活動報告
東海地域びんリユース推進シンポジウム
ーこれからのびんリユースの姿を探るー
開催概要
日 時 | 2013年11月28日(木) 13:30〜17:15 |
場 所 | ウインクあいち(愛知産業労働センター) 1103号室 |
主 催 | 中部壜商連合会・東海地域びんリユース推進協議会設立準備会 |
共 催 | 環境省中部地方環境事務所 廃棄物・リサイクル対策課 |
後 援 | 名古屋市 |
シンポジウム 会場
名古屋市にて、東海地域びんリユース推進シンポジウムが開催されました。 本シンポジウムは、平成25年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成事業となっています。
当日は、
(1)独立行政法人製品評価技術基盤機構 理事長 安井至氏の基調講演、
(2)名古屋におけるびんリユースの取組み、
(3)東海地域での調査報告および今後の展望、
(4)先進事例の報告、
(5)「東海地域にけるこれからのびんリユースのあり方」に関するディスカッション、
が行われました。
開催内容紹介
開会のご挨拶
名古屋大学大学院環境学研究科 特任助教
東海地域びんリユース推進協議会設立準備会 座長 松野 正太郎氏
「リユースのびんは大変な状況に置かれていますが、無くならない。無くならないのは必要だから。そのリユースを環境に良いから広めていこう、というのが我々の率直な原点です。「東海地域」と名前を入れたのは、地域ごとのリユースの仕組み、リユースの輪を全国的に広げていくことが良いのではないか、ということの現れです。東海地域におけるリユースの仕組みを考えて、実践していかなければならないと考えております。
本日のシンポジウムの目的は、今後この東海地域の文化に根差したびんのリユースの仕組みをつくっていきたい、ということで皆様からアイデアなり課題なりご苦労なりを忌憚なく出していただき、次年度以降に実践のモデルケースの足掛かりとさせていただきたいと考えております。」
環境省中部地方環境事務所長 池田 善一氏
「環境省では循環型社会を作る中で3Rを推進して参りました。国民の皆さまのご協力により、3Rのうちのリサイクルについてはかなり進んで参りましたが、残りのリデュース、リユースについては、まだ十分とは言えない状にあります。そのような状況を踏まえて、今年の5月に第3次循環型社会形成推進計画を閣議決定し、2Rを更に推進してくことが盛り込まれました。本日のシンポジウムのテーマはまさにこの2Rをテーマとしています。皆様もご承知の通り、わが国には昔から一升瓶やビールびん、給食用の牛乳びんといった文化がありますが、近年は減少の一途を辿っている状況です。こういったびんのリユースにより、ごみの減量のみならず製造原料、あるいは製造エネルギーの節約にもなるであろうというところから環境へのメリットも改めて見直されているところです。
本日のシンポジウムを契機に東海地域でびんリユースの取組が更に促進されることを期待いたしまして、開会の挨拶とさせていただきます。」
基調講演 「びんリユース復活へ 〜超えるべきハードル〜」
独立行政法人製品評価技術基盤機構 理事長 安井 至氏
安井 至氏
今年のリサイクルの最大の出来事、小型家電リサイクル法のお話から始まり、資源価格や気候変動などのグローバルな視点からびんリユースについて講演いただきました。
「びんリユースの超えるべきハードルとは、今のビジネスを守りたいビジネス。これをいかに超えるかが一番重要です。日本のリサイクルのスタンスはいろいろありますが、循環型社会形成推進基本計画が一番のスタンスで平成25年5月31日に閣議決定された中に、第5章の第2節「国内における取組」の「質にも着目した循環型社会形成」の中で
(1)2Rの取組がより進む社会経済システムの構築
(2)使用済製品からの有用金属の回収
(3)水平リサイクル等の高度なリサイクルの推進 とあります。
これらを覚えて、我々は起爆力を持たないとハードルは超えられません。
マイナーなことをやっていると思ってはいけません。国の循環の役割を正面切って国の第一課題を果たしているのが我々だと言っていただきたい。びんのリユースが循環型社会への一丁目一番地なのです。」
<関連資料>
名古屋におけるびんリユースの取組み
名古屋市環境局ごみ減量部減量推進室 主査 吉原 純一氏
NPO法人中部リサイクル運動市民の会 代表理事 永田 秀和氏
<関連資料>
東海地域での調査報告および今後の展望
中部壜商連合会 安田 一機氏
<関連資料>
先進事例報告
@ ワタミにおけるびんリユース推進の取組み
ワタミエコロジー株式会社 循環サービス事業部 三島 瑛莉氏
<関連資料>
A ホッピーにおけるびんリユース推進取組み
ホッピービバレッジ株式会社 代表取締役会長 石渡 光一氏
<関連資料>
B 新宿サイダーの取組み
びん使用ネットワーク 代表 中村 秀次氏
<関連資料>
C リユースびん入り大和茶『と、わ (To WA)』の取組み
World Seed 副代表理事 中島 光氏
<関連資料>
ディスカッション: 東海地域におけるこれからのびんリユースのあり方
これまでの内容を含めて、ファシリテータに松野氏、パネリストに小沢 一郎氏(びんリユース推進全国協議会事務局長)・笠原 尚志氏(株式会社中西代表取締役社長)を迎えて、東海地域におけるこれからのびんリユースのあり方について発表者とディスカッションを行いました。
○ご意見
- 「地域」がびんリユースに取組む際のポイント。中小企業のCSRにリユースびんを 取り込めないか。(笠原氏)
- 社会のニーズに合った進化をしてこなかったから、びんは衰退した。(小沢氏)
- リユースの人と人とを結びつける働きをクローズアップして取組みを進めていきたい。(中村氏)
- リユースびんを使うことで、どういう未来になるのか浮かべることが大切だ。(三島氏)
- 地域限定の特産品、歴史を活かしたリターナブル商品を作るべきである。(石渡氏)
- まず、取組む人間を認めていただき、その熱意に共感いただくことが大切。(中島氏)
- マーケティングを考えて取組んでいかなければならない。(永田氏)
- リユースびんという時間と空間が特殊なものであるゆえに果たせる社会的バリューをしっかり持たす、ということを実行しなければならないと思います。(安井氏)
- 協力者を見つけて情熱をもって実行していきたい。(吉原氏)
最後に
松野 正太郎氏
最後に松野氏からのご挨拶がありました。
「人と時間と空間と社会の課題を解決していくひとつのツールがびんのリユースであり、その設計を地域の文化や流通の体系、生活のスタイルに合わせて考えていくことが必要です。それを地域ごとに結び付け、リユースが網羅していく社会づくり、日本づくりが大事なのでしょう。
今日はその契機、最初の切っ掛けです。今後はリユースと言えば東海と言われるくらいになりたいと我々は思っております。これを機会に皆さまと一緒になって考え、行動していきたいと思っておりますので、ひとつ、よろしくお願いいたします。」