのか」
- (7)びんリユース取り組み宣言採択・閉会挨拶
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小沢 一郎 (びんリユース推進全国協議会 事務局長)
当日の会場風景
(1)主催者挨拶
小沢 一郎
(びんリユース推進全国協議会 事務局長)
「2011年9月にびんリユース推進全国協議会を設立以来、全国各地域でびんリユースを進めようという考えで進めて参りました。協議会は5年目に入る訳ですが、本日はまさに今後の方向性を探る交流会になり、びんのリユースを新しい形で今まで以上に推進していければよいと思っています。只今よりびんリユース推進地域協議会の交流会を開催させて頂きます。」
(2)共催挨拶
鈴木 弘幸氏
(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室室長補佐)
「環境省としてびんリユースの実証事業を平成23年から力を入れて展開してまいりました。そういう中で5年間経過をしてきたということで、このリユースの仕組みの将来像をどうするかというのをぜひ議論をしていただきたいと考えているところです。
インターネットオークションや電化製品の再利用については “目利き”が必要で、自分の欲しいという欲求を満たす製品なら付加価値がついてビジネスモデルになっていきます。しかし、びんの場合にはそのびんがどうしても欲しいというのではなく、むしろこのびんを出すことによって環境に配慮しているとか、循環型社会のために貢献しているという思いをどれだけ持ってもらえるかということが大事だと思います。
それから、びんリユースをさらに進めようとする場合、同じびんが沢山あることが大事で、色々なびんが存在していると実際どのびんを回収するかわからないという根本的な問題が発生するので、これからは回収する出口のところを考慮することも重要です。
これまで各地域の協議会の中で取り組んで頂いた成果は確認しておりますが、Aという地域でできたことをBという地域でどう展開できるかという横展開を、今日これからぜひ皆様と相談させていただきたいと考えています。」
(3)来賓挨拶
井出 大士氏
(経済産業省産業技術環境局リサイクル推進課課長補佐)
「びんリユース推進全国協議会の取り組みの拠点が着実に地域に広がり、今回こうやって交流会の第1回目が開かれることは非常に喜ばしいことです。引き続き会が重ねられるようになることを期待いたします。
ガラスびん自体の使用量は減少していますが、ポテンシャルはあると考えます。例えば将来的に資源制約という状態になった場合や、現状でもLCAの面から見ても『びんリユース』は環境適性が良いことは明らかです。また事業者が自ら収集すると言った観点から社会全体のコストを合理化しているという面もあり、そのポテンシャルをどう広めて行くのかがテーマだと思います。
ところで欧州では、サーキュラー・エコノミーという政策パッケージが出され、その一つに循環経済を実現するための“シェアリング・エコノミー”という考え方があります。これには色々な定義がありますが、よく言われているのはICTを使いながらうまくシェアしていくことで、最近日本で話題になっている民泊もそれに該当します。上手にシェアすることでビジネスの仕方をもっと広げて経済的な価値を高めていく議論が規制改革会議で行われています。
『びんリユース』もシェアのひとつのかたちだと思っています。これまで行ってきた地域内で小さくリユースする方策や、一升びんのように全国的な取り組みも進めていきながら効率よく行う、“シェアリング・エコノミー”のような考え方を参考に、びんリユースだけではなく他の共有するビジネスと連携して広がっていく、今までの経験にとらわれない、新しい取り組みについての話があっても良いのではと思っています。」
鴨川 公一氏
(農林水産省食料産業局食品産業環境対策室容器包装リサイクル推進係長)
「リユースびんは、流通構造の変化や軽量な容器への転換などの要因で使用量は減少している状況にありますが、地域に根差した製造・小売り事業者やびん商、地域NPO、学識経験者、自治体などの方々が連携した協議会による地域循環型のリユースびん利用の促進事例が見られています。このような取組については、今回の交流会のように各地域のびんリユースシステムのベストプラクティスの共有を図り、取り入れていくことが大変有意義なものであると考えています。
農林水産省では、リターナブル自主回収認定の他、平成26年度には食品産業における環境に配慮した食品容器包装の事例を集め、ホームページで公開しているところです。従来の軽量びん以上の超軽量びんに変更するなど消費者の方々が気付かないところで事業者の皆様の努力を知ったところです。
今後は、いかにこのような環境に配慮した取組を消費者の方々にご理解いただき、これらの売上が向上されるように周知していくことが、3R取組の促進につながるものであると思っています。本日は、地域の優良な取組を共有し、リユース促進に向け活発にご議論いただきたく思っております。」
馬場 謙太郎氏
(国税庁課税部酒税課調査係長)
「お酒の業界ではガラスびんの利用が非常に多く、その中でもしっかりリユース(再使用)する、あるいはびんをリデュース(軽量化)するといった取り組みに積極的に対応いただいていると承知しております。
当庁といたしましても、あらゆる機会をとらえましてガラスびんについては繰り返し使用できる重要な資源であるということを、一般の消費者を含めて周知をさせていただいているところでございます。また関係法令、容器リサイクル法案等につきましても適切に遵守していただくようお願いさせているところです。
今日、皆様方からびんリユースに関する取り組みをお聞きできるということで、私共としましても環境問題といった社会的な要請にたいして適切に対応できるようこれからも務めて参りたいと思います。」
(4)基調講演
テーマ: びんリユースから考える持続可能な社会 「環境+経済+社会=持続性」
松野 正太郎氏
(名古屋大学大学院環境学研究科 特任講師)
東海地域びんリユース推進協議会の会長を務められ、環境政策を研究されている、松野正太郎環境学博士から、リユースびん推進活動の基本指針となる興味深い講演を頂きました。
35年後の2050年、社会の変化とリユースそのものの変化を想定しながら、『(びん)リユースの機能』に着目してお話しします。持続可能な社会を語る場合、将来の世代にも資源を残すという「世代間公平」と、現在生きている世代の中での「世代内公平」という考え方があります。「世代内公平」とは「環境・経済・社会」がバランスよく回っている状態をさしますが、(びん)リユースは「環境・経済・社会」の中心に位置し、これまで我々が社会経済活動の中で育んできた「文化」=機能だといえます。
リユースの価値を確認していくために、利点・仕組み・課題・制度、さらに現在直面する障壁などを抽出していくと、国の法律は「容器包装リサイクル法」で、そこには「リユース」が含まれていないことが分かります。また、リユースびんを認識していない消費者が存在するという現実が見えてきます。
資源環境レジリエンス(復元力)の視点に立ち、大規模災害時の廃棄物処理の状況を分析していくと、民間主導で回っているリユースの機能を生かしておくことの重要性が認識できます。
リユースに付加価値を与えるためには「目利き=プロフェッショナル」の育成も必要となります。びんリユースを考える上では、びんリユースの未来!とびんリユースの機能の未来!…この2つの側面からとらえ、「社会資本」であるリユースの維持・再構築に取り組まなくてはなりません。
2050年、第4次産業革命がおこるとしたら、「リユース」が中心的な技術になるように仕向けて行かなければならないかもしれません。モノのインターネット(Internet of Things: IoT)がすすめば、どこで・何が・どのように・誰に使われているかがわかるようになり、ガラスびんの価値が上がればICチップを埋め込み、維持管理する「リユースの技術」ができてくることも期待できます。
<講演のレジメ>
1) びんリユースと持続性 「世代間公平の考え方」と「世代内公平の考え方」
2) リユースの価値? 3) リユースとは? :リユースの利点 4) 身近なリユースの仕組み
5) リユースの課題 6) リユースの価値とは? 7) びんリユースが直面する障壁
8-1) リユース:資源環境レジリエンスの視点 8-2) 資源環境レジリエンス:施策の分類
8-3) 大規模災害時における市民のごみ処理の対応
8-4) 大規模災害時における市民の処理困難物
8-5) 廃棄物処理機能喪失時における処理費支払意志額
8-6) 自治体における災害時の廃棄物処理の状況
8-7) 廃棄物処理の途絶による経済的・社会的損失
◎総括:(びん)リユースの未来 最後に:第4次産業革命をリユースが担うか?
(5)地域実践報告
@「温暖化効果ガス排出とリユースびん 〜京都〜」
吉川 康彦氏
(全国びん商連合会会長)
びん洗浄を行う工場敷地内に太陽光発電装置を設置し発電量を計測する実験は、リユースびんの将来の忍耐力を知るための実験と位置づけられ、2013年に開始されました。
自社工場敷地内で使用する(電気とLPGガス)エネルギーを、太陽光発電で賄える量を測る実証実験の概要と、2015年までの経過を発表していただきました。
◆発表の要点
2014年は太陽光発電パネル840枚を3か所の倉庫屋根に設置し、1年間で15万425キロワットの発電実績を確認しました。この発電量は、洗びん工場の年間消費電力量:80万4千キロワットの18.7%に相当することが分かりました。
2050年の温室効果ガス削減目標が、2014年比でマイナス80%になると仮定し、2050年の洗いびんの本数を年間500万本と想定すると、必要な電気エネルギーは57万4千キロワットとなります。仮に、パネル2374枚を設置すれば、発電量は47万キロワットとなり、電気エネルギーの80%削減が不可能でないことが分かります。確実に削減を継続するには、@蓄電装置の設置(休日稼働)、Aパネル設置場所(屋根)の改造、B高性能モジュール(パネル)選択、C工場設備の節電化など改良が求められ、新たな投資が必要となることが分かりました。
また、洗びんに必要な熱エネルギー(LPGガス)で換算すると、洗いびん本数500万本に必要なLPGガスは、年間で10万立方メートルとなり、現状のボイラーに替え「工業用太陽光温水システム」を採用し、太陽光の熱を集めるパネルを1000枚設置すれば、計算上は削減が可能となります。しかし、これまでのシステムでは熱効率が不十分で、新たな太陽熱給湯システムと太陽集熱パネル、蒸気供給ヒートポンプシステムに関する情報収集と検証が必要です。
A「新たな720ml茶びん回収システムの構築 〜秋田方式〜」
辻 貴雄氏
(秋田びんリユース協議会 事務局長)
秋田びんリユース協議会が行った「新たな720ml茶びん回収システムの構築 〜秋田方式〜(全量回収)」について、取り組みの内容・テストの詳細・現状と今後の課題と展開について発表していただきました。
◆発表の要点
「秋田方式」では、720ml茶びんは全量を回収します。平成27年6月から11月の実績は、回収本数:41,927本、使用可能本数:32,704本、リユース率は78%となりました。また、同期に、約10,000本の720ml茶びんを酒造メーカーに提供しました。
全量回収後、「びんの重量」と「びん製造時の刻印」によって自動的に選別するシステムを秋田県立大学に開発していただいています。重量による選別テストでは、誤判別は0.1%となりました。また、刻印による選別については、びん底を撮影するためのカメラと遮光装置を工夫していただき、会社名や製造年月日が認識できるようになりました。
リユースシステム構築での課題は、「回収」、「洗浄」、「多種・多色容器の選別」、「リユース容器を使用して戴くメーカーの模索」、「容器を流通させる為の専用ケース確保」がありましたが、自治体と県立大学、洗びん会社とレンタル会社等の協力者と連携したことでクリアすることができました。
今後は、リユース容器の回収量の増加(回収色、回収エリアの追加)目指します。また、仕分けシステムの精度と効率化の向上(誤判別:0%)を測り、各酒造メーカーさんに提供していきます。
B「ワインびんリユースシステムの実証」
宮永 真彦氏
(関東甲信越びんリユース推進協議会 事務局長)
ワインびんリユースシステムの実証事業は3年目を迎えました。より具体的な目標設定し、これから行われる取り組み内容を発表していただきました。
◆発表の要点
今回の実証事業の目的は、@ワインびんリユースの安定的長期的なシステムを作る。A経済的効果、社会的効果の実証データを数値化する。Bネットワークを使ってメーカー及び消費者に、リユースの有意義性を周知徹底する。…の3つです。
ワインびんの回収先は、昨年のスーパーマーケットに替えて、大量にびんが集まる立川の洗びん工場、山梨県旅館生活衛生同業組合に協力していいただくことになりました。実証対象容器は、720mlワインびん(T型、K型)にしました。共通びん化できる可能性に期待しています。
これまで通り、山梨県庁、びん商、洗びん事業者、飲料メーカー、流通業者の皆さんに参加していただき、流通事業者を主とする回収(山梨モデル)とびん商による回収の2つのモデルで、実証事業を続けています。安全性と経済性を確保した流通システムを確立するため、回収と流通の合理化を図り、高性能なびん洗浄システムの研究を続けるなど、これからもしっかりと取り組んでいきます。
C「なごやの地酒でECO呑み 〜中型リユースびんの普及〜」
安田 一機氏
(東海地域びんリユース推進協議会 事務局長)
平成26年に設立された東海地域びんリユース推進協議会の活動…「なごやの地酒でECO呑み 〜中型リユースびんの普及〜」の進捗と今後の展開について発表していただきました。
◆発表の要点
東海地域の酒蔵で作られる地酒をリユースびんに詰めて飲食店等で提供・販売し、その場で飲み終えた「びん」は分別・回収され、洗浄した上で再使用されるという、中型(720ml)リユースびん普及のための3年間にわたる実証実験です。
実験の2年目となる本年は、酒蔵が運営されている堀川酒蔵屋台にご協力いただき、のぼり・ポスターを設置し、中型リユースびんの普及に努めました。実験後の調査では、中型びんのリユースに関する認知度は低く、更なるアピールが必要となりました。
3年目は、地元のオーナー経営の店舗にアプローチし、チラシ・ポスターで店頭でのアピール力を強化していく予定です。また、雇用の創出をテーマとした実証事業も開始する予定です。
D「地域文化に根差したびんリユース推進の事例」
中島 光氏
(大和びんリユース推進協議会 事務局長)
リユースびん入りの大和茶『と、わ(To WA)』は、平成25年の販売開始以来、奈良市・生駒市などの自治体に普及し、県内外の有名ホテル・旅館や飲食店でも採用されるようになりました。3年間の活動の成果と今後の展開について発表していただきました。
◆発表の要点
大和茶『と、わ(To WA)』は、市が主催するイベントや市庁舎で行われる会議などでペットボトルに替わる清涼飲料として採用され、関連施設や職員売店などでも普及させることができました。平成25年12月には『と、わ(To WA)』を採用した環境配慮行動が評価され、生駒市が第15回グリーン購入大賞・優秀賞を受賞されました。
平成27年12月の取引店数は、公官庁:14件、ホテル・旅館:16件、飲食店:69件、その他をあわせて125件となり、増加傾向が続いています。中でも、県外の有名ホテルでは客室のミニバーで採用され、ナショナルブランドの清涼飲料と並んでディスプレーされるようになりました。リターナブルびん飲料としての商品価値と営業努力が認められて採用されたことで、ブランド力は堅実に向上していると思います。
このように、社会的評価は確かに高まっていると言えますが、経済的評価(価値)については厳しい状況にあると認識しています。経済的評価を獲得していくには、びんリユースの新たな展開が必要です。
そのためには、各地域に点在する業務用酒販店との連携を検討していただきたいと思います。ホテル・旅館・飲食店への商品提供を行っている業務用酒販店は、クローズドマーケットにおける中身メーカーとのつながりや強固な流通チャネルを持っているため、びんリユースシステムの存続には有利であり、オープンマーケットにおいても宅配などへの展開の可能性が見えてきます。
E「2015年 びんリユース活動普及推進活動の報告」
福井 善明氏
(大阪びんリユース推進協議会 代表)
柴田 吉子氏
(Rびんプロジェクト)
2014年に発売を開始したリユースびん入り飲料『大阪撰茶 茶々(ちゃちゃ)』の普及活動とびんリユースの啓発活動、そして現状の課題と今後の展開について発表していただきました。
◆発表の要点
今年は、行政関連では堺市・東大阪市・柏原市・八尾市の会議で採用していただきました。イベントでは、大阪府ガレージセール、大阪市エコ縁日、柏原市環境フェア、八尾環境フェスティバル、港区民まつりで『茶々』のPR活動を行いました。また、環境団体と府民を対象とした啓発セミナー「まつりdeリユース 〜ごみゼロ大阪をめざして〜」を開催。また、大阪府民環境会議(OPEN)と連携し「リユースびんの洗浄工場(吉川商店)見学」と「ワインびんリユースの現状を知るためにカタシモワイナリー見学」など、リユースびんの情報発信のための施策を実施しました。
八尾市と柏原市で行ったイベントでのPR活動では、『茶々』だけではリユースびんの普及がむずかしいので、コカ・コーラや三ツ矢サイダーなどと一緒にアピールすることが必要でした。またそのためにも、地元の酒販店さんに配送回収してもらうことが大切で、業務用酒販店さんに加え一般の酒販店さんの開拓と連携が必要です。
来年も『茶々』の販売を続けることが決まりましたが、協力メンバーを増やしていくことが急務です。また、びんを含めた「リユース」をテーマに、大阪の大きな祭りなどでアピールを行っていきます。
1)主な活動の紹介
・商品紹介と行政・環境団体が行う地域イベントなどでのPR活動
・環境団体、府民を対象にした啓発セミナー開催
・大阪府民環境会議と連携したリユースびんの情報発信の紹介
2)現状への対応と課題
・リユースびん入り飲料の認知度向上
・柏原市、八尾市、大阪ガレージセールでは、地元の酒販店に配送回収をしてもらい、「茶々」など
リユースびん入り飲料のリユース体験をとおしてリユースびんの有効性をPR
・地域の酒販店や「カクヤス」との連携が課題
3)今後の活動
・新「茶々」を開発し、2016年2月に発売の予定
・配送回収のキーとなる地域酒販店を開発し、所在地マップを作成
・リユースびんの種類、本数、配送時間などにきめ細かく対応し、各地のまつりやイベントの主宰者に
利用しやすくし、リユースびんの普及につなげる
(6)パネルディスカッション
テーマ: 「びんリユースに期待すること、そして今後への提言/どうすればびんリユースは進むのか」
◇パネリスト (順不同・敬称略)
・鈴木 弘幸 (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室室長補佐)
・斉藤 由実 (山梨県森林環境部森林環境総務課課長補佐)
・有田 芳子 (主婦連合会会長(環境部長) )
・木内 真二 (日本酒造組合中央会業務第一部部長)
・幸 智道 (びんリユース推進全国協議会 副代表)
・松野 正太郎 (東海地域びんリユース推進協議会 座長)
◇司会
・小沢 一郎 (びんリユース推進全国協議会 事務局長)
議題 1 : 「なぜリユースびんは衰退したのか?その課題と問題は何か?」
- 最も減少してきているのは、オープンループシステムに分類された、一般家庭を対象としたビールびんや一升びん。1970年代頃から持ち帰りが増えたことで、軽い容器が求められた。その後、コンビニなどが増えたことで消費者のライフスタイルも変わり、びんリユース商品に接する機会が激減している。そのため、びんリユースのシステムや仕組みの理解度が低下している。
- 軽くて、ふたがあって、割れにくいなど利便性の高い容器の種類が増えたこと。紙パックのようにリサイクルできるといった環境性能を持った容器が増えた。
- 学校給食では、びんが減って紙パックが増えている。ワイン生産地域の小学校では、ワイナリーと協力して一升びんを集めるなどリユースに触れる取り組みを実施している。
- 小学校では3Rの授業を行っている。このような授業はびんリユースを伝える機会となる。
- 一升びんの比率は、リユースびん使用が約8割、新びんが約2割となっている。
議題 2 : 「1.8Lびんの状況は?」
- 消費者調査によると、20歳代は52.2%がリユースびんの存在を知らない。また、小売酒販店数の推移は、全体の店舗数は増加、しかし1.8Lびんリユースを支えていた一般小売店が平成13年から23年の間に、大きく20%減少。
- P箱を使用した流通は、約7割でダンボール使用が3割弱になっている。
- 酒造メーカー調査によると日本酒の容器は、1.8Lびんが31.3%、紙パックが49.7%。焼酎では、1.8Lびんが19.4%、紙パックが55.5%となっている。新びんの出荷割合が22.3%、また段ボールの出荷割合が28.5%で、年々その比率は高くなっている。ダンボール出荷使用が増えるとP箱不足になり、びんがカレットされてしまう。
- 1.8Lびんは、容器リサイクル法の自主回収認定を受けているので、回収率が下がっているのが問題。
- リユースを阻害する課題を洗い出し、対応策を検討することが必要だ。
議題 3 : 「大手メーカーの現状は?」
- びんリユースについては数量が減少中。状況によってはメーカーは生産ラインを止める場合もある。
- 小型びんの生産が増えている。理由は、ノンアルコールビール。市場に合った商品が出れば伸びる。
- リユースびん全体で26億本あり、その内ビールが10億本を占めている。
議題 4 : 「ビールびんを回収してくれない小売店が存在する問題は?」
- ビールびんは、容器保証金制度があり取引はすべてルール化されている。しかし、現実は小売店も疲弊している状況で回収拒否を行っているお店が出てきつつある。メーカーはしっかりと小売店に訴えていくことが必要だ。
- 山梨県では「エコライフ県民運動」を進めている。びんリユースにも力を入れ、558店舗が協力している。ワインは一升びんでの流通もある。
議題 5 : 「国の考え、方針は?」
- 国民の人達に、リユースを知ってもらわないと始まらない。リサイクルの方が認知度が高い。
「びんは、どうやってくらしの中に溶け込めるのか?」「びんのメリットは何か?」「びんの新しい役割!」をしっかり提案し、受け入れられ、その結果リユースされる…と行かないと、難しい。 - リユースを広めるには、たとえば「リユースの日」を作り普及浸透させる仕掛けを作りたい。
- びんでなければならない理由・価値をはっきりさせる。若い人はリユースしている。
- 環境学習を始めた世代は、現在25、26歳になっている。彼らは、環境意識が高い。リユースはオシャレであるという意識が植え付けやすい。
議題 6 : 「日本酒の紙パックが増えている。何とかならないのですか?」
- 家庭では紙パック、外で飲むのはびんのお酒が中心。現在日本酒業界では、特定銘醸酒というグレードの高い吟醸酒、純米酒が売れ始めていて、びんで売られている。そこでは、びんが回復する傾向があるかもしれない。
- びんリユースを進めるには工夫することが必要だ。
- 酒全体では、ピーク時の1/3ほどに減っている。(平成10年度5.3億本→平成25年度1.6億本)
議題 7 : 「びんリユースの問題を解決するには?」
- まず、びんリユースに関係する人たちを集め、とにかくリユースの情報や課題を共有すること。
同時に、将来ビジョンを設け、全体に示して共有化することが重要。 - 将来を考えた時、再生可能材料などは本当に効率的なのかを明らかにすること。
びんは個人の所有でなく、共同利用するのがびんであるという概念にシフトすることが必要だ。 オリンピックで日本の「リユースの日」をアピールしたり、東京大会に提案し分野横断的な学会などで発信してほしい。 - びんは公共財で、所有物ではないという意識。びんの経済活動は民間で、共有する視点が重要。
- ガラスびんの利点を追求してほしい。販売店も交えてPETボトルなど各容器の経済性や処理費も含めて一緒に考えてほしい。
- びんは容器の中でもリユース可能な代表的容器であり、新しい枠組みとして提案が必要だ。
まとめのコメント
- 行政だけでは難しく、民間と一緒に進めること、自主性が必要である。
昔の話ではなく今のガラスびんの良さ、リユースの必要性を特別なものとしてPRしていくことが重要。 - 1.8Lびんの回収率はH26年度81.2%に回復した。これからも業界としてしっかりと取り組む。
- ガラスびんの価値と魅力の表現が必要。最近の成功例は・・・「プレミアム感」。ガラス容器は少し高級、少し美味しそう。このような要素を織り込みながら訴求していくことの必要性を感じた。そして、新しい意味付けという面では、ビジョンの策定を課題として考えている。ガラスびんのリユースとは何であるかを、今日の議論を役立てながら、早急に皆さんと検討できる言葉にまとめる。
- リユースは回収に議論が集中しがちだが、作るところから使って集めてまた回る…サプライチェーン…リユース経済の中で、もう一度びんリユースの機能を位置づけなおすという事に挑戦しなければいけない。
- 本日交流会に参加している各団体が、びんリユースへの提案内容を持たなければならない。
会場からの意見
- 段ボール出荷が増え、P箱が減っている。段ボールに新びんを入れる。びん質が相当悪くなる。その結果P箱が不足すると、リユースができなくなってしまう。なぜリユースびんが必要か、必要でないかを国民的レベルで議論して、結論をだしてほしい。
- リユースが必要ならば、容器包装リサイクル法にリユースを加え、容器包装リユース・リサイクル法にしてほしい。
- 便利なプラスティックを使い続けてきたことで、海のマイクロプラスティックが問題となっている。リユースびんがいま必要とされている。
(7)びんリユース取り組み宣言書採択・閉会挨拶
小沢 一郎 (びんリユース推進全国協議会 事務局長)
「この度は「びんリユース地域協議会交流会」に参加していただき有り難うございました。
びんリユースの取り組みが進められて約100年になる今、このリユースが危機的状況にあります。今一度復活を駈けたチャレンジを皆さんのお力添えで一緒に進めたいと思います。今後共、今回確認いただいた「びんリユース取り組み宣言」を柱に全国の地域協議会と連携して更なる取り組みを進めます。」