びんリユース地域交流会2025 in 北海道
「びんリユースと地産地消がつなぐ、北の大地の未来」
びんリユース推進全国協議会主催「びんリユースと地産地消がつなぐ、北の大地の未来」をテーマに、市民・行政・事業者など関係の皆さんにご参集いただき、地域交流会を開催しました。
| 開催日時 | 2026年4月17日(金) 13:30(開場13:00) 〜 16:50 |
| 会場 | 札幌市男女共同参画センター 大研修室 札幌市北区北8条西3丁目 札幌エルプラザ4階 |
| 主催 | びんリユース推進全国協議会 |
プログラム
| 開会・開会挨拶 | |
| 吉川 康彦 (びんリユース推進全国協議会共同代表、全国びん商連合会副会長) | |
| 基調講演 | |
| 山崎 五良 氏 (男山株式会社 取締役) 「市民から直接回収「みんなのマイボトル」の取り組みについて」 | |
| 事例紹介1 | |
| 佐藤 静 氏 (生活クラブ北海道 理事・サステイナブル委員会担当) 「ペットボトルからリユースびんへ」 |
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| 事例紹介2 | 善積 真吾 氏 (株式会社カマン 代表取締役/CEO) 「「すてる」から「めぐる」暮らしへ 〜リユース容器シェアリングプラットフォーム「Megloo」が繋ぐ地域の未来〜」 |
| 事例紹介3 | 石塚 祐江 氏 (NPO法人 環境り・ふれんず 代表理事) 「北海道におけるリユースびんの可能性と期待」 |
| 質疑応答・意見交換 | |
| 参加者がグループに分かれて意見集約を行い、登壇者と質疑応答・意見交換をしました。 | |
| 閉会挨拶 | |
| 田中 希幸 (びんリユース推進全国協議会共同代表、ガラスびん3R促進協議会 理事・事務局長) |
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開会・主催挨拶
吉川 康彦
(びんリユース推進全国協議会共同代表、全国びん商連合会副会長)

本日のリユースシンポジウムに、大分・兵庫など遠方からも含め、高校生から事業者・行政・NPOまで幅広い皆様にご参加いただき、ありがとうございます。
びんリユース全国協議会は約15年前、環境省の検討会メンバーを中核に設立され、現在も活動を続けております。
現在、中東情勢の緊迫化により日本への原油供給が脅かされており、石油製品の値上がりも生じています。そもそも石油の埋蔵量は50〜55年程度とされており、化石燃料への過度な依存は持続不可能です。一方、政治の場では環境政策より短期的利益を優先する動きもあり、懸念を感じています。
本日は4名の登壇者をお迎えします。「持続可能性」をキーワードに、ともに考えていただければ幸いです。
基調講演
山崎 五良 氏
(男山株式会社 取締役)
「市民から直接回収「みんなのマイボトル」の取り組みについて」

- 男山株式会社について
- みんなのマイボトル制度の背景
- 制度の仕組み
- 回収実績
- 今後の事業でのリユースびんの課題
- おわりに
男山株式会社は北海道旭川市に拠点を置く酒造メーカーです。
旭川市は札幌に次ぐ北海道第2の都市であり、男山は1887年の創業から138年を迎えた、旭川市内で最も歴史ある企業です。日本酒を製造する酒蔵として、全国各地の蔵元と同様に酒造り一筋に取り組んでいます。
この制度を立ち上げた背景には、いくつかの事情がありました。
まず、製びん工場の休止により1.8リットルの一升びんが入手困難となり、各メーカーがびんを奪い合う状況が生じました。一升びんが手に入らないメーカーが720mlびんに切り替えたことで、今度は720mlびんも不足するという連鎖が起きました。次に、リユースへの意識の高まりです。持続可能な社会の実現に向けて、環境に優しい酒造りへの取り組みが求められるようになりました。また、回収事業者の高齢化やびんの多様化により、回収対象となるびんが減少し、思うように回収が進まない状況も続いていました。
そして最も重要な背景として、自社に洗びん機を保有しているという強みがあります。2016年10月に瓶詰め工場を建て替えた際、新びんのみを使用するか洗びん機を導入して回収びんを活用するかという経営判断を迫られました。コスト面では大きな差がないという試算のもと、回収びんに携わる雇用の創出と環境に優しい酒造りという観点から洗びん機の導入を決断しました。この設備をフルに活用するためにマイボトル制度を実施することにしました。
制度の仕組みは単純です。消費者や飲食店がびんを直接持参すると、ポイントを付与します。貯まったポイントはびんを使用した商品(お酒)と交換できるというものです。
通常、消費者が空きびんを処分する方法としては、資源ごみの日に自治体へ出す、酒屋に返す、町内会でまとめて回収するといったルートがありましたが、いずれも縮小傾向にあります。旭川市では毎週水曜日が資源ごみの日ですが、びんや缶が混在した山の中から使えそうな一升びんを手作業で選別するという非効率な作業が行われています。この実態を目の当たりにしたことも、直接回収の仕組みを作ろうと決意した理由の一つです。
回収対象はリユースとして使用できるびんに限定しており、一升びん(茶・緑)と720mlびん(茶・緑)の4種類です。1本につき1ポイントを付与し、36ポイント貯まると720ml商品1本と交換できます。なお、北海道の蔵元のびんは2ポイントを付与するため、18本で720ml商品1本と交換できます。また、ポイントカード2枚分(72ポイント相当)で一升びんと交換する制度も設けており、実際には720ml商品との交換を待たず、ポイントカード2枚まで貯めてから一升びんと交換する方が多いようです。
子どもたちにもこの取り組みを知ってほしいという思いから、ポイントを500円現金と交換するサービスも設けていますが、現時点では利用者はほとんどいない状況です。回収場所は自社工場内に設けており、旭川市民を主な対象としています。メディアに取り上げられた際には市外からの問い合わせも相次ぎましたが、回収を目的とした遠方からの移動はかえって環境負荷になることから、「ついでに持参する場合は受け取る」というスタンスをとっています。
2021年7月のスタートから現在までの回収実績は次のとおりです。2021年度(7月〜3月)は約8,500本、2022年度・2023年度はそれぞれ約15,000本、2024年度は約17,500本、2025年度は約16,000本で、累計7万2,982本に達しています。年々緩やかに増加しており、この取り組みが2024年度にリデュース・リユース・リサイクル推進協議会会長賞を受賞しました。
回収びんの内訳は、一升びん(茶)が60%、一升びん(緑)が12%で一升びんが全体の72%を占め、720mlびん(茶)が18%、720mlびん(緑)が10%で720mlびんが全体の28%となっています。また、従業員も回収の対象としており、専用の回収置き場を設けて自己申告制で管理しています。約50名の社員のうち、年間約1,000本が従業員からの回収分となっており、社内でも積極的に取り組まれています。
720mlびんの回収強化については、Rびんを使用している酒蔵が少ないことが課題です。一升びんは丸正マークで識別できますが、720mlびんは1本ずつ確認が必要なため、回収業者の負担が大きくなります。そのため回収業者は男山の720mlびんのみを回収対象としており、年間1万本にとどまっています。Rびんを使用するメーカーが増えることで、回収量の拡大と環境負荷の低減につながると期待しています。
札幌からの回収ルートの確立も課題です。札幌は大消費地であり多くの空きびんが存在しますが、回収業者の縄張りなどの事情もあり、旭川への回収ルートが確立できていません。札幌からの720mlびんの回収が実現すれば、現在の1万本から2〜3万本へと大幅な増加が見込まれます。
国際食品安全規格(FSSC22000)との両立も重要な課題です。2019年に同規格を取得して以来、回収びんは最大のリスク要因と位置づけられています。タバコの吸い殻や醤油などのアレルゲン残留リスクに対応するため、現在は洗びんを2度行っており、水圧・洗剤濃度・アレルゲン残留についても細かく管理しています。当初の想定以上にコストがかかっているのが実情であり、消費者の皆様にびんの適切な扱いについてご理解いただくことが、回収びんの活用をさらに進める上で重要だと考えています。
男山では回収びんの活用にとどまらず、精米で生じた米ぬかをお菓子の原料に、酒粕を消費者への販売や牛の飼料として活用するなど、酒造りの工程で生じるものを無駄なく使う取り組みを続けています。「環境に優しい酒造り」をテーマに、引き続き持続可能な酒造りを追求していきます。
事例紹介1
佐藤 静 氏
(生活クラブ北海道 理事・サステイナブル委員会担当)
「ペットボトルからリユースびんへ」

- 生活クラブ生活協同組合北海道について
- グリーンシステムとは
- 醤油びんリユースへの取り組み
- 回収率向上への取り組み
- 自主回収認定に向けて
- おわりに
生活クラブ生活協同組合北海道は1982年に設立された生協です。安心・安全を最優先に、消費者の視点に立って生産者と話し合いながら開発したオリジナルの食材を「消費材」と呼び、予約共同購入という形で組合員に届けています。利潤の追求ではなく、暮らしに必要なものを生産者とともに作ることを基本姿勢としています。
食材はできるだけ国産にこだわり、添加物や遺伝子組み換え作物を極力排除しています。日本で認められている添加物は833品目ありますが、生活クラブが許容しているのはそのうち93品目のみです。
グリーンシステムとは、Garbage Reduction for Ecology and Earth's Necessityの頭文字をとった「地球生態系のためのごみ減量」システムです。食品の中身だけでなく、日常生活から生まれる容器包装ごみの問題にも積極的に取り組んでいます。
この活動は30年以上にわたって継続されており、生活クラブ連合会(北海道から関西まで33の単位生協で構成)では1994年から導入、北海道ではその1年前から先行して取り組んできました。びんの規格を数種類に統一し、回収・再使用するこの仕組みは、2018年に環境省グッドライフアワードで環境大臣賞を受賞しています。
また、超軽量びんの導入により、500mlのびんは従来のびんと比べて重量を40%削減、CO2排出量も25%削減を実現しています。調味料やジュースなど中身が異なる商品でも、できるだけびんの大きさを揃えることで、効率的なリユースを可能にしています。
きっかけと福山醸造との出会い
2021年7月、それまで提携していた醤油の生産者から設備故障により生産継続が困難になったとの報告を受けたことが、この取り組みの発端です。後継として、北海道産の大豆や小麦を原料から仕込む福山醸造株式会社(明治24年創業、本社・札幌市)を見出しましたが、当時の容器はPET素材でした。
生活クラブの自主基準ではPET容器での供給は原則禁止としているため、少なくともワンウェイびんへの充填を目指して2者間での協議を開始しました。びん充填には洗浄設備とラベラーのアタッチメント変更という設備投資が必要でしたが、コストをかけてでもリユースの実現を目指すことを確認しました。
PET容器からのスタート
醤油の欠品を出さないため、2022年2月より暫定的にPET容器での供給を開始しました。自主基準の一時的な緩和を理事会で承認し、コスト抑制のためラベルも簡素化しました。この間も、今後のびんへの切り替えと醸造アルコールの除去を目指すことを生産者と共に確認し、福山醸造との継続的な関係を築く意志を明確に伝え続けました。
4者による回収ルートの構築
2022年夏から秋頃のびん充填実現を目指し、福山醸造・日本清酒・ひがしリサイクルサービス・生活クラブの4者で回収フローの構築を協議しました。2022年5月には洗びんテストを実施し良好な結果を得て、同年9月には醸造アルコールの除去も実現しました。
びんの流れは次のとおりです。福山醸造で醤油などをびんに充填し、センターを通じて組合員へ届けます。使用済みの空きびんは配達員が回収し、センターに集約されたものをひがしリサイクルサービスが引き取ります。その後、日本清酒で洗浄され、再び福山醸造へと戻る循環の仕組みです。
リユースびんの本格展開
2022年11月に「醤油」「焼き肉のたれ」でリユースびんを開始。翌12月に「ポン酢醤油」、2023年1月に「めんつゆ」、11月には「白だし」と取り扱い品目を順次拡大しました。
リユースの継続には組合員の積極的な参加が不可欠です。サステイナブル委員会を中心に、びんの提出手順を示した動画を作成してホームページに公開したほか、シール貼りキャンペーンや月ごとの回収率の把握、チラシ・SNSを活用した呼びかけなど、さまざまな活動を展開しています。
なお、自治体がびんをリサイクルする場合、粉砕処理のために1本あたり12円の税金がかかりますが、生活クラブのリユースではその費用は発生しません。また、リユースびんは1本あたり35〜50回繰り返し使用できます。
容器包装リサイクル法に基づき、自主回収容器として国に認定されると、再商品化にかかるリサイクル費用が免除されます。認定の維持には回収率80%以上の継続が必要で、将来的には90%が求められます。
500mlリユースびんの2026年の自主回収認定取得を目標に掲げ、2023年度に78.9%だった回収率は、2024年度に81.7%、直近では88.0%まで上昇しました。これは組合員一人ひとりの継続的な活動の積み重ねによるものです。回収率は情報発信をやめると低下するおそれがあるため、今後も広報活動を継続していきます。
福山醸造・日本清酒・ひがしリサイクルサービス・生活クラブの4者が連携して作り上げたこの仕組みを継続・発展させながら、まずは地域から北海道全域へとリユースの輪を広げていくことを目指しています。
事例紹介2
善積 真吾 氏
(株式会社カマン 代表取締役/CEO)
「「すてる」から「めぐる」暮らしへ
〜リユース容器シェアリングプラットフォーム「Megloo」が繋ぐ地域の未来〜」

- 起業の背景
- 日本のプラごみ問題
- Meglooの仕組み
- Meglooの仕組み
- 北海道での展開
- 海外の動向と日本の可能性
- 目指す姿
私には現在9歳の息子がいます。彼が3歳頃から一緒に散歩をすると、道端に落ちているごみを拾うようになりました。その姿を頼もしく思う一方で、こんな世界を次の世代に残していいのだろうかという思いが募るようになりました。ちょうどその頃、テイクアウトやデリバリーの利用が急増していた時期でもあり、当時勤めていた企業のごみ箱に弁当容器のごみが山積みになっている光景を毎日目にしていました。これをなんとかできないかという思いが、起業のきっかけとなりました。
日本の年間廃プラスチック総排出量は約820万トンにのぼり、その約半分にあたる400万トンが容器包装プラスチックごみです。家庭ごみの容積比では容器包装が66%を占め、そのうち約16%がカップ・弁当容器です。これらは石油由来の素材でできており、製造・廃棄の過程でCO2を大量に排出します。
また、焼却炉の老朽化も深刻な課題です。私が拠点を置く鎌倉市でも、自市の焼却炉が老朽化し、隣市に処理を委託しているため、年間3万トンのごみを1万トンまで削減しなければならないという切実な状況にあります。さらに、ごくわずかでも環境中に流出したプラスチックごみが海洋汚染につながり、2050年には海中のプラスチックごみの量が魚を上回るとも言われています。
こうした問題意識から、約4年半前に鎌倉で「使い捨てから循環へ」を実現する仕組みとして「Megloo」をスタートしました。町中のカフェやレストランにリユース容器を配置し、テイクアウト時にその容器で提供する、どこでも借りてどこでも返せるシェアリングプラットフォームです。
利用者はQRコードを読み込んで容器を借り、食べ終わった後は提携店舗や市役所、商業施設などに設置された返却スポットに返します。回収は就労継続支援B型事業所と連携して行い、回収した容器を洗浄・再配布する一連の流れを地域内で完結させています。現在の地域内での返却率は99.8%に達しています。
容器は耐久性が高く洗いやすい素材で独自開発したもので、500回以上の繰り返し使用が可能です。また、紙容器やバガス容器と比較して、洗浄・輸送を含むライフサイクル全体でCO2を約9割削減できることが自社データで示されています。コストは1個30円程度からで、使い捨ての紙容器やバガス容器と同水準を実現しています。
洗浄は輸送によるCO2排出を抑えるため、使用する地域内で行うことを原則としています。回収・洗浄・再配布を一貫して地域で担うことで、環境負荷を最小限に抑えた循環の仕組みを構築しています。
Jリーグでは今年から「Sport Positive League」が始まり、サステナビリティの取り組みがスコアとして可視化されるようになりました。12項目のうち使い捨てプラ削減とごみ削減管理の2項目が含まれており、Meglooの導入がスコアアップにつながることから、現在5チームで採用されています。
湘南ベルマーレでの事例では、約1万3,000人の来場者に対し35店舗すべてでリユース容器を提供しました。1万個の容器を用意し、初回の返却率は約90%、2回目には約95%まで向上しました。ごみの排出量も通常約600kgのところ、この試合では約500kgに削減され、リユース容器の効果が数字として明確に表れました。
また、大規模展開に対応するためRFIDタグを導入し、返却ボックスに容器を入れると選手からの感謝動画やごみ・CO2削減量が表示されるインタラクティブな仕組みを開発しました。ごみ箱に誤って捨てられた容器を検知する機能も備えており、返却率の向上とオペレーションの効率化を同時に実現しています。
北海道では、約2年半前から栗山町内の5店舗でMeglooを導入したことを皮切りに、苫小牧市内のカフェ3店舗、デリバリーサービス企業との連携による札幌でのイベント展開など、各地で取り組みが広がっています。 ニセコ地区では、海外の富裕層を中心に使い捨て容器の多さへのクレームが相次いでいたことでカフェでの導入が検討されています。また、札幌で開催された北海道初の国際スタートアップカンファレンス「Hokkaido Innovation Week」では、欧州標準に倣いリユース容器での提供を実現しました。 ヨーロッパではリユースの義務化が急速に進んでいます。ドイツでは2023年からテイクアウト時にリユースの選択肢を提供することが法律で義務付けられ、プロサッカーリーグのブンデスリーガでは、7万人規模のスタジアムでもリユースカップが全面導入されています。EUでは2025年に「包装及び包装廃棄物規則(PPWR)」が発効し、2030年までに容器の10%をリユースにすることが義務付けられました。国際プラスチック条約の交渉も続いており、合意されれば日本国内でもさらに普及が加速すると見込まれます。 一方で、日本には大きな強みがあります。アジアのリユースイベントで各国が返却率50〜60%台に苦労する中、Meglooは大型イベントでも90%以上を達成しており、「It's Japanese」と称されるほど世界から注目されています。欧州では道端にごみが散乱していることも珍しくない一方、日本ではおおむね清潔に保たれています。丁寧に使って丁寧に返すという国民のモラルは、サーキュラーエコノミーを実現する上で世界最高水準の素地だと考えています。 2030年にEUと同水準のリユース率10%を達成し、その先は日本が世界をけん引するサーキュラーエコノミーの先進国となることを目指しています。 そのために重要なのが地域連携です。鎌倉では慶應義塾大学・鎌倉市・面白法人カヤック・弊社などで「鎌倉サーキュラーアワード」を立ち上げ、循環型社会の推進を進めています。また、3週間で約300万人が訪れる東京・中目黒の桜祭りでは、当社のリユース容器の活用に加え、回収したお箸をアップサイクルして家具にする事業者など、複数の事業者が連携してごみを減らす取り組みを実施しました。 こうした地域コミュニティでの連携は、鎌倉や中目黒に限らず、札幌でも北海道全体でも展開できるものです。1社だけでは成し得ない循環型社会も、仲間が集まれば実現できます。 「地球環境最大の脅威は、誰かが解決してくれると思っていること」という言葉があります。実際に行動している人はまだ少数です。ぜひ一緒に、循環型社会を作る仲間になっていただければと思います。
事例紹介3
石塚 祐江 氏
(NPO法人 環境り・ふれんず 代表理事)
「北海道におけるリユースびんの可能性と期待」

- 活動内容
- リユースびんが広がらない理由への問い
- 意識調査の結果
- 回答者の声―自由記述より
- 制度的な課題―容リ法の見直しを
- 北海道における可能性
もともと製紙会社に勤めており、牛乳パックのリサイクル運動をきっかけにこの分野に関わるようになりました。環境活動に携わって30数年が経ちますが、リユースびんの普及はずっと取り組まなければならない課題だと感じ続けてきました。しかし振り返ってみると、この30年で状況はほとんど変わっていません。
現在は元勤務先の製紙会社の顧問を務めるとともに、札幌市リサイクルプラザ宮の沢の指定管理者として、生活用品から大型家具まで幅広いリユース活動を行っています。
「環境り・ふれんず」は2003年に「市民から市民へ伝え合う、3Rでごみ減量、循環型社会活動の拠点」として設立しました。また、公共施設としての限界を補うべく、札幌市桑園地区の事務所を拠点に「桑園SDGs環境ひろば」の運営も行っています。
拠点では「エコカフェマイカップ」の活動として、マイカップ持参で50円引きにするマイボトル運動を実施しているほか、地域の酒屋から仕入れたコカ・コーラやオレンジジュース、ジンジャーエールなどのソフトドリンク、さらにビールなどのアルコール類もリユースびんで提供しています。また、ダンボールコンポストの運営を通じて生ごみのリサイクルにも取り組んでいます。規模は小さいながらも、できる範囲でリユースびんの普及を日々実践しています。
なお、活動の中で印象的なことがあります。地域の中学生や高校生がインターンシップで訪れた際、栓抜きの使い方を知らない若者が増えていることに気づきました。びんの栓の抜き方を教えると目を丸くして驚く姿に、リユースびんが日常から遠ざかっている現実を改めて感じています。
リユースびんは環境負荷を3分の1以下に削減でき、中身の風味や保存性にも優れるなど、良いことずくめの容器です。ガラスびんは人類が古くから使ってきた容器であり、リユースの仕組みも元々備わっています。にもかかわらず、年々その流通量は減り続けています。
この30年、ずっと議論を続けてきました。それでも進まない。国や行政、業界のやる気の問題なのか。流通や消費者の意識の問題なのか。答えを探すべく、今回あらためてリユースびんに関する意識調査を実施しました。
調査は2025年3月5日から25日にかけて、アンケート用紙とWEBの両方式で実施し、125名から回答を得ました。対象はエコカフェマイカップとリサイクルプラザ宮の沢の来館者のほか、北海道容器包装の簡素化を進める連絡会や環境関係団体の会員、SNSを通じた呼びかけに応じた方々です。
リユースびんの認知について、「知っている」が73%、「聞いたことはあるがよく分からない」が18%、「知らない」が9%という結果でした。環境施設の来館者や関係団体への呼びかけで集めた回答にもかかわらず、知らないという方が一定数いたことは予想外でした。
リユースマークの認知について、「知っている」が37.6%にとどまり、「知らない」が62.4%にのぼりました。環境関係者でもこれほど多くの方がマークを知らないという事実は、周知・広報の不足を如実に示していると感じました。
実際の利用状況について、「使うようにしている」が26.4%(33名)、「面倒なので使わない」が8%(10名)、「リユースびんがどれかわからない」が48.8%という結果でした。使う理由としては「環境にいいから」「風味がいいから」、使わない理由としては「重い」「面倒」が挙げられました。これらの数字は、全国的な調査と大きく変わらない、従来から変化のない傾向といえます。
今回の調査で最も注目すべき点は、「ガラスびんのリユースに期待することや意見」を求めた自由記述欄に、アンケート用紙で28件、WEBフォームで50件、合計78件もの意見が寄せられたことです。多くの市民がこの問題に対して意見を持っていることを改めて実感しました。主な意見を以下にまとめます。
広報・周知について、どのガラスびんがリユースできるのか、どこに持っていけばよいのかを広くわかりやすく伝えてほしいという声が20件ありました。テレビや新聞を活用した情報発信を求める意見も多く寄せられました。
回収システムについて、ガラスびんの出し方を簡単にしてほしい、一般ごみとの違いを周知してほしい、確実な回収方法を整備してほしいといった意見が7件ありました。回収方法が簡単になればもっと普及するという声もありました。
容器の工夫について、びん製品の安全性をもっとPRしてほしい、業界内でびんの形態を統一しRびんを増やしてほしいといった意見がありました。プラスチックを減らす運動が広まっているにもかかわらず、ガラス容器を使おうという声が聞こえてこないという指摘も印象的でした。また、広口容器にするなど蓋の工夫によって状況が一変するかもしれないという提案や、リフィル容器としての活用を期待する声もありました。
店頭回収について、購入した店舗で回収する仕組みを設けてほしい、一升びん以外のリユースびんも回収対象にしてほしいという意見がありました。札幌市の「ごみ分けガイド」には一升びんやビールびんの取り扱いは記載されているものの、720mlびんやジュース・お酢などのびんについては記載がなく、消費者が適切に対処できない状況となっています。
デポジット制度について、返金システムを復活させてほしいという意見も寄せられました。購入時に上乗せされていることへの理解が得られるかどうかが課題ではありますが、インセンティブとして有効な仕組みであることは確かです。
特典・インセンティブについて、リユースびんを選ぶお得感や便利さがなければ積極的に使おうという気持ちにならないという意見も多く聞かれました。
一方で厳しい意見もありました。お店の人手不足、洗浄コストの問題、リユースびんを購入できる機会がそもそも少ないといった現実的な課題も指摘されています。
苦言として、札幌市はリユースびんの回収を行っておらず、資源ごみとして出せてしまうため、そちらに出してしまうという声もありました。また、販売店が回収を義務付けられていない現状を問題視する意見もありました。この点については、私自身が市内の大手スーパーや百貨店を実際に訪問し、一升びんの回収について問い合わせましたが、すべての店舗で断られました。売っている店が回収しないという現実は、リユースびんの普及を妨げる大きな障壁だと感じています。
こうした市民の声を代弁すると、「行政は本当にリユースびんの普及にやる気があるのか」という問いに行き着きます。統一びんの普及が進まない背景には、商品の多様化や販売の自由化があるのかもしれません。しかし、クラフトビールのようにワンウェイ容器で登場する新商品が増え続ける現状を見ると、カレットリサイクルができるから問題ないとはとても言えません。環境に良い容器を選ぶ事業者や消費者への優遇措置が少ない点も課題です。一生懸命取り組む生産者へのさらなる支援があれば、同様の取り組みを行うメーカーが増えるのではないでしょうか。
容器包装リサイクル法(容リ法)はもともと、ごみを減らし、リユースびんの普及を促すために作られた法律だったと記憶しています。しかし施行から30年が経過した今、結果としてワンウェイ容器の増加を招いてしまいました。消費者やメーカーの努力だけでは限界があります。最終的には行政・メーカー・小売店・びん商が連携して取り組む仕組みの整備が不可欠です。容リ法の見直しを含め、買った店舗に戻す仕組みの構築を真剣に検討すべき時期に来ていると思います。
北海道固有の課題も多くあります。広大な面積による回収コストの高さ、道内に製びん・洗浄工場が少ないこと、資源回収業者の廃業が相次いでいることなど、容易ではない状況があります。 しかしながら、男山株式会社や生活クラブ北海道のように、調味料容器を含めたリユースに真摯に取り組む事業者が北海道にも存在しています。一歩一歩仲間を増やし、協力の輪を広げていくことで、北海道におけるリユースびんの普及にも確かな可能性があると期待しています。
質疑応答・意見交換
ファシリテーター:岡見 厚志(びんリユース推進全国協議会運営委員)
登壇者:山崎 五良 氏、佐藤 静 氏、善積 真吾 氏、石塚 祐江 氏
- Aグループのご意見
- ① イベント等でリユースカップを使用するケースはよく見られますが、Meglooのように街なかで展開できているのは素晴らしい。
- ② Meglooが、さらに広がってほしい。
- ③ これまで利便性の追求により容器の在り方が大きく変化してきたが、意識・マインドを変えていかなければ将来的には立ち行かなくなるのではないか、次世代・若い人たちに地球環境をしっかりと引き継げるかどうかという問題にもつながる。
- ④ 消費者の意識や行動の変化が、ブランドのあり方を変える大きなきっかけになる。
- ⑤ 好事例を多く伺えた中で、なぜそれが広がらないのかという疑問が呈されました。消費者にさまざまな選択肢があることを伝え、選べる環境を整えていくことが、消費者の行動変容につながっていくのではないか。
⑤への回答:環境り・ふれんず 石塚 氏
なぜ広がらないのかという問いに対して、あくまで持論として申し上げると、業界関係者の努力不足ではないかと考えます。
一言で言えば、びんの製造・販売・資源回収に関わる全ての人たちが一丸となって、どうすれば回収できるかを考え、国や流通に対して働きかけていく必要があります。現状では、製品を売ることには熱心であっても、回収へのアプローチが不十分なため、いわば「売りっぱなし」の状態になっています。飲み終わった後にびんを返さない消費者が、置き去りにされているように感じます。
また、リユースへの追い風が吹いているにもかかわらず、業界団体が手をこまねいている間に、EUでは2030年までに飲料容器のリユース率10%を義務付ける規制(PPWR)が発効しています。しかし国内では、その「リユース10%」の底上げが、びんではなく衣類回収など別分野で達成されようとしています。かつてデポジット制度まで存在していたびんの回収の仕組みが、なぜ維持できなかったのか。関わってきた方々の努力不足、もしくは現状への慢心があったのではないかと、この30年間への強い憤りを感じています。
先日、この地域交流会に向けていくつかの店舗を回ったところ、販売しているにもかかわらず店頭で回収されていないのはびんだけでした。ペットボトル・缶・牛乳パック、さらには販売すらしていない衣類まで、スーパーで回収されている時代です。
びん容器だけが行政の回収に委ねられ、雑びんとしてカレット化されてしまっている。せっかくRびんとして作られた商品が雑びんになってしまうのは、非常にもったいないことです。統一びん・Rびんという仕組みを作り、販売側はその取り組みを進めているにもかかわらず、回収・返却の仕組みに対して、十分な対策が講じられてこなかったのではないかと感じています。
- Bグループのご意見
- ① 自治体によってはリユースびんも雑びんと一緒に回収され、結局カレットになってしまうケースが多いのではないか。札幌市においてはなぜそれができないのか
- ② 男山が一升びんおよび720mlびんを2回洗浄しているというお話に関連して、ヨーロッパにおけるリユースびんの安全基準はどうなっているのか。それほど厳しい洗浄基準が設けられているのかどうか。
- ③ 生活クラブの取り組みとして、醤油の容器がペットボトルからリユースびんに切り替わったことが紹介され、同様の取り組みが他にも広がってほしいというご意見がありました。
- ④ びん容器に対してもっと補助金などの支援があってもよいのではないかというご意見がありました。
①への意見:男山 山崎 氏
旭川市に限った話になりますが、決められた曜日に缶・びん・家庭金物(やかんや鍋など)が一緒にごみステーションに出されています。回収したものは、中間処理施設ではまず、家庭金物を取り除く作業が行われており、そのついでに使えそうな一升びんなどのリユースびんを分別しているようでした。
一升びんなどリユースびんの回収を目的することで、より多くのびんが回収できる可能性があります。
- Cグループのご意見
- ① 子どもたちにリユースをどのように伝えていくか、またそのような実践事例があればお聞かせいただきたい。
- ② リユースの取り組みの未来について、本日の地域交流会のように語り合える場がもっと増えればよい。
- ③ メーカーにリユースへの意識をどのように持っていただくか、工夫や取り組みがあればお聞かせいただきたい。
- ④ 昨今の中東情勢を踏まえ、リユースへの影響が何かあるのか。
- ⑤ 300mlびんの洗浄状況や720mlを含む小びんのリユースの現状について、お聞かせいただきたい。
- ⑥ カマンの資料にあったユーザーの生き生きとした表情の写真に関連して、びんの回収の様子や、回収担当者がどのような方法・手段で運搬しているかなど、詳細をお聞かせいただきたい。
- ⑦ 地域の学園祭などにリユース容器を提案する際のやり方・進め方についてご教示いただきたい。
①への回答:カマン 善積 氏
サッカースタジアムなどでの回収活動の経験からお話しすると、子どもたちはすでにSDGsネイティブとも言える存在で、分別についてもお父さんを引っ張るほどよく理解しています。リデュース・リユース・リサイクルの順番なども把握しています。一方で、長年「使い捨ての便利さ」を享受してきた世代にとっては、この新しい文化は少しばかりハードルが高いのかもしれません。かつての常識をアップデートする「大人の学び直し」の場こそ、今後は重要になってくるのではないでしょうか。
⑤への回答:男山 山崎 氏 氏
現在、300mlびんの回収は行っていません。洗びん機には対応しているため洗浄自体は可能ですが、そもそも300mlびんは市場に出回っている数が少なく、メーカーとして取り組むメリットが見出しにくい状況です。
当社は日本酒を製造・販売する会社です。リユースびんで収益を上げている会社ではないため、Rびん300mlが通常の300mlびんよりもコスト面で有利であれば使用しますが、現時点ではその必要性はないと判断しています。
ただし、道内で300mlびんが大量に集まり、行き場がない状況になった場合には、引き受けて活用することは可能です。
⑥、⑦への回答:カマン 善積 氏
イベントでは、ペットボトルの隣にリユースカップや容器・お箸を並べて分別・返却してもらい、共通コンテナにまとめてトラックで提携先の洗浄施設に搬入しています。
街なかではB型事業所の方々にご協力いただき、鎌倉では飲食店を巡回して定期的に回収・再配布を行っています。利用はオフィスが中心で、社員食堂のない大型ビルではごみの約2割が容器類であり、その削減ニーズは常にあります。
学園祭への導入事例もありますが、コストの高さが最大のネックです。補助金がある自治体もありますが、割高分の補填問題が解決されない限り普及は難しく、現状は意識の高い一部の学校イベントにとどまっています。
レジ袋有償化のように、行政の規制が普及の大きなきっかけになり得ます。ただ、まだ一般に広く認知されていない段階での規制導入は反発を招く恐れもあります。まずは事業者を増やし、業界全体で仕組みを育てていくことが先決だと感じています。
- Dグループのご意見
- ① 生活クラブ北海道の取り組みについて、クローズドな組織で意識の高い組合員だからこそ実現できる高い回収率であり、大変素晴らしい
- ② 男山のFSSC22000取得に伴い洗びん基準が非常に厳しいというお話に関連して、将来的に洗びん機を更新する際に洗びんをやめるという選択肢にならないよう、300mlびんも含めたリユースびんの種類を増やすことや、他社のびんも洗浄するといった取り組みも一つの選択肢ではないか
- ③ 現在720mlびんの種類が非常に多いことから、Rびん720mlを簡単に見分け・仕分けする方法はないか
- ④ 720mlびんの規格統一については、実績と数字を積み上げたうえで、関係省庁に対して働きかけていく必要があるのではないか
- ⑤ カマンのリユース容器システムは大変素晴らしい取り組みである一方、イベントで回収された容器の洗浄方法――手作業なのか機械洗浄なのか――についてお聞きしたい
①への回答:生活クラブ北海道 佐藤 氏
現在、約半数のびんはラベルを剥がした状態で返却されています。これが実現できている背景には、30年にわたるラベル剥がしの啓発活動があります。びんを返却する際はキャップを外し、ラベルを剥がすことが基本として定着しており、組合加入時にもびんの取り扱いについて職員や組合員から丁寧な説明を行っています。
ただし、無理に剥がす必要はないとも伝えています。びんにはコーティングが施されており、傷がつくと使用できなくなってしまうためです。生活クラブ北海道のサステイナブル委員会では動画を制作してSNSで発信したり、道内各支部で説明会を開催したりしながら、啓発活動を継続的に行っています。
普及を進める上で効果的なメッセージとして、「リユースびんが足りなくなると新びんの投入が必要になり、値上がりにつながる」という点が主婦層に響いています。返してもらうことの必要性を伝えながら、できればラベルも剥がしてほしい、難しければそのまま返してほしいというアプローチで回収率を高めています。(2025年度北海道単協での500mlリユースびん回収率88.0%)
現在の組合員数は約1万2,000人で、醤油は味の評判が高く、消費材の中で毎月供給数1位を誇っています。
③ の回答:男山 山崎 氏
Rびん720mlの見分け方として、Rマークを大きく目立つように表示するという案も考えられますが、現在の日本酒業界はデザインを重視する傾向が強く、大きなRマークの表示を嫌う酒蔵が増える可能性があります。見分けやすさとデザイン性の両立は、また別の課題として慎重に検討が必要だと思います
⑤への回答:カマン 善積 氏
機械洗浄式です。イベントで回収した食器の洗浄方法にはいくつかのパターンがあります。小規模の場合は店舗の業務用食洗機を使用しています。大規模の場合は、リユース容器を取り扱う弁当業者などの洗浄設備が午後に空いている時間帯を利用して間借りしています。社員食堂についても同様に、午後の空き時間に洗浄設備を間借りしています。
洗浄作業は大変そうに思われますが、ベルトコンベヤタイプの洗浄機であれば迅速に処理でき、大きな問題はありません。また、社員食堂などには乾燥・消毒・滅菌設備が整っているところも多く、衛生面でも対応できています。
- Eグループのご意見
- ① 北海道内で音楽フェスが開催されていることから、Meglooのようなリユースカップをそういったイベントへ導入できればよいのではないか。
- ② 男山の事例のように、ポイント制度を活用してリユースの利用を促進するという方法も有効ではないか。
- ③ Eグループのコンテナ回収を行っているびん商が、回収したびんの中からRびん720mlを選別する作業が大変だというお話がありました。そもそもRびん720mlがまだ十分に普及していないことも、課題の一因となっている。
- Fグループのご意見
- ① 本州から北海道へ移転する酒蔵も出てきている中、男山と同様の取り組みが全道に広がることで、北海道から日本全国に変化が生まれることに期待する。
- ② 生活クラブの資料にあった「関係団体の協力のもと回収拠点を具体的に増やしていきたい」という内容について、具体的に検討されていることがあればお聞かせいただきたい。
20年ほど前にびん再使用ネットワークで検討した際には実現に至らなかったものの、改めて重要な検討課題になると思う。 - ③ カマンのICタグを活用した取り組みについて、回収率99%という数字は驚異的であり、大いに期待できる取り組みである。
- ④ 石塚氏が実施されたアンケートからはなかなか厳しい現状が見えてくる一方、本日のような交流会やイベントを継続・拡大していくことが啓発活動として大切である。
②の回答:生活クラブ北海道 佐藤 氏
回収拠点の拡充については、生活クラブの組合員にはインターネット組合員もいらっしゃいますが、宅配便でお届けする場合、びんを戻せないという課題があります。そこで現在、札幌市内に複数の回収拠点を設け、札幌に来た際に持参いただけるような仕組みづくりを進めています。
具体的には、ワーカーズ・コレクティブの事業所や生活クラブ北海道の組合員が集まる拠点を活用し、曜日・時間帯・担当者をまとめた一覧表を作成中です。これをインターネット組合員に告知し、びんをそのまま廃棄せずに持参していただくよう呼びかける取り組みを予定しています。また、退会した組合員で返却ルートがなくなった方にも、拠点への持参を案内していく予定です。
すでに一部の拠点では回収を行っていますが、ホームページへの掲載など広く公表するには至っておらず、現状は知っている人だけが利用している段階です。
③の回答:カマン 善積 氏
ICタグの活用についてですが、リユースびんの場合、使用回数や中身の履歴といったトレーサビリティがどこまで必要かによって判断が変わってきます。そこまでの管理が必要でなければ、リユースびんへのICタグ導入は必須ではないかもしれません。
回収率99%を実現している最大のポイントは、対象が街なかでの利用であることです。テイクアウト時に利用者自身がリユース容器を選択する仕組みのため、意識の高い方が主な利用者となっています。また、返却されていない容器を追跡できる仕組みが備わっているため、返却率の向上につながっています。
- Gグループのご意見
- ① 男山の取り組みは素晴らしく、他に広がってほしい。その上で、この取り組みを実現するにあたって最も重要な要素は何か――設備なのか人材なのか――についてもう少し詳しくお聞きしたい。
- ② 石塚氏の事例紹介で消費者がお得感やメリットを実感できるリユースの仕組みづくりが重要であるというご意見に共感する声があった。もし具体的なアイデアがあればお聞かせいただきたい。
- ③ リユースという仕組みの周知・啓発にさらに力を入れていく必要がある。関係者の間では当たり前のことでも、一般の生活者にはそもそもリユースという概念が知られていない場合も多く、広く伝えていくための効果的な仕組みが求められている。
- ④ Meglooの取り組みにおける食品衛生上の対応について、どのように取り組まれているのか、またご苦労されている点があればお聞かせいただきたい。
- ⑤ 容器包装リサイクル法における再商品化委託料について、現在は中身メーカー・容器メーカーが負担していますが、流通業者も応分の負担をすべきではないか。
流通の都合によって中身や容器のあり方が左右されている面もあることから、流通側にも委託料を負担させることで、リユースへの意識を高めてほしい
①の回答:男山 山崎 氏
取り組みの中で最も重要な要素は、洗びん機があるかどうかだと思います。洗びん機がなければ、びんを持ち込まれても対応できません。また、洗びん機を導入・維持するためには、それに見合う一定量のびんを扱うことが前提となります。
リユースの仕組みをどう周知していくかについては、酒蔵同士で話し合う場でもリユースが話題になることはほとんどありません。ワンウェイのオリジナルびんを製作してブランド化している酒蔵もあり、業界内での普及はなかなか難しいのが現状だと感じています。
③の回答:環境り・ふれんず 石塚 氏
国の動きが最も重要です。レジ袋・衣類・ペットボトルなど、国が少し動くだけで大きな変化が生まれてきました。「未来のために容器はびんがよい」と国が一言発信するだけで、業界全体への大きな後押しになります。
今回のアンケートでは「リユースびんを初めて知った」「びんがこんなに優れているとは知らなかった」といった声があり、地道な活動を続けることの大切さを改めて実感しました。アンケートの継続と業界との意見交換を重ねていくことが重要です。
2008年の洞爺湖サミットの際、行政・流通・消費者が一体となって取り組んだ結果、たった1年で北海道212市町村の約9割以上でレジ袋削減が実現できました。「環境に関してはライバルではない」という意識のもと、流通業界が連携すれば、びんのリユースも必ず実現できるはずです。
また、札幌市の分別ガイドには一升びんとビールびんしか記載されていません。720mlびんやRびんを明記するよう行政に働きかけるだけでも、回収率向上につながる可能性があります。こうした具体的な改善提案を積み重ねていくことが大切だと思います。
④の回答:カマン 善積 氏
食品衛生上の課題については、法律上リユース容器の使用は仕出し弁当と同様の扱いで問題ありませんが、イベントでキッチンカーを出す際に、行政によっては「使い捨てプラスチックを使用すること」と定めているケースがあります。
これは「リユース」という言葉の解釈が混在していることが原因です。行政が懸念しているのは、使用後の容器をその場の水道で洗ってすぐに再使用したり、イベント主催者が夜間に手洗いして翌日また使用したりするような、その場での繰り返し使用です。キッチンカーでは十分な洗浄設備が確保できないことから、使い捨てプラスチックの使用が求められているわけです。
しかしこの規定が拡大解釈され、「使い捨てプラスチック以外はすべて不可」と判断されてしまうケースも出てきています。私たちの取り組みでは、使用後の容器を回収し、食品衛生が担保された洗浄施設で洗浄・梱包した上で再利用しており、使い捨てプラスチックと同等の衛生基準を満たしています。この点を説明すると認めてもらえますが、その都度説明が必要となり、手間がかかるのが実情です。
- Hグループのご意見
- ① 男山の基調講演で札幌からRびん720mlを集めたいというお話がありました。東京都では自治体回収で720mlびんを収集している事例もあることから、諸課題を整理しながら、そこから調達・供給するという選択肢も検討できるのではないか。
- ② 男山が今後地ビールの生産を予定されているとのお話に関連して、リユースびんを活用した展開ができないか。
- ③ 生活クラブ北海道がリユースびん商品を開発されたことは、組合員の熱意の賜物ではないかと感じた。また、回収率88%という数字は大変素晴らしく、どのようにしてモチベーションを維持・醸成されてきたのかをぜひお聞かせいただきたい。
- ④ Meglooのリユース容器に使用されているICタグについて、洗浄時に剥がれるなどの問題や課題はないのか。
②の回答:男山 山崎 氏
地ビールについては缶を使用する予定です。びんではなく缶を選んだ理由は、輸出向けの製造を想定していること、輸送コストの面で有利であること、そして納入先からのご要望があったことによるものです。
③の回答:生活クラブ北海道 佐藤 氏
回収率88%の背景には、生活クラブのこだわりの強さがあります。食品添加物をはじめ、あらゆることにこだわる生協で、私自身も最初は驚いたほどです。びんだけでなく、配達に使うピッキング袋も回収しており、牛乳パックも回収して製紙会社に売却しています。卵についても、班配送では配送用トレーで届けられ、戸別配送の場合は紙製パックを使用し、いずれも回収しています。「ごみを出さない」という考え方が根本にあり、びんで販売するならびんを返却するのは当然という意識が組合員に根付いているのだと思います。
モチベーションの源泉については、サステイナブル委員会のメンバーは意識が高く、個々人の強い意識がそのまま原動力になっているのではないかと感じています。
④の回答:カマン 善積 氏
リユース容器のICタグの剥がれについては、現状の課題として認識しています。現在は底面に貼り付けていますが、底面には刻印による凹凸があるため、洗浄時に剥がれやすいという問題があります。そこで表面への貼り付けに変更することを検討しており、表面であれば剥がれにくくなりますが、接着剤の選定が次の課題となっています。表面に貼っても違和感のないICタグのデザインへの変更も含めて、現在検討を進めているところです。
- オンライン参加者のご意見
カマンのリユース容器の洗浄に関して、既存施設や社員食堂の空き時間を活用されているというお話がありましたが、屋外イベントで使用した場合、回収した容器がその後どのような流れで洗浄されるのか、また水の確保はどのようにされているのかをお聞かせください。
加えて、コストが課題とのことでしたが、その解決に向けた取り組みや検討があればお聞かください。
回答:カマン 善積 氏
屋外イベントの場合も、その場で洗浄するわけではなく、すべて回収した上で洗浄施設に運び、そこで洗浄しています。
費用面については、紛失による補填コストが最も大きな負担となっています。デポジット制を導入すれば解決できますが、大型イベントで1万個を配布する場合、1個100円のデポジットとした場合、100万円分の小銭を用意する必要があり、現実的ではありません。そのため現在はデポジットを取らず、高い返却率でカバーする方針をとっていますが、それでも紛失補填費が全体コストの2〜3割を占めている状況です。
返却率向上に向けてさまざまな工夫を行うとともに、利用地域に洗浄施設を整備していく取り組みも進めています。例えばスポーツイベントであれば、スタジアム近隣に洗浄できる場所を確保し、その場で洗浄できる仕組みを構築するようにしています。
- 最後に登壇者4名からのご意見
男山 山崎 氏
このリユースシステムで最も重要なのは、消費者にとってのメリットがあるかどうかだと考えています。びんを持参してくれた消費者にしっかりとメリットを提供することが大切で、現在はポイントとしてお酒を還元する仕組みをとっています。
今後、回収びんや新びんのコストが上昇した場合には、現在の36ポイントを見直すなど柔軟に対応できる余地もあります。消費者へのメリットをいかに確保するかが、このシステムの根幹だと思っています。
生活クラブ北海道 佐藤 氏
ペットボトル入りの飲料がリユースびんに切り替わり、飲み終わったびんを返却する仕組みが広がれば理想的です。またペットボトルの原材料価格が上昇すれば、マイボトルを持参する消費者が増えたり、飲料メーカーがびんへの転換を検討したりするきっかけにもなり得ます。びんのメリットをしっかりと発信していくことが重要だと思います。
カマン 善積 氏
リユースを広めていくために重要だと考えることを3点申し上げます。
1点目は、消費者の声の力です。イベント主催者が勇気を持ってリユース容器に切り替えることが大切です。当初はキッチンカーの方から反発があっても、お客様の「いいですね」という一言で意識が変わることがあります。SNSでのポジティブなコメントが主催者の「来年もやりたい」という声につながるなど、市民の声が大きな変化を生む力になっています。
2点目は、サービス側のコストと利便性の改善です。コストをできる限り使い捨て容器と同水準に近づけ、返却の手間も最小限にしていかなければ、本当の意味での普及には至らないと考えています。
3点目は、行政の方針の明確化です。鎌倉市では後援イベントでの使い捨てプラスチックを禁止し、リユース容器使用時の半額補助を3年前から導入した結果、リユースが一気に広がりました。補助金にとどまらず、使い捨てプラスチック削減に向けた行政の明確な方針が示されることで、事業者も消費者も動きやすくなると感じています。
環境り・ふれんず 石塚 氏
重要なのは仕組みづくりだと思います。サーキュラーエコノミーを掲げるのであれば、仕組みとして実現すればよいのです。それができていないのは本気で取り組んでいないからではないかと感じており、国・業界への働きかけが必要です。消費者は仕組みが整えば素直に従うものです。
またリユースをかっこいい・おしゃれなものとして位置づけ、使い捨てに引け目を感じるような意識を広げていくことも大切です。環境やサステナビリティを選択基準にしてもらえるよう、さまざまな角度から消費者に働きかけていくことが重要です。
一気に変えようとするのではなく、一歩一歩着実に進めることでよいと思います。1年では変化が見えにくくても、5年・10年後には大きく変わっているはずです。私自身1987年から牛乳パック運動に携わって40年になりますが、当時ゼロだったリサイクルがここまで進んだことも事実です。皆さんと一緒に地道に取り組んでいけたらと思っています。
閉会挨拶
田中 希幸
(びんリユース推進全国協議会共同代表、ガラスびん3R促進協議会 理事・事務局長)

近年「サーキュラーエコノミー」という言葉が広く使われていますが、リサイクルをしているだけではサーキュラーエコノミーとは言えないと思います。リサイクルされた再生材を使用して初めてサーキュラーエコノミーが成立すると思います。その点、ガラスびんはリユースが可能であり、サーキュラーエコノミーでの最重要級の手段であり、リユースできない場合は水平リサイクルが可能であり、ガラスびん原料として使用していることから、「サーキュラー容器」と呼ぶにふさわしい存在です。国の政策面でも、今般の資源有効利用促進法改正に再生材使用の促進が盛り込まれるなど、単にリサイクルしていればいいというフェーズからワンランクアップしたフェーズへの移行が求められています。
ガラスびんは最も歴史ある容器の一つですが、ライフスタイルの変化や購買接点の多様化により、従来のリターナブルびんの回収スキームが機能しにくくなっています。かつては酒屋に一升びんやビールびんを持参すればリユースされる仕組みがありました。しかし酒屋の数が減り、スーパーでは回収してもらえず、保証金の有無すら分からないという状況が生まれています。さらにeコマースの普及で全国販売が容易になった一方、回収の仕組みが伴わない「売りっ放し」状態が広がっており、時代の変化に回収システムが追いついていないのが現状です。
リユース推進には制度的な変革が欠かせません。専用びんを使うメーカーには回収スキームの整備と責任の明確化を求めるべきであり、再生材の使用についても義務化を進める必要があります。自治体による回収強化や、EPR(拡大生産者責任)の導入など、待ちの姿勢ではなく能動的な取り組みが求められます。びんリユースシステムはすでに存在する社会インフラですが、現状はかなり弱体化しています。一度壊してしまえば再構築はほぼ不可能であり、今こそこの仕組みを守ることが重要です。
食料自給率が200%を超え全国トップの北海道は、地産地消の基盤が最も整った地域です。道内に製びん工場・洗びん工場がないという課題はありますが、北海道内でリターナブルびんの循環を確立すれば、中身も容器も地産地消で循環するモデルが実現します。北の大地ならではの豊かな食と、持続可能な容器の循環が結びついた未来の実現を期待しています。






