活動報告
地域に根ざしたびんリユースへの挑戦〜東海地域のこれから〜
<東海地域びんリユース推進協議会>
東海地域びんリユース推進協議会 設立
設立総会
東海地域びんリユース推進協議会は愛知・岐阜・三重の東海3県において、びんリユースを推進し、地域の様々な課題の解消に貢献する方策を検討・実践することを目的として、2014年10月14日に設立されました。
<会 長> | 名古屋大学大学院環境学研究科 特任講師 松野正太郎 氏 |
<事務局長> | 株式会社安田商店 代表取締役 安田一機 氏 |
<構 成 員> |
名古屋大学、中部リサイクル運動市民の会、中部壜商連合会、 中身事業者、 料飲店、 卸事業者、販売店、クレートレンタル事業者、 環境省中部地方環境事務所、名古屋市、愛知県 |
協議会の課題
協議会の課題として、以下の4点が挙げられています。
(1) 酒造メーカーにおけるリユースびん利用促進策を図る。
(2) 卸売事業者・料飲店における手間とリスクの軽減策を講じる。
(3) 日本酒等商取引モデルをその他の飲料に適用できないか検証を行う。
(4) 卸売事業者から空びん回収の流れの弱体化にメスを入れる。
設立のきっかけは、会長の松野氏と事務局長の安田氏が、びんリユースの需要が減る危機感を持ち打開策を模索する中での、当協議会の事務局長 小沢一郎氏と株式会社宮永兄弟商会の宮永眞彦氏との出会いにあります。二人のアドバイスで、独立行政法人環境再生保全機構「地球環境基金」の助成金の交付を平成25年度に受け、実働部隊として中部壜商連合会が参加するほか環境省中部地方環境事務所が参画。
リユース推進戦隊ゴビンジャー
2013年に15回の準備会を開催したのち、2014年10月14日に設立されました。
協議会のマスコットキャラクターとして「リユース推進戦隊ゴビンジャー」を作るなど、広報にも力を注いでいます。
現在の取組み
地酒フェアでのポスター
現在、協議会では720mlのRマークびんをはじめとしたリユースびん入り商品を料飲店で使用してもらい、その回収の仕組みの在り方を実証実験により確かめ、拡大することを目指しています。また、リユースびん入りの日本酒「めぐる(※1)」のバックアップと普及にも取組んでいます。リユースびんの普及では、居酒屋チェーンに「地酒フェア」と銘打って、リユースびん入りの日本酒の取り扱いをお願いしたところ、様々な事情から当初想定していた本数を取り扱うことが出来ないという壁に当たりました。
今後は、次のステップとして小規模の地域密着型の居酒屋へ展開していく予定です。また、既存の「めぐる」の販路を含めたびんのリユースの仕組みの把握と情報の一元化を図ることを行い、リユースびんの数の確保に取組みます。また、東海地域での新規リユースびん入り飲料の開発も模索しています。
※1 「めぐる」は、松野氏と中部リサイクル運動市民の会の永田秀和氏の出会いをきっかけに、なごや環境大学リユースプロジェクト「めぐる」有志チームが主体となって活動する"なごや循環の地酒プロジェクト"で2010年に誕生した、リユースびん入りの日本酒。
参考記事: 名古屋を循環するリユースの心 -中部リサイクル運動市民の会-
今後の展開
会長 松野正太郎氏
「環境プラスα」
びんのリユースを「環境問題へのアプローチ」という面だけで推進していくことは難しいと語る松野氏。今後の取組みとして「環境プラスαの“α”をどう組み合わせれば上手くいくのか、重要な検討課題です。日本では地産地消は流行ですし、食の安心安全に対しても非常に関心度が高い。この2つの“α”にびんのリユースの取組みがマッチングできたら。
1年目は環境、2年目は経済(地産地消)、3年目は社会(雇用創出)というテーマを掛け算していき、社会の課題の解決を「リユース」ではかることが可能かどうかを実証します。
「めぐる」はまさに地産地消。お酒以外でも、全国の緑提灯(※2)のように、視野を広げて環境だけでない横の展開をしていかないといけない。」と「環境プラスα」の重要性を語ります。
※ 2 「緑提灯」とは、カロリーベースで日本産食材の使用量が50%を超える飲食店に、「地場産品応援の店」と大書きされた緑色の提灯を掲げることで自給率向上を目指す取組。2005年4月、北海道小樽から始まり、現在では加盟店舗は3000店舗にものぼる。
1977年大阪府東大阪市生まれ。2009年3月名古屋大学大学院環境学研究科博士後期課程修了、環境学博士。リユースびんの研究「地域リユースシステムの構築に向けた環境政策研究」で博士号を取得した研究者として知られる。
現在、名古屋大学大学院環境学研究科特任講師。専門は環境政策、廃棄物・資源循環政策。
「協議会活動の拡大」
愛知県は、2015年度の予算で、愛知県の日本酒(生産量は全国6位)を広める事業を始めます。県も協議会に参画しているので、協働で取組んでいきたいと思っています。また、協議会では今後、自治体の環境部局のみならず、経済、農林部局や酒類等の卸問屋の参画も視野に入れています。
愛知県以外での取組みとしては岐阜県を検討しています。「岐阜の酒蔵さん、飲食店、びん屋さんでというところです。先程言った横の展開で、新商品の候補については山盛酒造さんがすごく理解して下さっています。」と安田氏。また、「あまり知られていませんが、実は愛知県はぶどうの産地なんです。」と松野氏。ぶどうを使った飲料開発や醸造文化も視野に入れた、新商品の開発意欲を見せます。
事務局長 安田一機氏
「協議会の特色」
「協議会は30代40代のメンバーが集まっているので意見が通りやすいです。若い人たちが未来を見据えてびんリユースの推進に取組んでいる、そこが東海地域びんリユース推進協議会の魅力だと僕は思っています。今後も協議会では若い力を中心に、様々な主体の方のご協力の下、東海地域での更なるびんリユース推進に向けて、足で稼いで何事もチャレンジしていきたいです。」と、安田氏です。