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びんリユース推進全国協議会 第9回総会 開催

開催日時 2019年5月15日(水)16:00〜17:00
開催場所 日本ガラス工業センター会議室 (東京都新宿区百人町3-21-16)


 びんリユース推進全国協議会は、5月15日(水)に第9回総会を開催しました。

 安井代表を議長に選任し、「2018年度活動報告(案)」「2018年度収支報告(案)」「2019年度活動計画(案)」「2019年度予算(案)」についての審議が行われ、すべての議案が承認されました。




第9回総会 会場
第9回総会 会場


○開会ご挨拶

安井代表

安井 至 代表
(東京大学 名誉教授、一般財団法人持続性推進機構 理事長)


 本日はご出席いただきまして誠にありがとうございます。第9回総会に際しまして、ひとことご挨拶申しあげます。

 個人的な感想ですが、2015年のパリ協定が発行された時に日本はほとんど反応しなかった、それがやっといろいろと日本でも広がってきたように思います。また、昨年のカメの鼻にストローが刺さっているというあの事件以来、やはり海洋生態系の話や日常生活との関係など、いろいろと世の中が動き出したかなという印象をもっている次第でございます。

 びんリユースは、ある意味で非常に古典的なものですが、人類がしてきたことを考えますと必ずしも年がら年中進化してきたとは言い切れません。日本の場合ですと、「利便性の向上にはつながってきたけれど、これが果たして進化だったのか」というのも、そろそろ問題になりかかっているというような見解を個人的には持っています。

 最終的には、SDGsに示されているように海洋生態系、陸上生態系ならびに水の保全、あるいは気候変動の保全といった4つぐらいの大きなターゲットに向かって、これまで以上の配慮をしないと、ここはもたないのではないかというのが共通理解だと最近は思っている次第です。

 振り返ってびんリユースですが、未だにおそらく今日現在もどちらかというと衰退に向かっているような気がします。毎回個人的な意見として申し上げていますが、衰退させていいものと、させてしまってはまずいものがあって、たぶん、びんリユースは後者に入るのではないでしょうか。衰退させてしまうと、またゼロから作らなければならない。これは不可能だからゼロにならないようになんとかキープしなければいけない、と個人的には思っておりまして、たぶん闘いはまだ長く続くと思いますが、よろしくお願いいたします。


○2018年度活動報告

 びんリユースの取り組みも第8期、第二ステップ(2016〜2019年)を迎え、地域に根差した活動に取り組むことをめざし、関係主体の連携強化が求められる中、全国協議会としての役割を担いました。

 2018年度は、「進化したリユースシステム構築」を目標に、新たなびんリユースの再構築と普及・拡大を目指す「びんリユース推進全国協議会」の取り組みが8年目に入り、以下の取り組みを行いました。


(1)びんリユース推進を課題化し、その解決に向けた取り組みの実施

  1. びんリユースの現状・課題を具体化し、共有化し前進させることを課題としてきたが、新たな議論ができなかった。
  2. SDGsについては、目標 12「つくる責任、つかう責任」に焦点を当てた情報収集を中心に行った。

(2)びんリユースのテーマ別要件整理の具体化

  1. リユースびんラベルの改善・開発は、全びん連と連携して進めることができた。
  2. びんリユースの品質管理や洗びん機の維持管理は全びん連のHACCP構築の取り組みへの協力に努めた。
  3. リユースびんの規格統一の検討は、ステークホルダー会議の議論を踏まえることとして次年度での継続課題とした。
  4. 効率的P箱配置と改善策の検討は、P箱レンタル協と全びん連が共同で進めた。
  5. リユースびんステークホルダー会議は環境省の請負事業として開催した。

(3)びんリユース推進地域協議会への支援協力

  1. 地域交流会は、2019年度に関西地域で開催することとし、調整している。
  2. びんリユースシンポジウムに変えて、びんリユースステークホルダー会議を開催した。

(4)びんリユース将来ビジョンの検討

  1. びんリユースの将来ビジョン策定は二役・事務局で開催を模索し、検討チームの編成まで進めたが、ステークホルダー会議のワークショップ内容を踏まえて将来ビジョンを検討することになった。
  2. SDGsに関する情報を収集し、運営委員会で提供した。

(5)びんリユースの情報発信

  1. 若年層や消費者に向けたびんリユースの啓発活動はできなかったが、小学生の教科書にリユースを知らせる記事の記載に協力した。
  2. “Tokyo2020”との連携を模索したが、進展はなかった。
  3. びんリユースの情報提供ツールとして当協議会の紹介パンフレットを作成した。

◎ 協議会運営委員会について

隔月年6回の開催を予定し、以下のように開催した。
第1回 2018年7月13日(木)、第2回 9月20日(水)、第3回 11月30日(木)
第4回 2019年1月31日(水)、第5回 3月20日(水)、第6回 4月16日(火)


○2019年度活動計画

 設立から9年目に入る2019年度(第9期)は、第二ステップの最終年度に当たり、これまで継続検討され、蓄積してきた取り組みや課題を整理し、次のステップに向けた準備のための年度とし、以下の活動を計画します。


(1)びんリユースの推進を課題化し、その解決に向けた取り組みの実施

  1. びんリユースの現状・課題を具体化し、通年で議論が可能になるようにする。
  2. びんリユースの将来ビジョンは昨年度のステークホルダー会議を参考にし、検討会を開催するとともに運営委員会においても意見交換をしていく。
  3. SDGsについては、引き続き目標12を中心とした情報収集と運営委員会への提供を行う。

(2)びんリユースのテーマ別要件整備の具体化

  1. ラベルの改善・開発に取り組む(日本酒造組合中央会との共同)。
  2. 洗びん事業者のHACCPの取り組みや品質管理マニュアル作成に協力する(全国びん商との共同)。
  3. リユースびんの規格化検討を継続する(日本酒組合中央会・全国びん商連合会・日本P箱レンタル協議会との共同)。
  4. 効率的P箱配置と改善策の検討を行う(日本P箱レンタル協議会との共同)。
  5. リユースびんに関するステークホルダー会議の開催を模索する(日本酒造組合中央会との共同)。

(3)びんリユース推進地域協議会への支援協力

  1. びんリユース地域協議会交流会(第3回)を開催する。
  2. 関西地域のびんリユース協議会発足に向けて支援・協力する。

(4)びんリユースの情報発信

  1. 若年層へのびんリユースの啓蒙を模索する。
  2. 当協議会紹介パンフレットを活用して、びんリユース関連事業者との支援・連携の在り方を模索し、SDGsによる連携を模索する。

[活動報告に関する意見交換]

吉川 康彦 副代表 (全国びん商連合会 会長)


最近は、外資系のホテルチェーンがペットボトルをやめようとする動きもあるようです。それは、いわゆるルーム冷蔵庫のミネラルウォーターですが、それを「びんに変えようと考えている」という話があることを聞いています。

やはりSDGsとか企業コンプライアンスの上で、ペットボトルというかプラスチック全体に対しての風向きが、かなり厳しくなっている状況かと思います。ホテルは事業系ですので、リユース容器が一番適しているのではないかと私は思っております。その中で、この協議会のような企業体ではない組織が、たとえばホテルに対して提案するような話になることも近いように思いますので、その折はご報告させていただきます。


○来賓ご挨拶

 来賓の環境省 畠中氏および農林水産省 菅井氏よりご挨拶をいただきました。



環境省 畠中氏

畠中 太陽 氏
(環境省 環境再生・資源循環局 リサイクル推進室 室長補佐)


 本日はお招きいただきまして誠にありがとうございました。

 全く個人的な感想になってしまうのですが、私が子どもの頃、鹿児島県出身なので周りが焼酎などのお酒を飲む環境が多いということもあってか、びんのリユースが普通に身近にありました。びんを「〇〇商店」というようなお店にも持っていくと専用の箱があって、そこに入れると商店の人からお金をもらえて、それを貯めてチョコを買うとか、アイスクリームを買うといったことが普通にありました。

 今自分の住んでいる近所を調べて見ると、あまり回収拠点みたいなものがないことがわかりましたが、私の子どもの頃の体験というのは、循環型社会にとっては環境教育というところの原体験的なものだったと思います。子どもが参画してびんを再利用させることによって、お金が手に入るという体験をする。その当時は循環だとかリユースだとかはわかりませんが、あとになっていわゆる循環型社会という考え方を知って、あのときの体験が、そうだったのだと学ぶ上では、かなり重要な体験だなと、今回改めて考えました。

 環境省においても、安井代表のお話にもあったとおり、プラスチックの問題を重要な問題として取り組んでおりまして、プラスチック資源循環戦略を、今年の6月のG20までに策定すべくがんばっているところでございます。その中でも、たとえばバイオマスプラスチックとか生分解性プラスチックについては、使用後の静脈システム管理と一体となった導入ということが課題でもあります。びんリユースは、かなり先行をいっている事例といいますか、回収のシステムがあり、また先程のホテルの話のように個別の回収のシステムも作っていかなければいけないというのはありますが、参考にしつつ、なくしてはいけない基盤なのだと、重要性を再確認させていただきました。

 本日は、本当にありがとうございました。


農林水産省 菅井氏

菅井 剛 氏
(農林水産省 食料産業部 バイオマス環境資源課 食品産業環境対策室
課長補佐)


 本日はお招きいただきまして、ありがとうございました。いろいろお伺いして大変勉強になりました。

 G20の関係閣僚会合が先週5月11日から新潟でスタートし、私も会場に行っておりました。会場では多数の団体から出展がありましたが、その中でJETROさんの一升びん入り日本酒の展示について、外国の方が関心を持ってご覧になっていらっしゃいました。本日のお話にもありましたが、ガラスびんは環境負荷が低いということで、非常に優良でございます。また、先ほど外資系ホテルにおいて、ペットボトル入りのミネラルウォーターからガラスびんに替わってきているとの話もございましたが、環境に対する関心は高くなって来ていると感じております。こうした流れを受け、皆様のお取り組みにつきましても益々発展させていただければと思います。農林水産省としましても、皆様のお手伝いができればと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。


○閉会ご挨拶

田中副代表

田中 希幸 副代表
(ガラスびん3R促進協議会 理事・事務局長)


 みなさまのご協力をもちまして、全議案ともご承認いただきまして誠にありがとうございます。

来賓のお二方ならびに安井代表のご挨拶にもありましたように、G20では日本が主導的な立場で議論を推進していくといわれています。また、先日のG20の農業水産関係の閣僚会議でもご紹介いただきましたように、日本酒に対しての関心が示されているということです。中身に関心を示されているのだと思いますが、日本酒が主に一升びんというリターナブルびんで流通をしているというところにも、海外の方が関心を持っていただけるとありがたいと思います。

 全世界のお酒を熟知しているわけではありませんが、いわゆるナショナルリカーがリターナブル容器で流通しているというのは、ドイツのビールびんなどがあるかもしれませんが、極めて稀有な例ではないかと思います。現在、日本酒はガラスびんですが、遡れば樽を利用していたなど、リターナブル容器で流通していた歴史を持っているお酒だということを海外の方にもご理解いただけるとありがたいです。

 釈迦に説法で恐縮ですが、ガラスびんは、機能的にいっても中身の香味など吸着しませんし、洗えば何回も使え、まさしくリユースの容器として非常にすぐれた点をもっています。さらにリユースされない、もしくはリユースの役目をおえたものは、再度水平リサイクルに回ります。また、プラスチックで問題になっておりますように海外に依存することなく、国内でリサイクルがほぼ完結している状況でございます。ガラスびんに再び脚光が浴びるような時代が来れば、と思いますし、現在いろんな容器包装等の素材がございますけれども、唯一リデュース・リユース・リサイクルの3Rにすべて適応しているのはガラスびんだけですので、ぜひともガラスびんの有用性ならびに環境適性といったものをご理解いただきたいと思います。

 とは言え、たぶん国民の皆様のライフスタイルもしくは価値観といったものの変革がないと、実際のマーケットで大きくとりあげられることは少ないのかもしれません。将来の子供たちのために、SDGsではありませんが地球をきちんと残していくという観点からも、ライフスタイルの変化とともにびんリユース商品をご愛顧いただけるようになることを、切実に祈念しております。

 今後ともぜひともご協力のほど、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。