第2回 びんリユース推進地域協議会交流会 開催
日 時 | 2017年12月12日(火) 13:30〜16:45 |
場 所 | 愛知県産業労働センター(ウインクあいち) 1006会議室 |
主 催 | びんリユース推進全国協議会 |
共 催 | 東海地域びんリユース推進協議会 環境省 |
びんリユース推進全国協議会は、全国各地域でのびんリユース推進の進化と挑戦に向けて、「第2回びんリユース推進地域協議会交流会」を名古屋で開催しました。
名古屋市環境局からの基調報告や各地域協議会からの報告、安井代表の話題提供を踏まえ、出席者全員によるワークショップでの意見交換と総合討論をおこない、今後の取り組み課題とポイントを共有しました。
交流会 会場風景
開催内容
- (1)開会挨拶
- びんリユース推進全国協議会 代表 安井 至
- (2)共催挨拶
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東海地域びんリユース推進協議会 座長兼事務局長 安田 一機氏
環境省 環境再生・資源循環局 総務課リサイクル推進室 丸山 祐太郎氏
- (3)基調報告
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「名古屋市のごみ減量施策について」
名古屋市 環境局 ごみ減量部 減量推進室 主査 三輪 琢也氏
- (4)地域協議会報告
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1. 秋田びんリユース協議会 事務局長 辻 貴雄氏
2. 関東甲信越びんリユース推進協議会 事務局長 宮永 眞彦氏
3. 東海地域びんリユース推進協議会 座長 兼 事務局長 安田 一機氏
4. 大阪びんリユース推進協議会 代表 福井 善明氏
- (5)ワークショップ
- (6)総合討論
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コーディネーター: 名古屋市立大学 非常勤講師 松野 正太郎氏
(東海地域びんリユース推進協議会 前座長)
- (7)閉会挨拶
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びんリユース推進全国協議会 副代表 幸 智道
(1)開会挨拶
安井 至
(びんリユース推進全国協議会 代表)
- 先般、「日経エコロジー」という雑誌がSDGs(※)について取り上げており、本雑誌においてSDGsは取り組む価値があるものとして紹介されている。
- ※ SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載される2016年から2030年までの国際目標(ゴール)
- びんリユースは、SDGsに照らし合わせた上で社会に貢献していることを発信する必要があり、また2050年をターゲットとし、より具体的な取組を考えていくべきである。
(2)共催挨拶
安田 一機氏
(東海地域びんリユース推進協議会 座長 兼 事務局長)
- 名古屋の地で第2回びんリユース推進地域協議会交流会を開催できることを嬉しく思う。
- 各地域のびんリユースの取り組みを推進していくため、情報を共有するとともに、びんリユースの課題点・問題点についても意見交換していきたい。
丸山 祐太郎氏
(環境省 環境再生・資源循環局 総務課リサイクル推進室)
- びんリユース推進全国協議会、びんリユース推進地域協議会においては、日頃から廃棄物行政にご理解とご協力を賜り、感謝する。
- びんリユースの推進においては、循環の各段階において主体間の連携が必要であり、連携を図っていくことで、地域のびんリユースが推進することを期待している。
- 環境省としては、リユースを第一に、びんリユース推進全国協議会との連携、調査研究をこれからも行っていきたいと考えている。
(3)基調報告 「名古屋市のごみ減量施策について」
三輪 琢也氏
(名古屋市 環境局 ごみ減量部 減量推進室 主査)
名古屋市のごみ処理量は平成に入り右肩上がりに増え続け、愛岐最終処分場が満杯になる見通しの中で、新たな藤前干潟の埋立処分場の建設を断念すると共に、焼却工場の処理能力の限界から、平成11年(1999年)2月に「ごみ非常事態宣言」が発表された。さまざまなごみ減量対策を実施し、その後の成果として平成28年(2016年)までに、ごみ総排出量を約40%減、資源分別量は2倍以上、埋立処分量は約80%減を実現した。
今後の取り組みとしては、平成28年3月策定の第5次一般廃棄物処理基本計画の中に、「リユースびん循環の仕組みづくり」の支援を位置づけている。
(4)地域協議会報告
1. 秋田びんリユース協議会
辻 貴雄氏
(秋田びんリユース協議会 事務局長)
秋田びんリユース協議会では、びんに係るさまざまな主体の連携・協働を促進し、720mlびんのリユースシステム構築を目指している。
720ml茶びんでも約50〜60種類の容器が存在する中で、重量による自動選別システムや画像処理によるびんメーカーの選別システムなどの仕分けシステム開発に挑戦し、自治体との連携強化の中で実績を積み重ねると共に、東北六県の取り組みとして、R720mlびんの普及活動の支援やそれ以外のリユースびんのさらなる再利用化に努めているとの報告があった。
2. 関東甲信越びんリユース推進協議会
宮永 眞彦氏
(関東甲信越びんリユース推進協議会 事務局長)
「関東連絡協議会」が母体となって設立された「関東甲信越びんリユース推進協議会」における、2013年度からの山梨県ワインびんリユース推進の経過報告がおこなわれた。
ワイナリー(メーカー)、卸事業者、小売酒販店事業者、県内旅館・ホテル事業者、びん商・回収事業者、洗びん事業者、山梨県、県内自治体、消費者の協力体制構築の重要性が報告された。
3. 東海地域びんリユース推進協議会
安田 一機氏
(東海地域びんリユース推進協議会 座長 兼 事務局長)
平成26年度(2014年)に東海地域びんリユース推進協議会を設立し、環境(廃棄物・CO2削減)の観点からびんリユースモデル検討、平成27年度(2015年)には環境×経済(地産地消)の観点から検討・実施、平成28年度(2016年)はさらに環境×経済×社会(雇用創出)の観点から「名古屋の地酒リユースびん【めぐる】」をびんリユースビジネスモデルとして展開したことが報告された。
これまで(4年間)で出来たこと、出来なかったことを総括の上、リユースのメリット、情報発信方法の明確化を課題に上げた。
4. 大阪びんリユース推進協議会
福井 善明氏
(大阪びんリユース推進協議会 代表)
2014年2月に発足した大阪びんリユース推進協議会が取り組んできたリユースびん入り飲料「茶々」の開発、リユースシステムの構築、行政・市民との連携、普及啓発などが報告された。
行政・環境団体との連携による「天神祭ごみゼロ大作戦2017」による成果も報告され、大阪びんリユース推進協議会のさらなるびんリユース推進に向けた今後の課題が明らかにされた。
(5)ワークショップ
○ 話題提供(安井代表より)
- SDGsの第12のゴールは「持続可能な生産消費形態を確保する」であり、12.5では「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」と明記されている。
- びんリユースはSDGsの第12のゴールに関連する取り組みであり、これを踏まえて議論する必要があろう。
○ ワークショップ
- 参加者が4つのグループ(A、B、C、D)に分かれ、3つのテーマ(連携の在り方、情報発信の方法、今後の課題)について議論した。
○ ワークショップの報告
【Aグループ】
- SDGsを踏まえて、びんリユース推進の方針を作っていくことがまず私たちのゴールではないかと考える。
- 1.8リットルびんや中容量びんについては、地域の特性を踏まえながら推進していく必要があり、また、最も連携すべき相手先は、自治体であるとの議論になった。
- 情報発信の方法については、年齢層別に分けて考えるべきであり、国内に囚われることなく、YouTube(動画配信サイト)等を使って、世界に発信することが重要であろう。
- 今後の課題について、連携先として想定する自治体においては、リユースに積極的な自治体と積極的ではない自治体があると思われ、この場合キーマンを巻き込んで連携構築を目指すべき。
- また、容器包装リサイクル法をはじめ、リユースびんに関係する法律を関係者間で学び、びんリユース業界自体の価値を高めていくべきである。
【Bグループ】
- 今後の課題としては、各地域に多様な種類のびんが存在することで、効率的にリユースびんの回収ができていない点、リユースびんの特性に関する一般消費者の理解が深まっていない点が挙げられた。
- 安井代表の話のようにSDGsの観点を踏まえ、リユースびんが価格を超えた価値あるものとしてアピールすべきであろう。
- 連携の在り方に関しては、市民、事業者、行政においてそれぞれに強さと弱さがあり、弱さを補うことができる相手であるとの認識のもと、連携していくべきである。
- 情報発信の方法においては、あらゆるメディアを使って情報発信をしていく必要があると考える。
【Cグループ】
- 連携の在り方について、キーワードは異業種連携であり、異業種間の交流を促進することで、効率的なびんリユースが推進できるのではないかと考えた。
- 情報発信について、情報発信の相手先は、一般消費者向け、事業者向けと分けて考えるべきものであり、一般消費者に向けてはSNS等を用いたり、タレントの起用が考えられ、事業者に向けてはリユースびんを使うことへのインセンティブを訴える必要があろう。
【Dグループ】
- 連携の在り方について、自治体との連携を図るべきであるが、地域ごとに特性が異なる点が課題になると思われる。
- 京都のように環境意識の高い地域は、びんリユース推進に自治体を巻き込みやすいが、環境意識の低い地域は難しい。
- 地域ごとに特性がある以上、びんリユースは国レベルで推進していく必要があり、そのためには世論の変化を起こす必要があるのではないかと考える。
- 国が動くためにも愛知万博や京都議定書のような国際的な環境イベントに合わせてびんリユース推進の意義を訴え、いかに世論の変化を起こせるかが課題であろう。
- 情報発信の方法については、例えばテレビCM(例:公共公告機構)が意見として挙げられ、びんリユースは、環境に良いことを広く社会に発信することが望ましい。
(6)総合討論
○ 松野 正太郎氏(名古屋市立大学、東海地域びんリユース推進地域協議会 前座長)
- 各グループのワークショップの報告を受けて、東海地域びんリユース推進地域協議会は自治体との連携が強みであり、大阪びんリユース推進協議会は自治体との連携が弱く、秋田びんリユース協議会はキーマンをどう巻き込むかがポイントになると感じた。
- リユースびんは、新びんや他容器と比べ、環境優位性があるのではないかとの議論がこれまであったが、SDGsからみると、リユースびんは経済、環境の両面を持っているのではないかと感じており、リユースびんを使用することで持続可能な社会に貢献するという観点がこれから重要になってくると感じている。
- リユースびんの価値を社会に発信し、意識を高めていく上で、どの年齢層をターゲットにするのか考えていく必要があろう。
- また、一般消費者はもとより、中身事業者の意識も高めていく必要があろう。
- そのためには、異業種交流の促進やどのようにして連携を図っていくかこれから考えていく必要がある。
○ 小笠原 良氏(きょうされん リサイクル洗びんセンター 第1事業部長)
- 以前、ある事業者が自社で製造している缶入り飲料にグリーン電力を使用している報告を聞いた。SDGsの観点で言えば、この事業者が行っているグリーン電力の使用よりもリユースびんを使用する方がより社会に貢献していると言えるのではないかと考えている。
- びんリユース推進の取り組みをSDGsを踏まえて考えていくことで、大きな価値が生まれるのではないかと考えており、びんリユース業界内での議論が必要であろう。
○ 吉川 康彦(びんリユース推進全国協議会 副代表)
- 再生可能エネルギーの発電コストの低下、流通システムの変化もあり、世界は大きく変わるのではないかと感じている。
- 容器についても石油由来の原材料が規制される等大きな変化がこれから起きるかもしれない。
(7)閉会挨拶
幸 智道
(びんリユース推進全国協議会 副代表)
- 本交流会を通じて、びんリユース推進に関する議論はしっかりできたと感じている。
- 安井代表から話題提供のあったSDGsについては、びんリユース推進全国協議会で整理し、共有していきたいと考えている。
- 時代が変わりつつあるのではないかと私自身も感じている。びんリユース推進に向けて最大限の努力をして参りたい。