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びんリユース シンポジウム2024

「びんリユースからはじめる、捨てない文化」

びんリユース関わる消費者、事業者、学識者、行政など、関係の皆さまにご参集いただき、びんリユースが果たす社会的な価値と役割を様々な観点より考え、将来に向けたびんリユースのあり方を探るシンポジウムを開催しました。

会場
開催日時 2025年3月11日(火)
14:00(開場13:30) 〜 17:00
会場 日本ガラス工業センター 地階会議室
東京都新宿区百人町3-21-16
主催 びんリユース推進全国協議会

プログラム

開会・挨拶
吉川 康彦
(びんリユース推進全国協議会共同代表、全国びん商連合会副会長)
基調講演
梅田 温子 氏
(株式会社斗々屋 代表取締役社長)
「ゼロウエイストとびんリユースの有効性を考える」
事例紹介1
徳村 健 氏
(株式会社カクヤス 取締役)
「捨てない文化を、びんから。サーキュラーエコノミーの取り組み」
事例紹介2
辻 良太 氏
(日本ガラスびん協会SDGs WG 委員長/日本山村硝子株式会社環境室長)
「ガラスびんの機能と価値を捨てない文化へ」
まとめ(閉会挨拶)
田中 希幸
(びんリユース推進全国協議会共同代表、ガラスびん3R促進協議会事務局長)


開会・主催挨拶

吉川 康彦
(びんリユース推進全国協議会共同代表、全国びん商連合会副会長)

吉川氏

  • 当協議会は、平成23年から28年まで環境省の我が国のびんリユースのあり方に関する検討会の委員が中心となって設立した非営利団体。
  • 前代表の安井至先生東京大学名誉教授が2024年に勇退。現在2名の共同代表で運営。
  • 我々現代生活は、化石燃料の消費によって支えられていると言っても過言ではないと思うが、その持続可能性については大きな疑問符がある。また、これからの人類は、気候変動や食料不足、生物多様性の維持など様々な課題に直面すると思われる。本日のシンポジウムはリユースびんを中心としているが、容器のことは、今後の地球規模の問題にもつながる社会課題と認識。
  • 本日のシンポジウムでは、住みやすい地球が失われないために、我々人類がどのように振る舞うかを皆さんとともに考えたい。

基調講演

梅田 温子 氏
(株式会社斗々屋 代表取締役社長)

「ゼロウェイストとびんリユースの有効性を考える」

  • ゼロウェイストスーパーマーケットという選択肢

    斗々屋は、2017年12月に設立され、2021年7月に京都にて本店をオープンしたゼロウェイストスーパーマーケットです。2023年には東京・代官山にも出店しましたが、現在は業種を変更し、移転の準備を進めています。
    斗々屋が掲げるのは、「地球1個分の暮らしが可能になるライフスタイル」。日本ではまだ馴染みのないゼロウェイストという概念を、日々の買い物を通じて実践できる形で提供しています。
  • 容器・販売方法・仕入れ、全てにゼロウェイストの思想を

    斗々屋の店内では、リユース可能なガラス瓶などの容器を使用し、量り売りで商品を販売しています。これは単に包装を省くためではなく、「必要な分だけ購入する」ことで、無駄を生まない仕組みです。容器にはデポジット制度(保証金制度)を取り入れ、回収された瓶は洗浄・再利用されます。1本あたり100〜150円のデポジットを設定することで、回収率も高く保たれています。

    テクノロジーの活用も特徴的です。液体の商品には、世界初の「減算方式リキッドスケール」を導入。ガソリンスタンドのように、注いだ分だけリアルタイムで量と金額が表示される仕組みです。また、瓶の底にRFIDタグを貼り、それぞれの瓶の重さを自動的に引き算するシステムにより、スムーズな購入体験を実現しています。

    国レベルでデポジットを導入しているドイツなどでは、ビールのびんなどはデポジット容器となっていて、返却することで1本あたり日本円で30〜60円戻ってくる仕組み。回収したリユースガラスびんに充填して販売する仕組みが整っています。
  • ごみを出さない運営と食品ロス削減への取り組み

    斗々屋では、販売だけでなく、運営のあらゆる面で「ごみを出さない仕組み」が実践されています。仕入れには通い袋・通い箱を使用することで、プラスチックごみは月に1〜2回、わずか8kg程度。生ごみは週に25〜60リットル分をコンポスト化し、近隣のきのこ生産者に提供しています。そのほか、お客様が持ち込める回収資源としては、使用済みのコーヒーかすや、コンタクトレンズケース、テトラパックと牛乳パックなども店頭で回収しています。

    また、食品ロス対策にも力を入れており、熟しすぎた野菜や、規格外の野菜などは捨てずに調理・加工し、惣菜として販売しています。開店から約4年、ほとんど食品ロスを出していないという実績は、斗々屋の仕組みの強みを物語っています。

    斗々屋は、小売だけでなく、ゼロウェイストに取り組む個人・法人への支援やコンサルティング事業も行っており、現在全国で130店舗がこの考えに基づいた運営を行っています。その店舗らは、斗々屋の厳選した食材の卸先にもなっています。企業向けは、ゼロウェイストスーパーマーケットのノウハウを提供し支援、コンサルティングや、CSRやSDGS関連部署がある企業には、CSR支援プログラムなどでサポートを行っている。
  • 次なる展開と社会への広がり

    2023年からは賞味期限切れ商品の店内販売にも挑戦しており、クレームはゼロ。むしろ人気で「賞味期限切れ待ち」が出るほどの反響です。

    2024年には、完全プラスチックフリーの冷凍弁当やガラス瓶入りドレッシングのオンライン販売を開始。さらに、京都市内の老舗オーガニックスーパーと連携し、お弁当やサ
    ラダボウルを卸すとともにデポジット容器を共通で使用するなど、地域ぐるみで容器のリユースを広げる動きも生まれています。

    新たな挑戦として、企業向けにパッケージフリーのおやつを届けるサービスや、ごみ削減効果の「見える化」にも取り組んでいます。

    そして2025年4月には、再生可能エネルギーの会社と協業し、下北沢に発酵スイーツなどを提供するテイクアウト中心のカフェをオープン予定。より多くの人が、手軽に持続可能なライフスタイルに触れられる場になることを目指しています。
  • 斗々屋はこれからも、社会全体にゼロウェイストの選択肢を広げ、日常の中に「地球1個分の暮らし」を根付かせていきます。

事例紹介1

徳村 健 氏
(株式会社カクヤス 取締役)

「捨てない文化を、びんから。サーキュラーエコノミーの取り組み」

>徳村氏

  • かつて御用聞きスタイルで注文を受け、配達をしてびんを回収する酒屋の時代があったが、現在、消費者の購入先がスーパー、コンビニ、ECなどに代わり、容器も缶やPETボトルが多くなり、販売先がびんを回収することが少なくなった。カクヤスは、旧来の御用聞きスタイルの形を変えて、飲食店向けには専用営業員が対応、家庭用向けには、コールセンターでの電話接客、店頭では対面接客、ECはWeb接客と、接点別に対応を実施している。変わらないのは、「お届けと回収」。自社の従業員が、最後の接点を持ち続けることを大事にしている配送プラットフォーム企業に変革。
  • 自己紹介として、約28年伊藤忠商事系食品・酒類卸会社に勤め、2021年カクヤスに入社、執行役員を経て2022年2月に取締役就任、2025年4月よりグループ会社の明和物産株式会社 代表取締役社長就任。
  • カクヤスは1921年に東京都北区で創業、今年で103年。社名の由来は、日本酒を飲む器「角枡(かくます)」と創業者「佐藤安蔵(やすぞう)」に由来。業種は「卸売業」から2024年10 月「小売業」に変更。グループビジョンは「お客様のご要望に「なんでも」応えたい」「いつでも、どこへでも、どれだけでも」。
  • カクヤスは、飲食店やご家庭などにお酒を中心にお届けしている、ラストワンマイルを手掛けるデリバリー企業で、首都圏を中心に大阪、福岡、長崎に全255拠点を展開。
  • 主となる事業が、時間帯配達事業、店頭販売事業、ルート配達事業の3つ。

    時間帯配達事業は、飲食店・家庭両方に対応。365日年中無休、東京23区内、1本からでも送料無料、最短1時間で配達するサービス。店頭販売事業は、都内に約170店舗展開、365日年中無休。時間帯配達事業の配達拠点も兼ねている。ルート配達事業は、飲食店向けで首都圏に9か所ある業務用センターからルート配送で比較的大きい荷物を朝から夕方にかけて、365日年中無休で配達。

    カクヤスのサステナビリティの取り組みの重点テーマは、気候変動対策、資源循環、酒・飲食文化と社会問題(アルコール関連問題への取り組み)。
    気候変動対策の取り組みとして、1.配送車両にEV軽自動車を導入、本社ビル・配送センター・店舗14拠点に再生可能エネルギー由来電力へ切替、3.PB商品にて環境に配慮した商品開発。

    資源循環では、1.通常は納品したら終わりの業務をカクヤスでは、回収も行う2way型サービスを実施。あわせて、新たな取り組みとして廃食用油の回収も開始。2way型サービスだから実現できた。2.リターナブルびん飲料の販売促進と回収。
  • 日本ガラスびん協会、ガラスびん3R促進協議会との取り組み

    2つの団体と関わることで2way型サービスの価値を再認識、びんの循環システムの理解にもつながる。それにより2way型サービスと命名。
    1. びん循環システムに関わる会社を視察(株式会社三裕様、硝和ガラス株式会社様、東洋ガラス株式会社、富士ボトリング株式会社様)。
    2. 日本ガラスびん協会が銭湯で開催する『しよう!再使用!リターナブルびんラップチャレンジ』に協力。参加銭湯へリターナブルびん入り飲料の販売および空容器の回収を担う。
    3. 日本ガラスびん協会ホームページのnoteというコンテンツに「カクヤス独自のビジネスモデルに見るリターナブルびんの課題と可能性とは」掲載。この掲載を見たら、カクヤスって何をやっているのか?何を考えているの?というのが含まれていますのでさらに理解が深まると思う。
    4. 富士ボトリング株式会社が製造するリターナブルびん入り「ASHIGARA SEIGA(足柄聖河)」ミネラルウォーターを2024年10月より配達エリア内で地域独占販売を開始。今後本格的に、飲食店・宿泊施設・オフィスなど向けに営業、販売を推進。
  • サーキュラーエコノミーの取り組み

    カクヤスの2Way型サービスは、サーキュラーエコノミーの取り組みの原点になると認識。リユース容器の商品を約350品種取り扱い、回収率はびん類では93.5%、生樽99.6%、業務用炭酸ガスボンベ98.3%。販売量より多い回収率103%の特定の商品もある飲食店向け回収はほぼ100%となっている。

    その他回収事例として、家庭用炭酸水メーカーのガスシリンダーを購入で使用済みを回収している。また、明和物産株式会社は明治の特約店のため、宅配乳製品の販売・配達・回収を行っている。

    びんビール拡販目的として、BSテレビのグルメ系番組のスポンサーとなった。

    今後は、リターナブルびんのオリジナル商品開発を検討。カクヤスのビジネスの強みを生かし、共通びんを使用するなどで試行錯誤をしながら、先の100年に向けて進みたいと思っている。
事例紹介1会場

事例紹介2

辻 良太 氏
(日本ガラスびん協会SDGs WG 委員長/日本山村硝子株式会社環境室長)

「ガラスびんの機能と価値を捨てない文化へ」

辻氏

  • 日本ガラスびん協会SDGs推進WGは、2020年にSDGs検討WGとして立ち上げ、ガラスびんのSDGsへの貢献、取り組み内容、環境特性の可視化をまとめた後、2021年からSDGs推進WGと組織を発展させ、まとめた内容を社会に訴求する活動を行っている。
  • ガラスとガラスびんの歴史

    人類とガラスの始まりは約230万年前、猿人の時代にマグマが冷えてできた黒曜石という天然のガラスを包丁ややじりとして使っていたのが起源といわれている。ガラスを自ら作り出す方法は諸説あるなか、フェニキアの商人が浜辺で岩塩をかまどにして焚火をしていたところ、岩塩(天然ソーダ)が砂浜の砂と反応して偶然できたと言われている。

    紀元前3000年ごろの遺跡からガラスビーズの首飾りなどが発見されており、人類は偶然できたガラスを意図的に作り加工するようになったと考えられる。紀元前1500年頃のフェニキアの香油びんが発見されており、ガラスを容器として使う歴史は、約4000年に及ぶ。

    紀元前後の約2000年前、現在も使われる成形技法の基礎が生まれた。溶かしたガラスを鋳型に流し込んで成形する鋳造技法が開発され、食器、板ガラスの製造へ進化、ローマ帝政時代にあたり、この頃のガラスはローマンガラスと呼ばれている。製造技法が進むことにより、ガラスは貴重品から実用品へと変貌。地中海沿岸で発達したガラス製造は、西ヨーロッパ、中央アジア、中国、そして我々日本にも広がって全世界に広がった。

    明治時代初期に官営の品川ガラス製作所が設立され、工業化が始まったことから、日本のガラスびんの近代化が始まった。1900年頃には海外の半自動製びん機、1924年(大正13年)ハードフォード社開発の現在も使われるISマシンが導入、昭和の時代に入りガラスびんの全自動生産が始まり、ガラスびんは急速に日常品として我々の生活を支えるようになった。その後もさまざまな技術が開発され、1933年に低温殺菌、高温殺菌の技術が確立。ガラスびんは衛生に適した容器として広まり、日常品として社会に定着。リユース可能なリターナブルびん、分別回収、高度な水平リサイクルシステム確立は環境面で発揮、ガラス5000年の歴史、ガラスびんの量産が定着して100年たっても、ガラスのごみが問題になったことはなく、現代も豊かな生活を支え続けている。
  • 容器の役割とガラスびんの価値

    容器の基本的役割として1つ目は、内容物を守ること。破損や熱などの「物理的要因」、酸化や腐食などの「化学的要因」、いたずらなどの「人為的要因」、腐敗菌や虫などの「生物的要因」から内容物を守ること。2つ目は「運ぶ」。内容物だけで運ぶことはできないので、運ぶ役割は流通、販売、消費などのシーンで発揮され、加えて「使いやすい」といった取扱いの利便性にもなる。3つ目は「伝える」。内容物が何であるか、容器や添付のラベルに記載できるため、伝える役割も果たす。

    容器の基本的役割は機能的価値となり、各素材の容器は技術とともに進化してきた。素材の性質により、各素材の容器には保存性、ガスバリア性など多様な長所・短所がある。ガラスびんは長所として、保存性、透明性、化学的安定性、素材の溶出がない、衛生性、耐候性と併せて他の容器の短所を補うことができ、唯一リユースが可能で、3Rすべてに対応。短所で重い、割れるなど利便性を取り上げられるが、性質を理由に使用できない内容物は、ほぼない。

    ガラスびんの価値構造は、環境性能を土台に、機能的価値、情緒的価値の積み重ねで構成。機能的価値は、長所である保存性、化学的安定性、衛生性、耐候性により幅広い内容物に使える汎用性で現れている。情緒的価値は、無意識に記憶されているデザインの「ブランド認知」や、デザインによって味が影響される「感覚転移」などがガラスびんでは特にあらわれやすく、デザイン性、素材感、重厚感により他の容器にはない価値となっている。また、土台となる環境性能は、ガラスびんの主原料である珪砂や石灰石などは地球の地殻に含まれ自然界にある天然素材であり、有害物質の吸着・溶出がなく、単一素材でReduce、Reuse、Recycleの3Rすべてが成り立つ唯一の容器。リユースは他の素材にはできない、洗って使うことはごみを出さない究極の形。ガラスびんは、生態系保存、資源循環に貢献できる容器である。
  • 将来に向けて捨てない文化へ

    持続可能な社会に向けて、利便性とのトレードオフについて考えた場合、ガラスびんには「重い」「割れる」などといった劣る部分があるが、利便性に偏って容器が優先された結果、海洋プラスチックごみなど地球規模の環境汚染、気候変動、廃棄物問題が引き起こされているといっても過言ではないと考える。ガラスびんのリサイクルは他の容器と異なり国内循環のシステムが確立され、海外への依存は全くない。同じガラスびんとして再生される高度な水平リサイクルも確立されている。

    「びん to びん」の水平リサイクルは1970年代から行われ、国内循環を実現。現在国内の再資源化率は100%。また、ガラスびんだけが持つリユース特性、リターナブルびんは2023年に約48万トン使用されている。100万トンあった時代もある。洗って何度も使うことが最も環境にやさしい方法であることは間違いない。1870年に舶来商品の空きびんを買い集めて売る商売が誕生。その後一升びんが登場してリユースの仕組みが構築され、100年以上が経過。リユースびんが問題になったことはないという実績で証明されている。

    ガラスびんの環境性能でのコアコンピタンス(独自の強み・優位性)はリユース適性と水平リサイクル特性であり、この特性をもってすればガラスびんはごみにならない、捨てない文化のために最も必要とされる容器である。
  • サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの萌芽

    基調講演の斗々屋様では、びんリユースの特性を量り売りで発揮され、外資系ハイエンドホテルでは、ルーム・ミネラルウォーターを富士ボトリング株式会社のリターナブルびん入り「足柄聖河」に入れ替える動きが進んでいるなど、リユースの良さが再び見直されるビジネスモデルの萌芽がみられる。

    世界でも、ドイツのコカ・コーラユーロパシフィックパートナーズが詰め替え用ボトリングインフラに日本円換算で64億円以上の投資したニュースがある。そのコカ・コーラについては、日本でも「瓶コーク横丁」が開催されるなど、、長い歴史を持つ「コンツアーボトル」が新たに始まる捨てない文化につながっていくことが期待できる。
  • 日本ガラスびん協会の取り組み

    日本ガラスびん協会では、SO BLUE ACTIONというプログラムを立ち上げ、リターナブルびん、びんリユースの仕組みの価値を再発見・再定義する活動を行っている。ライフスタイルクリエーター・モデルの未来リナさんがガラスびんの良さを発信、リターナブルびんラップチャレンジのコンテンツ、東京家政大学板橋キャンパスでは、学生主体の活動として販売〜空きびん回収〜再販売してCO2排出削減の見える化をする取り組みを実施した。

    岡山大学では、授業にて2年連続で今回のシンポジウムの資料を用いて、授業の理解度や意識の変化がガラスびんの選択にどうつながっていくかという実験を行った。

    1回目の2023年度は、「持続可能性への意識とか」「容器を使うときの材質や特性を考慮しますか」の問いに授業前後でポイントは上がるが、同じ飲料が同一価格で販売される場合、どの容器を選びますかという問いでは圧倒的にペットボトルが多かった。

    2回目の2024年度は、2023年度と同一の問いに対して授業前後のポイントアップのところもほぼ変化は見られなかったが、資料のブラッシュアップ、リターナブルびんでの試飲などの工夫を行ったことで同じ飲料が同一価格で販売される場合の問いでは、ガラスびんを選ぶ割合は少し増加した。

    牛乳びんが廃止されるという話題があるが、意識、意思を持ってしっかり訴求していけば、リユースに特性に優れたガラスびんを選んでもらえるチャンスはまだまだ広がることがわかり、これからもしっかりと訴えていきたい。
  • 3R+Renewableについて

    ガラス原料は、天然の鉱物を中心に使用しているが、最近は原料のRenewable(再生可能)化が始まり、珪砂の代替としてお米のもみ殻の使用(日本山村硝子)、石灰の代替として鶏卵の卵殻の使用(石塚硝子)の2つの事例がある。市場流通するレベルに達するのはまだこれからとなるが、廃棄となるもみ殻、卵殻をガラスびん原料に利用することで、枯渇資源である天然原料(改行不要)を節約でき、バイオマス廃棄物も削減、ガラスびんはリユースとリサイクルを行うのでごみにならない。ガラスびんは3R+Renewableで高度なサーキュラーエコノミーに貢献できることが期待される。
事例紹介2会場

閉会の挨拶

田中 希幸
(びんリユース推進全国協議会共同代表、ガラスびん3R促進協議会 理事・事務局長)

田中氏

  • 斗々屋様の事例は素晴らしい。通常のスーパーマーケットでは商品は同じ量で販売され、購入する消費者は量の選択ができない。売る側は合理的であるが、消費者からすると、決して合理的ではないと思う。量り売りをすることで食品ロスが発生しにくくなる。さらにシングルユースの容器包装を使わないことで容器包装のごみがなくなり、ごみがなくなると収集するトラックからのCO2が減り環境負荷が減ることにもなる。
  • カクヤス様の事例は、元々持っていた機能を再認識されたことが素晴らしい。サービスではなく、ビジネスとして行うことを社員に自己認識をしてもらうことが必要であり、大変必要で難しい作業であったと思う。
  • 日本ガラスびん協会の事例は、ガラスびんが捨てない文化につながることを、ガラスびんの機能なども含めた解説と認識した。ガラスびんについては、ペットボトルと比べて重いなどネガティブはことを聞くが、ペットボトルとガラスびんが同じ機能を持っていると誤認していると思う。基本的な機能が違うので、正当な評価とは言えないと思う。
  • 日本の消費者の多数は、環境負荷を考慮しないで利便性を最優先している。環境指標である「エコロジカル・フットプリント」によると地球2.8個分(世界全体では1.7個分)で生活している。3Rは廃棄物がある前提の政策だが、ガラスびんは3Rをすればサーキュラーエコノミーになり廃棄物が出ない。
  • 今国会に提出される法律改正案により、日本でもカーボンプライシングが導入される。CO2排出量管理は、Scope1〜3でバリューチェーン全体を示しているが、廃棄物の管理も同様にバリューチェーン全体で行うのが望ましい。
  • 資源のない国で、国際競争力も落ちてきている日本で、きちんと資源を国内循環させていくことは、さらに重要度が高まってきていると思う。